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ORASトリプルにおけるSの壁と調整

ORASトリプルバトルのS関係の戦いにおいてそれ未満とそれ超で明確に世界が変わる壁が6か所存在する。
低い方から、最速バンギラス、最速ドーブル、最速クレセリア、最速メガガルーラ、最速テラキオン、最速スカーフドーブルである。
まずはこれらが何故世界を分ける壁となっているか述べる。
他にも色々あるが大きく分けると重要なのはこの6か所であるのと細かく挙げていくとキリがないので他は大きくは扱わない。
珍しく初心者向けの記事かもしれない。

6箇所の壁+危険地帯

最速バンギラス(S実数値124)

最速バンギラスは一致岩雪崩による全体火力の圧と3割怯みの極めて危険なリスクによって壁を作っている。実際の試合展開では終盤に顕著に現れる。S操作などのリソースが尽きた終盤にS実数値123以下のポケモンはどれだけバンギラスに対して相性有利でも岩雪崩の火力と3割怯みでまとめて一掃されかねず、試合自体を落とす要因になる。意地っ張りチョッキ霊獣ランドロスがS実数値125以上で調整される理由はここにある。
また、バンギラスはS種族値61族であり、60族以下はスカーフなどを持たない限り最速バンギラスを抜くことができないので、育成リソースを大きく素早さに振る価値が低くなっている。

最速ドーブル(S実数値139)

最速ドーブルは主にダークホールによって壁を作っている。ORASトリプルバトルにおいて最も大きな壁である。
ドーブルは基本的に初手で場に出る為、序盤で動くポケモン、相手のドーブルを抑えるためのドーブル以外のポケモンはS実数値140以上が望ましいということになる。またドーブルの最も強い運用は初手で出て生存し2回目の着地を行うことであり、バンギラスと同様に終盤まとめて寝かされかねない。この危険性から終盤に残りやすい、残しやすい、フィニッシャーになるポケモンのS実数値140以上は重要な要素である。

最速クレセリア(S実数値150)

もはやすっかり浸透した最速クレセリアは高速ポケモンに対して壁として立ちはだかる。moveや豊富な補助技、一貫性の高いサイキネによって行動の価値を落としてくるクレセリアに対して、行動の価値が高いポケモンはS実数値151以上を要求され、さらにそのポケモンを対策しようとするポケモンにはそれ以上の素早さを要求する。
逆にS実数値150未満のポケモンは最速クレセリアに価値を落とされにくい工夫をする必要がある。特にORASトリプルで強力なスキルスワップには要注意で、例えばメガカメックスのように潮吹き+波導技で2択掛けをする、光の壁+欠伸のように腐りにくい補助技を搭載したニンフィアなどで対策を行いたい。特にS実数値150未満で火力自体を特性に大きく依存したポケモンはそれだけで評価を大きく落とすことになる。(例.初速が必ず最速クレセリアより遅いメガサーナイトなど)

最速メガガルーラ(S実数値167)

トップメタである最速メガガルーラも壁の一つである。しかも同速いじめである。
メガガルーラは少ない弱点、しかも弱点技に全体技が存在しない、その上高い耐久種族値を持ち合わせ極めて堅牢。メガガルーラはS種族値100族であり、同速が多いが単純に素早さの同速だけでメガガルーラ相手に真っ向勝負して打ち勝てるポケモンは存在しない。(メガバシャーモは加速、ボーマンダはメガシンカが必要となる。メガリザードンYは最速にすると自身の特長と行動保証を毀損する。)そのため、メガガルーラ以外のS種族値100族のポケモンは最速になったとしてもメガガルーラを意識した最速ではなく、他のポケモンを意識した結果最速になっていることが多い。
一方で準速メガボーマンダなど最速メガガルーラの上から有効な行動ができるポケモンは評価が高くなる。

最速テラキオン(S実数値176)

テラキオンは対メガガルーラとして有力なポケモンであると同時に、袋叩きコンボが強烈なポケモンである。最速テラキオンを抜けるかどうかでこの袋叩き岩雪崩を阻止できるかどうかの壁を作っている。
しかし、ただ素早さが上回っているというだけで阻止できるわけでもないので、種族値上テラキオンを抜くことができても、阻止することができない、他の数値の方が必要であれば最速テラキオンを視野に入れないことも多い。(準速メガボーマンダなど)

最速スカーフドーブル(S補正実数値208)

最速スカーフドーブルのダークホールの危険性は最速ドーブルの項で述べた通り。基本的にスカーフドーブルを抜く場合はS操作や叩き落とすでスカーフを破壊する、ドーブルより素早さ種族値が高いポケモンでこちらもスカーフを持つなどの手段になる。ただしスカーフを持つ場合、スカーフが叩き落とすによって落とされた時の素早さが十分かどうか検討すること。

危険地帯

上記の壁を意識したり、有力なポケモン本人達が最速最遅になったりS調整したりの結果発生した危険地帯。その中でも初心者や経験の浅いうちは特に意識しておきたいラインをピックアップ。更に細かな一覧は記事最下部に記している。
これらと同値、もしくはS操作した結果同値になっても良いか、さらには同値にしなければならないか、同値にするしかないのかなど熟考すること。
・S実数値31(最遅モロバレル)
・S実数値49(最遅メガクチート)
・S実数値58(最遅ブルンゲル)
・S実数値72(S性格下降補正ギルガルド)
・S実数値73(最遅ヒードラン)
・S実数値84(追い風下最速100族抜き、Sランク-1S実数値125抜き)
◎S実数値124(最速バンギラス)
・S実数値125〜126(意地チョッキ霊獣ランド)
◎S実数値139(最速ドーブル)
・S実数値141(最速ヒードラン)
・S実数値143(最速メガカメックス)
◎S実数値150(最速クレセリア)
・S実数値151(メガリザードンY)
・S実数値154(最速ドリュウズ)
・S実数値157(最速霊獣ランド)
◎S実数値167(最速メガガルーラ)
・S補正実数値168(追い風下S実数値84)
・S実数値172(準速メガボーマンダ)
◎S実数値176(最速テラキオン)
・S実数値200(最速メガゲンガー)
◎S補正実数値208(スカーフドーブル)
・S補正実数値213〜214(スカーフ意地ランド)

具体的なS調整手段と調整手順

特に記述が無ければS個体値はV前提。
上記の壁や危険地帯を意識して行いたい。

最速

最速の最大のメリットは素早さ実数値だけであれば種族値通りの行動順で動くため、自身以下のS種族値のポケモンを仮想敵に入れることができ、行動順もはっきりしているため対戦を組み立てやすいことにある。また、最速ドーブルが壁を作っているため、素早さが必要な最速75族以上は自動的に最速ないしそれに近いS実数値を求められやすい。最速ドーブル抜き→最速メガカメックス抜き→最速クレセリア抜き→最速ランドロス抜き…とどんどん抜かれていってしまうためである。
さらに最速の目的を分けると、
・自身が環境、基準を作る側、自分本位に動ける側なので最速でS関係を明確にするタイプ。
例.最速メガガルーラ、最速バンギラス、最速ドーブル
・自身が環境や基準を作る側ではなく、基準に対応する、なんとか環境に抗う側で、対応するために結果的に最速しか許されなくなったタイプ。
例.最速サンダー
となる。当然ながら前者の方が最速の理由として強力である。後者は最速を強いられているため、それ以外の重要な数値を削られてしまうことになりやすい。

準速

準速は最速と同様の理由で素早さが必要なのでSの努力値を振り切るが、性格までS上昇させる必要がなく、役割のために素早さより重要な数値を性格で引き上げるために採用されるS調整。その性質上、素早さ種族値自体は最速で採用されやすいポケモンよりもさらに高いことが多い。
例.CSメガボーマンダ、CSメガゲンガー

性格無補正無振り

S調整?と疑問符を付けられそうな項。必要なので記述する。
一般的にトリプルバトルでは素早さを下げる場合、理由が必要となる。
下げる理由は下げる調整の項で後述する。
トリプルバトルでは終盤に素早さの高い方が有利である。
相手に無効の攻撃技しかないような場合を除いて、終盤消耗しきった後にたとえ半減技でも攻撃できるなら試合に勝つのは素早さの高い方である。
サポート重視の育成リソースを全て耐久に注ぐポケモンでもそれだけでは素早さを下げる理由はないのである。
なお、Lv50での無補正無振りの実数値はポケモンのS種族値+20である。
例.ゴチルゼル、ニョロトノ、HAファイアロー

性格無補正4振り

このS調整の目的や理由は2パターン。
・S種族値が同じポケモンが同一パーティーに2匹採用されており、どちらも上記の無補正無振りが望ましいが行動順を明確にするためどちらか片方のS実数値を1上げるため努力値を4使うパターン。
例.性格無補正カポエラーと性格無補正ニョロトノを採用したとき
・無補正無振りやそれに近しい素早さが多いのポケモン同士やミラー同速勝負に勝つためにSに努力値を振りたいが振れる努力値が4しか残っていないパターン。
例.HAファイアロー

無補正無振り-1以下

素早さを下げる調整。
無補正無振りおよび無補正4振りの同速勝負に対してトリックルーム下で勝つための調整。調整は個体値を下げることで行う。注意点として素早さを下げすぎて通常状態で抜いておいた方が良い相手に抜かれてしまう、同速になってしまう、他の味方と同速になってしまわないよう下げても良い範囲はあらかじめ確認しておくこと。
例.S実数値145HAファイアロー

性格下降補正無振り

素早さを下げる調整。
だがどちらかというと性格補正で上げたい箇所があるがSしか下げる箇所がないというのが正確なところである。前述したとおり理由が無ければ基本的に素早さを下げる必要はないので個体値はVである。攻撃も特攻も必要な場合に採用される。個体値による素早さ低下を行っていないので、追い風やランク補正といったS操作と連携を取りやすく、また低速同士が残った終盤戦にも強い。
例.影討ちギルガルド、冷静電光石火ニンフィア

最遅

素早さを下げる調整。
性格下降補正S個体値0。
理由と目的は、
・トリックルーム下でしか行動保証を得られないトリルアタッカーなポケモン、もしくはそう仕立てたポケモンの為、トリル下でS関係を明確にするパターン。
例.メガクチート、メガユキノオー、最遅ヒードラン、最遅バンギラス
・トリックルーム起動などトリルアタッカーをサポートしながらトリル下で腐らないようトリルアタッカーと足並みを揃えるためS関係を明確にするパターン。
例.ブルンゲル、特大パンプジン、サマヨール
・元のS種族値が低すぎてトリックルーム以外のS操作との連携が難しく、他のポケモンと単純なS関係では足並みを合わせにくいためトリパ対策も兼ねて最遅にするパターン。
例.モロバレル
・滅びの歌に特化もしくは大きく寄せた構築で、判定勝ちを狙うため最遅にする、もしくは相手として判定勝ち対策に最遅にするパターン。
例.ゴチルゼル、ニョロトノ、モロバレル
に分けられる。

最遅+1以上

素早さを下げる調整であるが、個体値によって最遅より速くする調整。
最遅で採用されるポケモンと同速であるが、トリル下では不利な代わりに通常状態では有効な打点を持つポケモンで採用する調整。
最遅ポケモンが多い重トリパは1回目のトリルで残数有利を取りたいため、相手側は同速でトリル下で勝負するのは悪手。トリパ側のゲームプランの手助けをするだけである。なので同速だがトリル状態かどうかで有利不利が逆転するポケモンは最遅で採用する理由が薄い。ただし、素早さを上げすぎて、種族値では上のトリル下で抜かれてはいけないポケモンの最遅に抜かれるのも良くないので、上げても問題ない範囲を確認しておくこと。
例.S実数値50~57勇敢ハリテヤマ、ハリテヤマvsメガクチートの構図

仮想敵のS実数値+1以上

おそらく一番イメージしやすいS調整。
努力値、性格、持ち物、S操作手段を駆使して行う。
上記で述べてきた手法の延長線上にあることも多く、勝手に条件を満たしていたり、特にここまでSに振るならばと結果的に最速になったりする。
パターンとしては、
・単純にS実数値を危険な敵、仮想敵の最速+1にするパターン。
例.S125意地チョッキ霊獣ランドロス、S151メガリザードンY
・さらにその抜き調整を抜くために加算するパターン。
例.S126意地チョッキ霊獣ランドロス
・追い風、拘りスカーフなどで味方のS実数値を上げる、岩石封じなどで相手のS実数値を下げることで仮想敵+1以上を実現する数値設定を行うパターン。
Sランク補正を絡めた調整をする場合の数値は、岩石封じ、凍える風が最も使いやすいSランク補正手段なので、Sランク-1を基準にするのが有用。
(抜きたいS実数値×2÷3)+1=必要実質S実数値
で求めると良い。(ただし小数点以下切り捨て)
例.S実数値84、スカーフランドロス
に分けられる。

S調整を行う上で意識したい他の数値の調整ライン

Sラインの設定は大事なのだが、Sだけにかまけて他の数値をおざなりにして行動保証を失ったりしたら本末転倒なので耐久ライン、火力ラインも意識しておきたい。
とりあえず等倍、半減ならば満たせるかどうか確認したい、意識したい他のラインは以下。
火力:仮想敵の確定1発、低乱数1発、最低乱数が5割強の確定2発
物理耐久:陽気メガガルの親子愛捨て身タックル、鉢巻意地アローのブレバ、プレート意地アローのA+1ブレバ
特殊耐久:控えめメガマンダのWスキンハイボ、C補正眼鏡ニンフのWスキンハイボ、無補正無振りメガリザYの晴れ熱風、控えめ珠グドラの雨ドロポン

具体例

珠キングドラを例にしてそれぞれ調整の具体例と手順を示す。
1.キングドラは範囲アタッカーなのでCは極力高くしたい。よって控えめC252振りを仮決め。他の数値が必要であればここから削ることも考える。
2.最低Sラインの設定。相性有利なので天候に関わらず最速バンギラスを抜きたいのでS実数値125以上は決定。最速スカーフランドロスも雨下で抜けるので問題なし。必要努力値156。
3.耐久ラインの設定。S実数値に関わらず先制してくるアローのブレバを耐えたい。まずは鉢巻ブレバを耐えるかどうか。H4B12もしくはH28振りで確定耐え。プレートA+1ブレバの確定はハードルが高いので割り切る。水タイプなので不用意に剣舞はできないはず。キングドラはドラゴンタイプなので特殊耐久が高くなるH28振りを採用。同一の理由で珠最小ダメージの10n-1を満たす中で最大値を取るH68振りまで伸ばす。
4.残り努力値32の検討。キングドラは最速バンギラス意識の霊獣ランドロスにも相性有利なので、霊獣ランドとそれを意識したSラインを抜くためにS実数値128まで伸ばす。残り努力値8なのでSをさらに1伸ばすかBDに1ずつ振り分けるかの検討。耐久を少しでも上げたかったのでBDに振り分けることを選択。Cを削る必要なし。
結果実数値:159‐*-116-161-116-128

ドルウェブとルミプロとレギュGに帰ります。

さらに細かな意識しておきたいSライン一覧

先述の危険地帯の項から追加された分かつ重要なラインは太字で表記。

・S実数値31(最遅モロバレル)
・S実数値49(最遅メガクチート)
S実数値50〜57(勇敢ハリテヤマ)
・S実数値53(最遅特大パンプジン)
・S実数値58(最遅ブルンゲル)
・S実数値59(最遅バンギラス)
・S実数値63(最遅ゴチルゼル)
・S実数値67(最遅ニョロトノ)
・S実数値72(S性格下降補正ギルガルド)
・S実数値73(最遅ヒードラン)
・S実数値80〜84(控え目ニンフィア)
・S実数値84(追い風下最速100族抜き、Sランク-1S実数値125抜き)
・S実数値85(無補正無振りゴチルゼル)
・S実数値90(無補正無振りニョロトノ)
・S実数値90~91(HAカポエラー)
・S実数値108〜122(控え目ルンパッパ)
・S実数値122(準速キリキザン)
◎S実数値124(最速バンギラス)
・S実数値125〜126(意地チョッキ霊獣ランド)
・S実数値127〜134(臆病ルンパッパ)
・S実数値127~135(控え目キングドラ)
S実数値134(最速キリキザン)
◎S実数値139(最速ドーブル)
・S実数値140(準速ドリュウズ)
・S実数値141(最速ヒードラン)
・S実数値142〜143(スカーフ喪失意地ランド)
・S実数値143(最速メガカメックス)
・S補正実数値144(追い風下S実数値72)
S実数値145〜147(HAファイアロー)
◎S実数値150(最速クレセリア)
・S実数値151(メガリザードンY)
S実数値152(準速ボーマンダ)
・S実数値154(最速ドリュウズ)
S実数値156(最速ガルーラ)
・S実数値157(最速霊獣ランド)
・S実数値162(準速ゲンガー)
◎S実数値167(最速メガガルーラ)
・S補正実数値168(追い風下S実数値84)
・S実数値172(準速メガボーマンダ)
◎S実数値176(最速テラキオン)
S実数値178(最速ゲンガー、ラティアスなど)
・S実数値182(準速メガゲンガー)
・S実数値184(最速エルフーン)
・S実数値200(最速メガゲンガー)
◎S補正実数値208(スカーフドーブル)
・S補正実数値213〜214(スカーフ意地ランド)
・S補正実数値216〜244(すいすい控え目ルンパ)
・S補正実数値235(スカーフ最速ランド)
・S補正実数値254〜268(すいすい臆病ルンパ)
S補正実数値254〜270(すいすい控え目グドラ)
・S補正実数値280(砂かき準速ドリュウズ)
・S補正実数値300(すいすい最速グドラ)
S補正実数値308(砂かき最速ドリュウズ)


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