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“oneNDA Club Launches”というリリースをうけて ~契約内容は標準化に向かうのか

◆「OneNDA」?「oneNDA Club」?

Hubbleが2020年8月にローンチした「OneNDA」というプロジェクト。
2020年11月には日経新聞の一面にも掲載され、注目を集めてきました。また来週開催予定のセミナーや来月開催予定の参加企業の方も交えたイベントに関しても、大変多くの方に参加していただけるとのことで、一層の注目の高さを感じていたところでした。

【OneNDA】

そんな中、イギリスにおいて、‘a universally standardised’ NDAを提供する「oneNDA Club」というプロジェクトが立ち上がったというニュースに接しました。

名前も一緒、目的も共通するところが多く、同じ時期に、日本とイギリスで同様のプロジェクトが立ち上がることに驚きが大きく、どんなプロジェクトの内容かについてまとめたいと思います(Hubbleが運営しているのは「OneNDA」、今回のは「oneNDA Club」)!

また、これを機にあらためて、契約内容の標準化に関して考えたことについても書きたいと思います。

◆「oneNDA Club」とは?

「oneNDA Club」は、2017年設立のイギリスのリーガルテック「The LawBoutique」がローンチしました。これまでは、Contract Management system等を提供してきているみたいです。

コアメンバーはこんな感じでした。

今回のプロジェクトも、Electra Japonas(CEO)and Roisin Noonan(COO)の女性弁護士2名がfounderとのことです。

◆「oneNDA Club」の目的や目指すところ

「oneNDA Club」プロジェクトの目的について、法務業務の削減・契約内容の透明性向上・商取引スピードアップということが挙げられています。

弊社の「OneNDA」も単に業務効率化のみならず、契約内容の統一による契約内容の理解や迅速な取引開始を目的としているので、この目的のところは非常に共通するところがあります。

また、弁護士、特に社内弁護士が、NDAの交渉に不釣り合いな時間を費やしていることを指摘し、ほぼ同じ内容の複数のバリエーションの契約書を保有してしまっていることや、NDA違反による損害の立証が困難であることから、訴訟提起に至るケースがめったにないにも関わらず、社内弁護士が交渉等に時間を要していることを指摘しています。

さらにプロジェクトの実現可能性に関しては、一定の人が疑問を持つことは理解できるとしながら、初期フェーズで100人の弁護士を参加させてコンセプトを検証する等し、間違いなく達成可能であると信じていると表明しております。なお、プロジェクト範囲に関しては、今後は、全世界に展開していくことを目標とするそう。公開されたNDAに関しては、「oneNDA Club」が管理者となり、毎年(頻繁ではないにしても)レビューして、市場に対応していく予定とのことです。さらに、NDAだけではなく、雇用契約等にも展開していくことも示されています。

◆同時期に日本、イギリスで同種プロジェクトが立ち上がったのは偶然なのか?

これは憶測の範囲を超えませんが、「OneNDA」「oneNDA Club」は同様の背景で生まれてきた可能性があると思っています。

「The LawBoutique」は2017年設立のリーガルテックとして、contract management の領域でプロダクト開発を行ってきたようです。Hubbleは、2017年秋から開発をしてきました。

契約業務を効率化していこうと思った場合に、「存在している契約を前提として」それを管理していくことをまずは考えるはずです。Hubbleもそうでしたし、現在進行形でそれにチャレンジしています。他方で、方法はそれのみではないと気付きました。

それは「存在する契約のかたち自体を変える」方法です。

Hubbleを通じて日本の企業の契約書について考えたときに、契約書のデータ形式やその業務フロー等はほんとうに多岐にわたり、それを統一的なシステムでmanagementできるプロダクトを提供することが非常に難しいと感じる日々でした。今も感じています。

もちろんこのチャレンジはこれからも継続していく一方、別方向からのアプローチもあると思っていて、それが、「OneNDA」「oneNDA Club」だと思っています。

2017年以降に開発を続け、別の国とはいえ、contract management について考えたとき、上記のようなことを同じくして考えた可能性もあるのかな?なんてことも考えました。

◆契約内容は標準化されていくのか、されていくべきなのか

上記のような「oneNDA Club」の目的をみると、個人的にも非常に共感することが多かったです。これまでも、弊社のOneNDAに関するリリースを出した際の反響の大きさやセミナーでの申込者の数や質問からこのプロジェクトは間違いなく市場のニーズをとらえていること、このプロジェクトの実現可能性を強く感じてきました。
そして、今回の「oneNDA Club」ローンチのリリースを受けて、その思いは一層強くなりました。さらに、個人的には、日本での広がりはより一層早く、このプロジェクトの目的を実現していけると考えています。

日本における契約は、同一言語同一民族間の合意として、文化背景が似た者同士の合意となることが多いと思っています。既に共通の認識をもった者同士の契約書の意義は、その共通認識を確認することや共通認識を補助、補完する意義が強いものといえます。
その結果、日常的に取り交わされる契約書には取引実態の詳細を定めていないケースも多く存在し、特にNDAのように(一部のものを除く)「慣習的意義の強い契約書」についてはこの点が顕著だと思います。
このような特性を考えると、日本における契約ということとなれば、より一層、個別の契約書締結という方法によらずに、双方の共通認識を確認しておく形でのルールの定め方によって取引を開始していくことは可能であると考えています。

ここで、契約業務の効率化を考えるときに、一つの方法として、AIによる審査というものはこれから益々使われていくと思います。またこれにより、契約に潜むリスクを、AIが人間の能力を補完する形での、効率的なリスクコントロールがより一層可能になるでしょう。

ただ、私は、契約は人と人との合意やコミュニケーションそのものであることに再度遡って考えるべきだと思います。
その内容をお互いが理解して、そこにどんなリスクがあるのか、その後どんなことをしなければいけないのか、してはいけないのか、それを理解してくことが契約の本来的意義です。
契約書の的確なレビューを通したリスクコントロールのプロセスを効率化していくだけではなく(その状態も大きな改革であることは間違いないと思いますし、それが大きな意味を持つ契約も存在します)、契約内容を標準化して、一つのルールとして明確化することで、お互いがルールを把握した状態で取引を迅速に開始していく世界ができてほしいという思いがあります。

◆最後に

多くの企業、個人がこのプロジェクトに賛同していただき、このプロジェクトを進めていかなくてはいけないと思っています。皆様とともに新しい世界を作っていきたいと思っています。賛同いただける方からのメッセージ、ご意見等、お待ちしております。

【One NDAへの参加はこちら】

【OneNDA説明会】


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