コロナ後 暮らしを整える

屋久島には「地杉」と呼ばれる杉がある。

屋久杉は誰でも知っているほど有名であるが、地杉は今までスポットライトを浴びずにいた。

まず屋久杉と言うのは、屋久島の森で1000年以上生きた杉の事を言う。1000年に満たない杉を小杉と言って区別される。そして地杉と言うのは屋久島で植林されて育った杉の事を言う。

私自身屋久島に惹かれた理由の一つには、やはり巨大な屋久杉が生きる豊かな自然林というものがある。20代前半の頃屋久島に移住し、エコツアーガイドとして2年間お仕事させて頂いた。(一回島を出て4年前にまた戻ってきて結婚した)その時にお客さんに一番説明する事はやはり屋久杉の事だった。屋久杉は江戸時代から材として使われ、沢山きられ始めた。そして屋久島は屋久杉の恩恵を受けて今まで発展して来た。時代は変わり環境保護に力が入り始め、材として切り出す事が終わってもエコツアーや工芸品作りなどで観光業にも多く貢献してきた。屋久島の危機を幾たびも救ってきたヒーローのような存在であると言える。

そしてコロナ時代がやって来た。観光客の数は激減し、何か島の発展には他の事を考えなければ行けない時が来た。

そんな時に私達は宿を辞める決心をしたのだった。そして幸運にも地杉に関わらせて貰える事となった。

私は今まで地杉というものに正直余り興味を持っていなかった。だが、ひょんな事から地杉について話を聞く機会があり、地杉の可能性に驚いた。

時代の流れが屋久杉から地杉の活用に変わっていく後押しをしているように感じた。

屋久島でも観光行に関わる人を始め仕事が減り、家族と過ごす時間が増え、暮らし方を見直すきっかけが出来た。暮らしの基盤になるのはやはり家だ。より良い空間で過ごしたいと思うのは当然の事。

私達も仕事を辞めるタイミングでお家がみつかり、引っ越しをする事となった。

2年近く誰も住んでいなかったお家は、初めはホコリだらけ、白蟻も来ていた。だが周りの協力もありながら少しずつ生まれ変わっていく家がどんどん好きになった。そして今とても過ごし安い空間となった。後から気が付いたのだが、内装に所々使われている材は地杉でないかと思う。新建材を使用した箇所はあるのだが、所々にでも加えられた島の要素が安らぎを与えてくれていると感じる。

屋久島で育った地杉の成分などは科学的に見てもとてもリラックス効果の高い材だと証明されている。

せっかく新しく作るのであれば島の材を使いたい。それは土に繋がる事であり、心の安心感をうむ。理屈ではなく、きっと心が豊かになれるそう感じた。

次回はもっと地杉の材について詳しく書いていきたい。私の分かる範囲でだが。

続く

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