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短編小説

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#神社

短編小説「神社の彼女」

 これは僕が体験した不思議な出来事について話そうと思う。  その日は何もない日で、本当に何もない日だった。  部屋の窓を開ければ、心地よい風が頬を撫で、少し伸ばし過ぎた髪の毛を持ち上げる。横にわけていた前髪が視界を軽く塞ぐ。ストレートヘアが厄介だってよく思う。  無理して昨日買ったペットボトルのコーヒー、口直しのホワイトチョコレート、部屋の隅に何故かある毛布、点きっぱなしのテレビには今日の天気予報が映っていた。 「――今日の天気は快晴です。雲を見ることが無いでしょう。」