夕焼けインクと思いの行方
夕焼け色のインクを、小瓶に移す。大瓶は、書棚の奥に保管する。
ガラスペンが欠けないように、集中してペン先を小瓶に浸け、インクを拾った。
ペン先を紙面に落とす。夕焼け色の筆跡が輝く。何て美しいのだろう。
ペン軸である棒状ガラスにも、きらめきが溶けこんでいる。夜空星の姉様がくれた物で、魔女集会で温泉地に行った時のお土産だ。
雨雪にはお茶、黒鶫には木の実のお菓子。私には、文房具。
朝に歌う者、雨の日だけに仕事をする者など、姉様には使い魔が沢山いる。私は、瓶を窓際に並べて歌い、景色から色を写しとり、インクを作る係。
綺麗なインクになるよう、仕事に励もう。
思いを新たに、ペンをしまった。
第六十八回のお題「夕」
#Twitter300字ss @Tw300ss
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?