永久に囚われた悪魔。感想など
アプリゲームA3の第9幕の劇中劇、「永久に囚われた悪魔。」の感想
最初は「天使を憐れむ歌。」のifストーリーなのかと思ったけれど、アナザーストーリーな気もする。「天使。」は「天使。」で完結していて、「悪魔。」は、あの世界で起こった別の物語なのかなと。
どちらにせよ、フライヤーにもタイトルにも情報がたくさん詰め込まれていて、関連を匂わす感じが素敵だと思う。
この劇中劇の何に惹かれたかといえば、
それはもうルキフェルという悪魔に心奪われてしまったんだよね。
ストーリーにおけるルキフェルの報われなさとかマルクへの執着とか、まさに永遠の片思いで、
しかも元々はふたりともが天使で、
ふたりともが、ひとつの命を理不尽な運命から救いたかっただけ。
それなのにルキフェルはずっと孤独に何度も別れを繰り返しているし、マルクは異質な魂として人間界に馴染めない。
かつての己が罪ってなんなんだろう。
ルキフェルにしてもマルクにしても、
誰かを救いたいと願うことや行動したことが罪なんだとしたら悲しすぎる。
最後のルキフェルの独白は、心からの叫びで、
聞いていると苦しくて泣きたくなってしまう。
「永久に囚われた悪魔。」ってタイトルも残酷すぎるよね。(褒めている)
本当にそのタイトル通りなんだもん。
何度手を伸ばしてもつかめないのに、
いつでも自分のいる地の底まで光が届くから、届いてしまうから、忌々しくて呪わしいとすら思うのに、あいにいってしまうんだよ。
絶望と引き換えの癒しを求めてあいにいってしまうんだよ。
しかも天の福音って言っているから、忌々しいけど喜びを伝える知らせでもあるって自分でも思っているんだよね。ルキフェルさんは。
レニさんは舞台を観ながら、ルキフェルに心を重ねていたけど、
そうするとマルクという存在もルキフェルからしたら悪魔みたいに思えるときもあるんだろうな。
永久に心を囚われる呪いをかけられてしまった。
0か100かというか、幸と不幸が表裏一体過ぎる。つらい。
それから紬さんがルキフェルを演じるにあたって、誉さんが悪魔について語った言葉が本当に大好き。
悪魔と人とは根本的に異なる存在かもしれない。
でもそれは、絶対に理解出来ないものではなく、親しみをもって寄り添えれば、熱の灯る心を感じ取ることができる。
理解の及ばないものは怖い。
何を考えているかわからないからと遠ざけてしまうこともある。
でも紬さんが冬組のみんなの言葉を受けて、自分の中で考えて、
ルキフェルという悪魔を、神秘的で理解の及ばない化物ではなく、ひとつの魂に執着し、永久に叶うことのない願いを胸に生きている、
私という人間が共感出来る存在として演じて、見せてくれた。
たったひとつの過ちも許さない神に慈悲はあるのか。
たったひとりも救えないなんて無力だ。
誰かを大切に思う気持ちとしてルキフェルの叫びには物凄く共感してしまうけれど、
でもルールはルールであるから、守らなければ自分たちが守られなくなってしまう危険だってある、と考える理性も私にはある。
だからこそ、天使であったルキフェルが悪魔に身を落とすということは、
何もかもを捨ててしまうほどの絶望とそれ以上の覚悟だったんだろうなって実感する。
でも!!それなのに!!
そこまでの思いがあるのに、ルキフェルはマルクの魂に手が届かない…
そんなのもう…どうしろっていうんだ!!!
かなしい、むくわれてほしい、うつくしい…いろんな気持ちがごっちゃごちゃになるよね!!
私は物語としてはハッピーエンドが好きで、
この「悪魔。」というお話は、めでたしめでたしで終わらないんだけれども、それでも愛に溢れていたなと思う。
登場人物なんて、悪者みたいなひとたちばっかりなんだけど、それぞれが意志を持って生きているから、憎みきれないというか。
理解の及ばないものがこわい、を逆に捉えれば、理解出来ればこわくないってこと。
流石に直訳すぎるけど、
理解できないって、さっさと結論づけて遠ざけちゃうのは勿体ないなって思うし、
相手が言わなかったから悪い、とか
言ってくれないとわからない、とか
そういう言葉に甘えて思いやることを放棄しちゃうのも残酷なことなのかなって思った。
私は、大事なことは言って欲しい、って思うタイプだけど、大事だから言えないこともある。
どうしてどうしてを相手に投げる前に、自分で考えることも必要だと思う。
最後はストーリーと関係なくなっちゃったけど、とにかく色々気づかされたり、プラスの意味でたくさん考えさせられたお話だった。
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