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「球体の球体」を観劇して。

個人的な解釈です備忘録として残します。正しく無いニュアンスの箇所も有りますご注意下さい。

ドラマ「25時赤坂で、」を見て新原さんが大好きになり「球体の球体」を見に行く事にしました。2024年のハンサムライブで新原さんを見ていたのでその舞台での発光具合も知っていたのですが、当て書きのお芝居と聞いてどんな作品なのか?物凄くドキドキでした“寓話”と作品紹介されていて、ふわふわしたお話かなあ?と
snsレポもなるべく見ない様にして向った9月20日(金)上演期間折り返し手前ほどが自分の初見でやっと見れるのが嬉しかった。

ストーリー HPから
現代アーティストの本島幸司もとじまこうじ(新原泰佑)は、2024年に遺伝と自然淘汰をコンセプトとしたアート作品『Sphere of Sphere』を創作する。その作品が話題となり、独裁国家の「央楼おうろう」に招待されることで本島には思いもよらぬ人生が待ち受けていた。そして35年の時を経た2059年、本島の告白から物語が始まる。

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光の回廊を抜け暗い通路から舞台に上がりその真ん中の凹みから積み上げられた赤いガチャ16基『Sphere of Sphere』(池田亮・作)を見て観客は着席となります。ガチャにマジック?で走り書き”決めずでいいじゃないか“などそれぞれに書かれていて作家さんの生な感触が有りました。コレがどんな作用をどんな意味を持っているのか思いもつか無い観客。

中央ガチャ塔から発せられているであろう低めの異音?が響くなか時間になるとそのまま静かに入口下手の通路から2024年の本島(新原泰佑)が階段を下って舞台に登場します、先程まで私たちが通っていた道その延長線上で始まる物語。

あっという間の上演約1時間35分が終わり球体から放り出され太陽の元…

めちゃくちゃ1人興奮してました。先ずは自分にスッと入ってくる様な作品でそれが新原さん当て書きだった事に!
正直好きな俳優さんの自分に全く響かない作品ほどツラい事は無い。
いや、でもコレかなり受け取り手を選ぶのでは?と同時に思いました。何故なら托卵児や自ら命を断つ家族や望まれない遺伝子の様なワードが登場しそれだけでもツラい方も居られると思います。ふわふわ感ゼロのお話でした。
最終的には“央楼国・美術館”は滅びる。一見その様な着地でした。

“なんてカッコイイ、カッコ付けた作品だろう”と自分に強く残ったメッセージは
芸術の意義を勝手に感じて
自由奔放な何にもとらわれず決め切らないモノであり、一方で人間が形にする“欲望”なわけでその存在ともちろん切り離せず。
時に反発し絡み合い共存しやっぱり理想を体現する!みたいなものでした。カッコイイ。

同時に凄く気になったのは
ナゼ女性が登場しなかったのか。
お母さんの幻影だけで十分だった?残す残さないは産む産まないで有りそこに女性不在は勇気あるなと…どの様な意図だったのだろう。
過去作の池田さんインタも少し読んでみました、自分にはコレが初めての作品ですが過去にはご家族も登場する様な今回とは違った濃い作品も有った様で、違ったアプローチしたかったんだね!で落ち着きました個人的に。

この登場人物の限定で作品は凄くスッキリして、ある意味一方的かも知れないけど芸術の部分が自分にはより強く刺さったと思います。

そこが気になって3日後には追いチケ観劇しに行きました。見落としたトコが有ったのかなと…いっぱい有った。けど大きくは変わらなかったです。
snsレポだと千秋楽まで日々セリフも変わっていた様でしたので全通された方も楽しめましたね演者さんは大変だっただろうけども。
全完売もおめでたいですがリピータが付いたり評判を聞いて上演期間中にもお席が取れるのは理想的です。

2024年の本島
托卵児だったんです。からの淡々とした告白がツラくて……育ての父が一緒に暮らせないと近所に引っ越して、その距離を使用済みコンドーム930個分(←追記・小栗さんと新原さんの打ち上げ配信で確認できました930個 10/04の062FC配信)で測った。それが作品になり相当炎上する事に…そして兄弟を亡くしたキュレーターの岡上(前原瑞樹)との出逢いをつくる。
グレイニ(小栗基裕)は作品集を見ながらコレ何い?ヒドイヒドイと酷評して「それ迷惑でしか無いねえ」と言う。作品にするしか道が無いパイプカット済みの作家本島の欲望と、生き物の根源的な欲望とが並べられている皮肉。


ある日母親から言われて、手を繋いだ知らない男の人。それは今まで感じたことのない無味無臭で本当の父親だったと感じた------そこがリアルでひんやりもの悲しかった。

物語は2059年という現在“大統領を一生懸命35年間務めた本島”(相島一之)の告白で始まる。がそれはホログラムだったと後に観客は気がつく。
2024年央楼国に「Sphere of Sphere」を披露しに来てグレイニ(小栗基裕)から大統領の職を引き受ける経緯を若い頃の本島(新原泰佑)がホログラムパフォーマンスとして展開される。その尺は長いので見てるこちらはその事を忘れがち。
最後は35年後の2059年に再度場面は戻り央楼国の現状をグレイニーの遺伝子を引き継ぐヒロシ(小栗基裕)が美術館職員として現れホログラムを停止させる。
そこへ客席側から世界を旅していたクニヤス(新原泰佑)が父を求めて辿り着く。クニヤスは、本島の息子と名乗り、ヒロシはクニヤスに本島・父親のことやこの国は変わる事が出来ず滅びるであろう事を話す。
本島は35年前にキュレーターの岡上(前原瑞樹)とやって来て央楼国の大統領に就任した事、最後は“生まれたくなかった”という岡上の子供に殺されたと知るクニヤス。

舞台装置はそのままで時間軸は動きホログラムが展開されている。観客はほとんどの時間本物に見えるホログラム(設定)を見ているのだ。

エンディング 
積み重なるガチャの下から無数の”ホログラムでは無い“シャボン玉が舞い上がりクニヤスはつられる様に全身から生きる全てを放って踊り出す。
光が放たれるその瞬間。奥には35年もの間踊る事が出来ないほど大統領の職に追われていた本島もシャボン玉のストローを咥え笑顔で、もうあの頃の様には動かない身体で踊り出す。このベテラン俳優相島さんとダンスを20年以上やっている新原さんの説得力。当て書きの凄みが確かにそこに有る。

本島は最初から言っていた“シャボン玉と踊る事が好きな子供でした”とシャボン玉はこの世界の美しいものを映し出すと育ての父が教えてくれたと。

クニヤスとは
中央のガチャ塔『Sphere of Sphere』に吸い込まれるようにクニヤスは消えてお話は終わる。

自分にはその終わりが余りに眩しく美しく……
”他の国が強くなり過ぎた“と終わりを向かえようとした央楼国。そこに残る、引き継ぐ決意をしたクニヤス。それは育てる引き継ぐ性・希望の象徴として存在すると思いました。カッコイイ。
国康 国保 国泰 国安 国靖 ぜーんぶクニヤスもっと有りそう。

今さら“寓話”調べ…確かに時空を超える寓話だった。

最近はミュージカルにハマって大きな作品を見てパワーに溺れる体験が多かった自分には新たな出逢いでした。
シアタートラムが初めてであり小さな劇場でのお芝居もあまり見た事がなくそれが新原さんの作品で本当に良かったです。ありがとうございました。またステキな作品へのご出演お待ちしてます。

追記  
公演が始まり5日ほどした9/18夜に新原さんのストリーズにコメントが上がりました。思ったよりお手紙が多くて嬉しいこと、ありがとうの気持ちを伝えたいこと皆んなのことが大好き。といった内容がご自身の言葉で語られていました。何て素敵な語り口だしお人柄の良さを感じてグッと来ました。これからも沢山の各種作品でお会い出来ると思いますし遠くからでも見守っていけたら良いなと思いました。


初めて最後まで書けた〜いつも途中で挫折して書きかけだけが積んであるのだが。達成感有る!どんなに気に入っても感動しても薄れてゆくから残した方がいいですね。出来るだけnoteしていこうと今は思ってます。

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