見出し画像

キッチンからほっと一息眺める風景



新築されて数年がたち、
外空間の使い道に迷われていたご夫妻、娘ちゃん1人。

室内、半外空間、外空間のつながりを
デッキでつなぎ
家族で楽しめる庭にしたい。
また四方に隣宅の窓があり、やんわりした目隠し
共働きのご夫婦がキッチンとダイニングから
ほっと一息つける
ご家族3人の風景を想像しながらの庭づくり。

キッチンとダイニングからの目線


施工前のイメージ
絵は得意ではないのですが・・・
ご要望をお聞きして
こちらのイメージを色んな形でお伝えします。


目隠しはヤブニッケイやイヌツゲなどの
成長遅めの常緑でやんわり目隠し


陽当たりがいいので高木の日陰に
小高木、低木、下草の階層構造


ウッドデッキで
半外空間をつくり
住まう人と植物との距離を近づけたかった。

お子さまが見る毎日の風景が
地域の自然に近いものであってほしい。

植栽樹種(メインのエリア)

コナラ、ヤブニッケイ、ウグイスカグラ、イヌツゲ、ヤマコウバシ、ナツハゼ、ミツバツツジ、ガマズミ、ヤマブキ、山椒、アオダモ、ヤマボウシ、アカシデ、イロハモミジなど

苗木

アラカシ、ウラジロガシ、シロダモ、ヤブツバキ、アオハダ、アズキナシ、クロモジ、リョウブ、チャ、ウメモドキ、コマユミ、ツリバナ、ニシキギ、ヤマツツジなど

その他に、オカメザクラ、ジューンベリー、ブルーベリー、オオデマリ、クヌギ、スダチなど

実や花を楽しむエリアも作らせてもらった。

この地域の里山では
エドヒガン桜が有名で
保全されていて入手することが難しく…
でも桜は見てほしいとの思いで
高木にならないオカメザクラを植えた。


この他にクヌギを植えるか否かで悩んだ。

この地域の里山では
クヌギは一般的で、
台場クヌギが有名なのは知っていた。

ただ、この地域の住宅開発前の歴史と情報を
辿っていくと、
クヌギは菊炭(きれいな菊模様の炭)が
きれいに出来る木として
植樹して、管理されてきたことがわかってきた。

西日本ではアベマキ(とてもよく似た樹種)
クヌギは東日本の分布が多い印象だったから
少し、腑に落ちた。

今ではクヌギは植樹されたものか
自然分布していたものか
はっきりとはわからないのだろうけど

地域性の草木を植えて、
地域の野鳥、虫たちの休息場所をイメージしていた
自分にとっては、どうしようか葛藤した。

木を植えるとき
自分の中で、植える理由がいる。
理由がないと植えられない。


「地域に自生してる木」「旦那さん、奥さんが好きな木」「鳥を呼ぶ木」「実を食べられる木」「春を告げる木」「秋を知らせる木」など
なんでもいい。理由はさまざま。

気持ちを込める為には
いつも理由がいる。

人の気持ちは木に伝わると思っている。

クヌギは、
この地域の里山を代表する木で
夏は木陰をつくり
黄葉で秋を知らせ
丸い大きなどんぐりを楽しめる木。

そんな理由で、植えた。


施工後にお邪魔したとき
芝生(野はら)でテントをはって楽しんで頂いてた

施工中は
施主様のお兄さんが手伝いに来てくれたり
実家へ思い出の草花を移植させてもらったり
沓脱を旦那さまとセメント固まる前に
あたふたしながら一緒に作業させてもらったり
奥さまの好きな藤井風を聴いて
庭のイメージを膨らませたり

色んなドラマと思い出がある現場だった。



2021.06 
庭 設計・施工 hugkumi
デッキ施工 あまがえるさん
施工全面協力 旦那さま

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?