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【アメリカ所得税法】日本の所得税とどこが異なるか

アメリカの連邦税のうち個人に対する所得税法のうち、日本と課税の取り扱いが異なり、面白いと思った部分だけ箇条書きでまとめてみました。まだ、連邦税法入門の講義を受けただけですので、その授業の復習用のメモだと思ってください。

  • 全体の仕組み:日本は分類所得課税(schedular approach)であり、所得を10のカテゴリーに分けて、別々に課税を行う。一方、アメリカは、よりglobalの手法を取っており、源泉にかかわらず、総所得に算入して課税を行う。ただし、経費控除に源泉ごとに一定の制限を加えているため、分類所得課税と実質的には大きく変わらないともいえる。

  • また、日本では、給与所得者の多くは、年末調整により確定申告が不要である一方、アメリカでは、所得を得ている者の多くがTax returnを提出する。

  • 利子課税:原則として総所得に算入(日本:源泉分離課税)

  • 配当課税:原則ルールとしては総所得に算入されるが、qualified dividend incomeに該当すれば、net capital gainとしての課税を受けることができる。(日本:上場株式等を前提とすると、申告分離と総合課税の選択)

  • 会計ルール:個人については、cash method(現金主義)を採用することが許容されている。(日本:「収入すべき金額」(所法36条1項)とあり、青色申告の一定の小規模事業者(同法67条)を除いて、発生主義が求められる。)

  • 相続した財産の取得費:相続した財産の取得費については特別な規定があり、被相続人の死亡時の財産のfair market valueに取得費がステップアップする。他方で、贈与の場合には、贈与者の取得費は引き継がれる。(日本:取得費の特例を考えなければ、いずれの場合も被相続人・贈与者の取得費の引き継ぎ)

  • 純損失の繰越控除・繰戻し:net operating lossの繰戻し(carryback)は先般の改正でできなくなり、その代わり、繰越控除(carryfoward)はかつての20年という縛りがなくなり、なくなるまでできることとされた。(日本:3年の繰越控除(所法70条)及び繰戻しによる還付請求(同法140-142条))


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