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「君と世界が終わる日に」Season5見どころ

ついにシリーズ・ファイナルを迎える『きみセカ』。終末世界でサバイブする登場人物たちの過酷な運命が、シリーズ随一のドラマティックさで描かれる。その魅力を紐解く。

人間の本性があぶり出される極限世界で、人類が最後に選ぶ答えとは―

©︎HJホールディングス

ゴーレムと呼ばれるゾンビに占拠された終末世界。間宮響(竹内涼真)と別れ、人類最後の希望の都市ユートピアにたどり着いた新山明日葉(玉城ティナ)と柊木佳奈恵(飯豊まりえ)一行。理想郷と信じたその場所は、身分や能力の高い人間のみが住む「タワー」と劣悪な環境が待つ「アンダー」に二分されていた。
分断を作ったのは、明日葉の元婚約者を名乗る漆原冬馬(柿澤勇人)親子。冬馬の采配により、明日葉はタワーに、佳奈恵と加州宗一(溝端淳平)はアンダーへと送られてしまう。加州宗一の反逆をきっかけに、アンダーの反乱軍「レジスタンス」が暴動を起こし、タワーとアンダーの住民が次々と犠牲になっていき…
対ゴーレムに端を発し、熾烈な生き残りをかけた争いで人間の本性をあぶり出し、極限世界で人はどうあるべきかを問うてきた本シリーズ。持ち味のスリリングな展開はそのままに、命題の答えが導かれる。

玉城ティナ演じる明日葉の高潔さが、魑魅魍魎な世界の良心として輝く

©︎HJホールディングス

Season5では、物語の主人公が響から明日葉&佳奈恵にバトンタッチ。
明日葉は「ユートピア」創始者の新山財団会長の娘であり、「汝の隣人を愛せよ」を信条に生きてきたピュアな人間。響と出会った当初は「甘さが命取りになる」と言われていた彼女だが、「目の前の人を救いたい」という真っすぐな思いこそが、響の亡き恋人・小笠原来美(中条あやみ)に重なり、響も明日葉の信念に寄り添うようになる。
何より演じる玉城の、一点の曇りもないビー玉のような透明な瞳が印象的だ。その大きな瞳は時に恐怖におののき、時に怒りに燃えるが、それでも人間と未来を希望で見つめるひたむきさを宿している。人としての尊厳を失わないようにと奮い立つ姿、響に「その手は汚しちゃいけない。お前が変わる必要なんてない」と言わしめた明日葉の存在こそが、魑魅魍魎な『きみセカ』の良心として輝くのだ。

Season1からの数少ない生き残り・飯豊まりえ演じる佳奈恵の“強さと覚悟“

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もう一人の主人公・佳奈恵は、Season1から登場している数少ない生き残りのうちの一人。元々普通の大学生だった佳奈恵は、ゴーレムから必死に逃げ何とか生き延びてきた。響たちとの出会いでタフになっていった彼女は、ときにその手を血で染めながらも一番の成長を遂げた。
その強さの裏には、抱えてきた悲しみがある。佳奈恵はロマンスの相手・等々力比呂(笠松将)、彼女を慕っていた宮木伊織( 桜井日奈子)という大事な二人の死別を経験し、強くならざるを得なかったのだ。
演じる飯豊の表情には、佳奈恵の過去が刻み込まれている。Season1~5を続けて見ると、飯豊の顔つきがつぶさに変化していくことに驚かされる。佳奈恵の成長こそ、同じ人物を4年演じ続けた飯豊の俳優としての鍛錬の軌跡のようだ。
嘘と裏切りにまみれた世界に染まらない明日葉&佳奈恵の存在が、Season5の鍵となる。

多彩な登場人物たちに熱視線 明日葉&佳奈恵の恋の行方は…

©︎HJホールディングス

『きみセカ』と言えば、響の恋人・来美や良きライバルであった等々力など、主要人物でも容赦なく退場してしまう掟破りさも魅力の一つ。Season1では芳根京子、Season3では玉山鉄二、Season4では今井翼など豪華キャストが出演していたが、彼らがいつ消えるともわからない不安要素が物語のサバイバル感を一層盛り上げる。
現在公開中の『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』では、菅田将暉があっと驚くシーンで登場したことも記憶に新しいが、最新のSeason5では、Season2で響のライバル的存在ともなった人気キャスト・秋吉蓮役の本郷奏多が復活することも報じられた。しかしながら、果たして彼は敵なのか、味方なのか…立ち位置も含め楽しみにしたい。
また、Season4から続投している明日葉を愛する加州宗一(溝端淳平)、佳奈恵に惹かれている下村海斗(前田公輝)という二人が、物語にラブストーリーの要素を足してくれている。初期の純粋な響と来美カップルを彷彿とさせる2組の行く末が、悲恋にならないことを祈りたい。

Text/赤山恭子(あかやま・きょうこ)

プロフィール 赤山恭子(あかやま・きょうこ)
映画ライター/インタビュアー
大学卒業後、出版社でエンタメ週刊誌・月刊誌の編集者に。その後、映画会社にてディストリビューター/映画サイトの編集者を経験し独立。現在は、俳優、監督、アーティストにインタビューのほか、作品レビューや広告などの執筆を行っている。
ABEMA TIMES、CREA、CMNOW BOYS、シネマカフェ、Filmarks、VOGUE girl等で執筆中。X(旧Twitter):@akayamap


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