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大人気マンガ『鬼滅の刃』感想。よかったところ、物足りなかったところ。※ネタバレなし [読書感想]

『鬼滅の刃』 という少年ジャンプの漫画が、アニメ化の影響もあり今や超人気漫画となっているらしい。僕もアニメを観たあとに単行本を買おうと思って書店を何軒か回っても、アニメ化されたところから先が売り切れていた。というわけでAmazon-Kindleでダウンロード購入し、現在発売されている17巻まで一気に読んだ。その感想を簡単に書いてみる。

なるほど人気があるのもワカル、という感じだった。僕の感じた、この作品の特徴を挙げてみる。(この先どう展開するのかワカラナイので、現時点の、ネ)
実はそんなに褒めていない。良いところと物足りないところがあった。

1. 物語構造がシンプルである
大正時代を舞台にした、鬼退治のハナシです。基本コレだけ。人を食ったり、人を鬼に変えてしまう鬼がいて、ラスボスの鬼がいる。鬼たちは組織化されている。そんなワルい鬼は、もちろん退治しないといけない。ということで人間の組織「鬼殺隊」なるものが存在する。鬼殺隊は剣士たちで構成されている。鬼軍団と鬼殺隊には、どちらにも階級のようなものがあり、基本的に"「強い鬼」と「強い剣士」のバトルの連続"がこの漫画の構成だ。どうもラスボスを倒したら決着が着くようだ。
ネガティブな見方をすると、上記のように設定が単純すぎて(ハナシがほぼ単線で展開していく)、物語の奥行きが足りないように思う。また、「なるほど、こういう切り口のハナシを思いつくの、凄いな。。」みたいな新鮮な驚きはない。
まあ、そのシンプルさが判りやすくてウケているのかもしれない。『HUNTER×HUNTER』なんて、フクザツすぎて本当についていけないところあったりするしね。。あれは極端な例だけど。。

2. 登場人物の描き分けがハッキリしている
主人公とその妹の造形がこの漫画の主軸であるのは間違いない。妹はネタバレに繋がるので触れないが、主人公の少年は「わかりやすい熱血努力くん」であり、屈託がなく素直なので人格的にも失敗や後悔を糧に成長していく。とても好感を持てる、愛される主人公だ。「鬼殺隊」とくに「柱」と呼ばれる上級剣士たちを中心にした味方キャラのメイン人物は10名ちょっといるが、それぞれの個性の描き分けも非常にハッキリしていて、それぞれに魅力がある。
しかし悪く言うなら、「少年漫画のどこかで見たようなキャラの描き分け」からハミ出ていない。敵の軍団も同じような感じですね。ラスボスの見た目的な造形とか。主人公が過去にまつわる「謎のチカラ」を秘めている、というのがこの物語のキーなのだが、その設定も、わりとよく見るものだ。

3. 展開の仕方もシンブル
「強い鬼の組織」と「選抜された鬼退治組織」の対決が始まるあたりから、バトルに次ぐハドルで、そのままバトルが激化してラスボスを倒して終わると思う。さっき「奥行きがない」と書いたけど、このシンプルなスピード感はアリだと思う。勝ったり死んだりする前に登場人物の過去、つまり人物の成り立ちを毎度差しはさんで説明する描写なんかは、まあよく見る手法だけど、スピードは殺していない。前半(アニメ化されたあたり)は少しノロノロしていた感じだけれど、とにかく途中からギアが上がって、最新巻まで速度が増しつづけている。この勢いのまま終わってほしいと思う。(ってこれ、ネタバレかな。。)

■この作品の魅力とは?
第一に、悪党が悪党然としている。つまりわかりやすく「悪い」やつらが敵なんである。なにせ人を食ってる鬼だからね。なので主人公側もわかりやすい正義となる。マンガだけでなく最近の娯楽コンテンツは、世の中の複雑さを我々ニンゲンたちが理解してきている状況を反映しているせいか、「正義と悪を単純に分けること」をあまりしない。それはそれでいいし、そのことについて書こうと思ったら長くなってしまうので書かないが、『鬼滅』はそういう意味でシンプルだ。「貴様のような奴は絶対に許さない!!」みたいなセリフがバンバン出てくるし、こちらもそういう場面でアツくなる。勧善懲悪の快楽はいつの時代も人を愉しませる。わかりやすい悪を怒りでぶった斬る。それが本作の最大の魅力だと思う。こういうアツさに酔えるのっていいナ、と思った。あ、あと、シリアスなシーンとコミカルなシーンを意図的に混ぜて描いているところも、少年漫画としては凄く大事だと思う。

■その他、物足りないところ
画力は高くないかなぁ。もう少し迫力のある画を描けたら、コマの使い方をしていたら、みたいなことを感じることが多かった。また、戦闘シーンは基本的に頭脳戦は少なく、オリャアアア!!という感じなので(火とか水とか風という能力属性も過去作には多い)、ハンターとジョジョから影響を受けた最近の少年漫画のような「おお、練ってきてるなぁ」みたいな驚きは少ない。

[さいごに]
とにかくアツいバトル漫画なので、結末までのハイテンションな展開が楽しみだ。いろいろな漫画から影響を受けていると思うけれど、田辺イエローの『結界師』と少し似たものを感じましたね。あっちもかなりの名作なので、よかったら読んでみてください。

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