コロナ後 大きな変化

新型コロナウイルス流行の後
私達は今まで営んでいた宿を辞める決心をした。
そしてご縁があって屋久島に植林された杉(地杉)を使ったプロジェクトに関わらせて頂く流れとなった。
それはこれまで屋久島という土地で育った杉に注目し、広めようと努力し続けて来た方々と大いなる自然の中に秘められた力でのお陰様である。

私達夫婦は4年前に都会から屋久島へ移り住み、これまで宿を営み生計を立てきた。だが実は暮らし方に疑問を抱きながら過ごす毎日でもあった。簡単に言おうとすれば、宿の中の仕事は屋久島の土に余り触れる機会がなく地域に根差して暮らしている実感が湧いてこなかったのである。(土と言うのはその土地で成立する自然や暮らしという大きな意味合い)
そんな中、新型コロナウイルスの流行で世界中が大きな混乱期となった。
流行前から抱いていた疑問が、コロナをきっかけに表に湧き出てきたのだった。
もっと屋久島の土と繋がり暮らしたい。大地と繋がる安心感を体が必要としたのだった。

経済的不安を取り除けば、私の屋久島で暮らすという根本的なものはコロナウイルス流行前と実はあまり変わらなかった。流行前と同じ日々の営みが屋久島の大自然の懐で細々と続いているという事だった。
それは離島や人里離れた場所に暮らす人、または物理的には現代社会の中に住んでいても精神的に自立した人)ならば多くの人が感じることことかも知れない。
都会とは違い電車やバスに乗ったり、混み合った場所に出かける必要もなく、車で少し行けば誰も居ない広い場所で子供を遊ばせる事も出来る。海や川で子供と一緒にウイルスを気にすることも無く遊ぶことが出来たのは本当に幸運だったと思う。

とは言っても私達も観光業に従事するものであり、お客さんが来なくなるといういつもと違う現実があった。または島外から来られるお客さんと接するという事は緊張感を必要とする事だった。そして今後の暮らしがどうなるのか不安を抱えながらやり過ごす日々でもあった。しかし家族との時間が増えたのは事実で、これからの事を真剣に考える時間を与えて貰ったとも言える。
その時間が私達にはとてもとても大きな幸運であった。

続く

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