解像度を上げる
情報が綺麗に構造化されている為、理解も容易
1.解像度が高い人が持っている4つの視点
相手の持つ課題を時間軸を考慮に入れながら深く、広く、構造的に捉えて、その課題に最も効果的な解決策を提供できている事が、解像度が高い状態
①深さ
②広さ
③構造
④時間
の4つの視点が必要
「一つの事象を深く、広く要素分解した上で構造化し、その中でも特に重要なポイントが特定できている。更に時間の影響も考慮している」
深さがなければ、課題を考えるときも何が根本的な問題であるかがわかりません。
(例)売り上げが下がっている
顧客数が減っているのか?
単価が下がっているのか?
顧客あたりの購入頻度が下がっているのか?
などの課題の原因の深掘りが必要です。
つまり、見えているものの奥にある原因や可能性を深く掘り下げて把握する事で解像度を上げる事ができる
2.あなたの今の解像度を診断しよう
わかないところが、分かっているか?
分からないところがない、つまり、疑問がない、質問ができないのは解像度が低い時の典型的な症状です。
研究者が論文を書く時には、まず「わかっているところ」を調査で明確にする事で「分かっていないところ」を把握します。
つまり、まずは「分からない事」をはっきり言える状態にする。
まずはわからないところか、始めましょう。
幅広い選択肢の中から、何故これを選んだのかを言えるのが「構造化」だとすると
「幅広い選択肢」をきちんと知っているかどうかが「広さ」にあたる。
(例)美味しい料理を提供すれば良いというだけではなく、立地や接客、食器や照明、オペレーションなど様々な視点から語る事ができるでしょう。
また解像度の低さは
「競合に対して全性能で勝っている」
「競合よりも良い品質で安く提供できる」
起こるはずかない。
「競合はいません」さ
調査不足の可能性も…それとも顧客が解決したい課題がない。
代価品が何で、
顧客は代替品のどの点に不満を抱えているのかを明確に言えるのかが、視野を十分に広く、更に構造と深さが十分にある状態です。
その話はどこまで具体的か-「深さ」をチェックする
6W3H(5W1H+whom/how much/how ofen)で分解して具体的に説明
解像度が低い時に課題に対して
その理由を7段階以上掘り下げられるか、チェックしてみる
(例)
①顧客単価が上がらない
②ドリンクが想定以上に売れていない
③3杯目以降のドリンクが注文されていない
④ドリンクの選択肢が少ない
さらに理由は続く
一方で
①既存のアプリが使いづらい
②使いやすいアプリを作る
③情報がたりてない
④情報を提供する(マスメディアを作る)
⑤採用が出来ない
⑥人のマッチングをすら
⑦製品の認知度が低い
⑧認知度を高める
など抽象的な課題に対して、その課題をひっくり返しただけのような安易な解決策を提案しているケースは解像度が低い
ツリーで可視化してチェックする
①深さ
7段階以上になっているか
②広さ
他の選択肢をたくさん言えるか
③構造
漏れやダブりがなく、深く掘っていける分け方になっており洞察へ繋がる
①-③が十分である時
「他にも複数の原因の候補があったけれど、その中でも特にこれが大事で、それをさらに深掘りすると、これこれの複数の原因があり、その中でもこれが大事です。その理由は…」
④時間
時間が経つにつれてどのようにツリーが変化するのか、それを予測できているか確認する
【補足】
人々は必要に応じて、物事を白黒ではなくグラデーションで捉えたり、分からないものはまだ分からないものとして、その曖昧さや複雑さに向き合わないといけない
3.まず行動・粘り強く取り組む・型を意識する
高い解像度には
①情報②思考③行動の組み合わせ
①〜③の「量と質」を、高めていく
スタートアップには、
Minimum Viable Product(MVP)という考え方がある。
最低限機能するものを作り、それをユーザーに使ってもらい、ユーザーからのフィードバックを経て学びを得るサイクルを回す
最低限の課題解決が出来る最小限の製品を作る
MVPを作ってリリースする事は、まさに行動しはじめることで、解像度を上げていく方法と言えるでしょう
(例)diniiという飲食店向けのサービス
初期:飲食店の事前予約・注文アプリ事業に取り組む
その時のMVPは
ユーザー側から見えるアプリの部分だけをそれっぽく作り、実際の店側の予約システムは作らない
ユーザーがアプリ上でボタンを押すと、チャットツールでアプリ開発者に通知くるようにし、その通知を見た開発者が電話で店の予約
これなら予約などの複雑なシステムを作ることない
短期の時間軸ではリサーチを重ねるよりも実際にビジネスを始めた方が洞察を得やすいと考え、手堅く利益が得られる事業から参入して業界に対する洞察を得ていった。
情報と思考と行動の間の距離を縮める
起業のアイデアであれば、約1000時間、一つの領域に取り組んで初めて光明が見えはじめる
少なくとも200時間を情報と思考と行動に使わなければ、最初のそこそこ良いアイデアに辿り着くことは出来ない
最初のアイデアの良し悪しを検証するためには、200時間から400時間程度の活動が必要。
最初のアイデアは間違っていることが殆どのため、改めてアイデアを考え直すことにさらに200時間、そしてさらに検証するのに200時間から400時間かけると、合計で1000時間ぐらい。
努力をきちんとする事で、殆どの人には負けない解像度の高さを手に入れて、その領域での優位性を維持でき、粘り強く取り組み続ける事は解像度を上げる時に忘れてはならない姿勢なのです。
まずは型を心から信じて最初の半年間だけでも愚直に実践し続ける
何に焦点を当てて情報、思考、行動のサイクルを回していけば良いのか
まず意識するのは「価値」
「製品やサービスから、顧客が得られるメリットや満足感」
ビジネスでは顧客や社会の持つ「課題」を「解決」することによって価値が生まれる
4.課題の解像度を上げる「深さ」
課題を特定する前に解決策を作って磨き込んでしまい、そのあと課題が全くないことがわかったらどうでしょうか?
課題と解決策がフィットしようがないので価値は全く生まれない。
誰からも欲しがらないような製品を作ってしまったり必要とされていない機能を作ってしまったりすると、費用的・時間的な無駄が生まれます。
まずは課題の解像度を上げていきましょう
課題とは
良い課題を選べるかどうかで生み出される価値がほぼ決まる
解決策が課題を完璧以上に解決していたとしても、課題の大きさ以上の価値は生まれない。
良い課題の3条件
①大きな課題である
今はまだ小さいが将来大きくなる課題に今から取り組むのも一つ
課題の大きさを考えるときは
強度と頻度の掛け算で考える
課題の強度とは
(強度の高い課題:バーニングニーズ)
②合理的なコストで現在解決しうる課題である
幅広い解決策の知識が必要
合理的なコストで解決可能か(低コストでも価値がうめる)
しかし①②を満たす事はとても難しい
③実績を作れる小さな課題にわけられる
小さな課題の中でも、一部の顧客が強い痛みを感じている課題や、緊急性を感じている課題
そうした一部の人にとって強度の高い課題は、大きな課題に繋がりやすい。
症状ではなく、病因に注目する
(例)「モチベーションが下がっている」という症状の病因は…給与が低いからなど
対策としてモチベーションが下がっているからと言って「合宿を開催する」良い合宿をする為には?と考えても時間の無駄かもしれない
ビジネスにおいて症状と病因の混同で最も多いのが
市場の課題と顧客の課題の混同
市場の課題は症状
顧客の課題が病因と考えてみると課題の深さが十分かどうか見えてくる
深さのレベルを意識する
7〜10程度のレベルの深掘りが出来ていないと、重要な洞察を得られず、有効な解決策を、導くこともできない。
それに応じた情報・行動・思考が必要
内化と外化を繰り返す事で深めていく
・サーベイをすること(深さレベル1〜3)
・インタビューをする(深さレベル3〜5)
・現場に没入する(深さレベル4〜6)
・個に迫る(深さレベル4〜6)
※全ての深さレベルで内化をしたら、外化をする
・言語化して現状を把握する
・why so?を繰り返して、事実から洞察を導く
・習慣的に言語化する
この内化と外化を繰り返すことで、学習は進むと言われている
情報・思考・行動の考え方で言えば、
情報を仕入れるだけでなく、思考し、きちんと行動する事が大事
言語化して現状を把握する(外化)
●書く
「今、何が最も重要な課題だと思っているのか、それは何故なのか」を仮説で良いから最初に書く
考え抜いた「結果」を書くのではありません。
書くことは思考の「過程」です。
書く事で私達は考えることができる。
書き出す時には以下を意識する
●声に出して喋る
サーベイする(内化)
最低100の事例を集める
対象はニュースや市場のトレンド、研究、事例、人、製品など様々な領域にわたる
自分が関心のある課題に関連する製品やサービス、それを提供しているスタートアップを幾つも調べてみる
自分の手で触って見ることもオススメ
400以上知ると、ようやく頭の中に地図ができてくる
蓄積フォーマット化する事が重要(117)
本屋に行って自分の課題に関連する業界の端から端まで本を買う
予算を決めておく!
最低10ページはインターネットの🔍結果を見る
検索の「コツ」
・ダブルクオーテーションでキーワードをくくる曖昧検索を避けたい場合、キーワードをダブルクオーテーションで括って検索する
・専門的なウェブサイトの中で検索する
スタートアップに関する事であれば
→tech crunchやhacker newsなどのサイト
→Googleで「site:http://techcrunch.com/ClimateTech」とすれば
「気候変動に関連するテクノロジー」に関する記事のみ検索できる
・取り組みたい課題の市場に関する管轄省庁のレポートや白書を検索する
ビジネスであれば経済産業省や内閣府の資料
国際系であればJETROなどの資料
検索エンジンで「site:URL(半角スペースpdf)」と検索すれば見つけられる
・シンクタンクや戦略コンサルティングファームが出している資料
日本語資料であれば「経済レポート」
※作成した企業のポジショントークが強く出ているものもあるので注意
●インタビューをする(内化)
・意見ではなく、事実を聞く
探偵🕵️♀️
→「この時間に何をしていましたか(事実)」
→「あなたは誰が犯人ですか?(意見)」とは聞かない
顧客の意見を聞いて、その意見通りに何かを作ったり改善したりしても大抵うまくいかない
●現場に没入する(内化)
観察で細部にあるヒントに気づく
(例)使い終わったハンマーの置き方
・怪我をしないように
・手に取りやすく など
何気ない動作に意味がある時もある
観察はコスパはあまり良くないがインタビューなどでは辿り着けないホームラン級の発見につながる事もある
●個に迫る(内化)
1人の顧客に集中して深掘りする
・極端なケースや的外れ値、例外に目を向ける
・極端に先進的なことに取り組む人に目を向ける
①ヘビーユーザー
②想定外な使い方をしている人
●why so?を繰り返して、事実から洞察を導く
そこから得られた洞察を言語化する
つまり内化で取り入れた事実を外化する
外化を更に深めるのに
「why so?(なぜそうなのか?)」という問いです。
何故を5回繰り返す
深さのレベルを意識して問う
攻撃や論破のためではなく、自分自身で深めていくときや解像度の低い人に対して思考を誘発するために使う
つまり対話のために使う
「why not so?(何故そうではないのか)」という問いも有効です
まだ解決されていないのには何か理由があるはず
●習慣的に言語化する(外化)
・メモをする
・対話する
壁打ち出来る相手を探す
・教える
対話や質問の一歩先の言語化
今考えている課題について、よく知らない人に教えるつもりで話してみましょう
●言葉や概念、知識を増やす(内化と外化の精度を上げる)
私達は語彙を増やすことで世界をより精緻に見分けられるようになる
解像度を上げるときはより精緻なことはや専門用語、数値を使うことを心がけましょう
行動して現場に出向いて、why so?も繰り返しているのに、課題の解像度が上がらないときには、関連する文献を読む量が少なく、概念や知識が足りていないことを疑ってみてください。
●コミュニティで深掘りを加速する(内化と外化の精度を上げる)
1人で行くなら早く
皆んなで行くなら遠くへ
●情報✖️行動✖️思考の量をこなす
その領域の研究者、マニアになる
●数字ばかり追うリスク
一つの売上には一つのストーリーがあり、そこには顧客の苦しみや悲しみ、喜びがある。
そして次のビジネスにつながる洞察もあるはず
数字だけに頼って判断することは先進的でリスクが低いように見えて、新たな発見といった面では腕弱であり、リスクがある。
数字だけで考えるのではなく、足も使って考えましょう。ただし、解像度の上がった課題が正しいかどうかは、数字などを用いてしっかり検証することもわすれないように!
5.課題の解像度を上げる
「広さ」「構造」「時間」
広げる上で基本となるのは
この2つの思考の型です
ただし、視野は変えるだけでは十分に広がりません。
まず試して欲しいのは
そもそもを問うこと
コンサルティングの領域では
「ゼロベース思考」
と呼ばれる
(例)
課題:エレベーターの待ち時間
解決策:「エレベーターを早くする」ではなく、
「そもそも(待つ)とは何なのか」と考えてみる事で一歩引いて広い視野で課題を見ることが出来る
ただ待つではなく、「エレベーター前でやる事があれば良いのでは?」と考えエレベーター前に鏡を置いて身だしなみを整えられるようにする
これで「待ち時間」として認識する時間を減らせる、という解決策に到るかもしれない
といった問いは前提を見直すのに有効な問いです
10✖️の問い
「今の10倍の性質を出せる手段はないのか」
「今の10分の1の価値で作る方法ないのか」
これまでとは異なる課題や着眼点に強制的に目を向ける事ができる
リフレーミング
チャールズケータリング
「うまく述べられた問題は半分解決されているようなもの」
(例)
「自動車製造販売会社として何をすべきか」ではなく、「移動をより良くする会社として何をすべきか」
このようにリフレーミングすることで新しい課題が見えてくるかもしれません
視座を変える
現場の担当者は、目の前の課題に取り組まないといけないため、視座は低く、視野も狭くなりがち。時間的な視野も狭く、現時点の課題に取り組む
経営者は戦略を作る必要があるため
より遠く広い範囲を見渡すために、
高い視座を持ち、視野を広めてさまざまな物事をみている
ただし、空間的・時間的に遠くを見ながら意思決定をする分、現場の細かいことは見えづらくなります。
視座の高低は役割や場面によって変わる
解像度を上げるうえでは、まずは視座を高くして、広い視野を得ることがオススメ。
今の自分の立場より上の立場で考えてみる
(自分の立ち位置を把握する)
何を期待されているのか?
上司・会社の成功のためにどう動けば良いのか、
上司の成功のためにはどう動けば良いのかが見え、上司との協働もしやすい
もう一つ視座を上げると社会に目を向けて、
社会の課題やあるべき社会像などを考えてみると、自社がどういった方向を目指すと良いのかが見えてくる
●相手の視座に立つ
ここで必要なのが「共感」
(例)顧客候補の「この作業面倒だな」といった感情に感情的共感を覚えながら、同時になぜそうなっているのかを認知的共感を使ってみる
●将来の視座に立つ
バックキャスティング
将来のあるべき姿を考えて、そこから逆算して現在やるべきことを考えるという方法
プレモーテル(事前検死、死亡前死因分析)
「半年後のこのプロジェクトが大失敗終わったとして、その原因は何か」を考える
そうすると起こり得るリスクを事前に洗い出し、対処することができる
プレパレード
将来大成功した時のことを考える
未来の視座に立ち視座を変える一つの手です
こうした時間の視座をいくつかの点で取ってみる
10-10-10の問い
意思決定した後に10分後、10ヶ月後、10年後に何が起こっているだろうかと考えることで、それぞれ異なる時間軸からの視点を得る
●視座を激しく行き来する
自分の仮説の正しさを検証し、もし正しくなさそうであれば別の仮説を作り上げる
特にマクロとミクロを行き来できるのは大切
●人と話す
人と話して探索ばかりでは深掘りが進みませんが「体験する」「人と話す」という広さの探索にきちんと時間と資源を割り当てておく事で、中長期的な生産性は最大化される
自分の時間の2割程度は常に探索のために使い、いつもと違う人と話したり、違うことを体験してみる
●改めて深める場所を決める
選択肢の良い面も考える
深めるべき場所の選び方があまりうまくない起業家は、その領域やビジネスに関する知識が十分でない
「構造」の視点で、課題の解像度を上げる
「広さ」の視点で解像度が上がり、様々な課題の可能性が見えてきたとしても、
「構造」の視点がなければ、どの課題を解決すれば最も価値が生まれるかが分からず、良い課題を選んで深めていくことは難しい
良い洞察に繋げられない
そうすることで全体としての意味を理解できる
①分ける
「どのような切り口で、分けるか」
(例)電気の利用状況
「何に」使われているかを切り口にすると
「冷暖房」 「輸送」などになる
電気が「どこで」使われているか
「オフィス街」「住宅街」などになり、
山では殆ど使われてないことが、わかる
このように切り口次第で得られる洞察は変わる
思いがけない洞察を、得るためには
コツは既存の事例の切り口をしらべて、
自分たちが取り組んでいるものに応用する
具体的な行動や解決策が見えるまで分ける
目的にあった適切な行動ができる単位まで分ける
ビジネスによって、目的や最終的な行動によって、分けるべき単位は異なる
(例)ファーストフード店の「とにかく売上を上げろ!」
店に人を呼び込む為に声を張り上げるという解決策をとってしまうかもしれない
このような解決策も考慮できる
行動できる粒度に課題を分けていく為には、解決策や技術の知識も必要
(例)「金銭的にお得な行動を示唆するアプリ開発」
→アプリを作りたいがどうすれば良いかわからない
アプリ開発のためにどういった課題があるのか分けることすらままならない
うまく物事を分けられていないなと自分で思ったら、まずは知識を身につけましょう!
②比べる
分けた上で比較し、そこから意味を見出すこと
●抽象度を、合わせることで比較可能に
ビジネスモデルとは
具体的な製品や内容を捨象して、
・お金の流れ
・ステークホルダー
などの関係のみに注目し、そのビジネスの構造を把握したもの
そうすると製品ではなく、どのようなビジネスモデルが優れているか比較できる
また他の領域での優れたビジネスモデルを自分たちの領域に持ってくる事も可能
●同じ抽象度かを把握するには、同じカテゴリーかを確認する
などなどなどなど
この内容は
解像度を高めるためにどのよう課題があるか。
それを深さ・広さ・構造・時間の観点で明確化していく。面白いプロセスです!
是非参考にしてみて下さい。
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