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父の最期、二度と戻せない関係

きのう、友人からここへ書くことを頼まれたので、私の父が亡くなった頃のこと、父と私のことについて書くことにする。

ツイートでもnoteでも書いているけれど、父は2014年の2月に69歳で亡くなった。年末あたりに逆流性食道炎と診断されてから、2014年の正月は食べ物をほとんど食べられなくなり、下痢がひどく一日中トイレに籠るようになった。これはもしや癌ではないのか?となり、精密検査(PET検査)をしたところ、レベル4で、癌は全身に回っていた。余命は保って3ヶ月、と我々家族は知らされた。ショックは大きかった。手相占いに自信を持っていた父は72歳までは死なないハズだ、と言っていた。父は常々「死ぬことなんか全然怖くない」という態度で生きてきたが、抗がん剤で粘る、という意志を見せてきた。しかし結局、告知から1ヶ月ちょっとで、父は亡くなった。最後の日、父は「どうしてもタバコを吸いたい」と喚いたそうだ。ヘビー・スモーキングのせいで癌になったようなものなのだが、その悲痛で切実な渇望を、母と叔父が満たしてやろうと病院からいったん家に戻り、父の一時帰宅の準備をしている、その最中に死んだ。タバコを吸うことを叶えられないまま逝った。深夜に私が実家に戻ったとき、横たわった父の口にタバコが線香みたいに立っていて(そういうことをするのは叔父)、その姿は、あとから思い出すとちょっと可笑しい。まあそういうわけで、誰にでも訪れるように、父親が亡くなった。しかし、私と父の関係は、もう二度と戻せない断絶が入ったままとなった。その頃のことについて、真面目に書いてみる。

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