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電通のインターンに行った話

※この記事は体験型イベントのアドベントカレンダー(http://www.adventar.org/calendars/1048)の一環として書きました。


はじめましてはじめまして。

いとうはるなと申します。


私は、WAL・Walkin'・algoという団体や個人で謎解きイベントを作っています。代表作は昨年の謎キャンに出展した「IN THE DARK」、OculusRiftを使用した「電脳スペース攻略実験」、アリスの世界観を再現した「終わらないお茶会からの脱出」、2人プレイ専用持ち帰り謎「わんわんわんわんにゃあにゃあにゃあにゃあ」などでしょうか。
初めて参加した謎解きは2012年11月に行われた「終わらない遊園地からの脱出ver.2」です。


それでは、さっそく本題に入ります。
私は、今年の夏に電通のインターンシップに参加しました。
電通は、広告代理店であり、様々な広告(CMやポスターなど)を製作する会社です。
インターンシップとは、企業の仕事を1週間から1ヶ月程度体験することができる機会のことです。長いと数年かかるインターンもありますが、今回は7日間(のべ1ヶ月)のプログラムでした。

この会社のインターンは大きく2種類、
「アイディアの学校」と「デザインサマースクール」というものがあります。

前者は、みなさんが想像するような通常のインターンであり、
広告の作り方やアイディアの発想の仕方などを学ぶ場所です。
後者は、その中でも「デザイン」に特化したインターンです。

詳しく知りたい方はこちら
アイディアの学校→http://www.dentsu.co.jp/intern2015/
デザインサマースクール→http://www.dentsu.co.jp/recruit/ds_school.html

私は、プランナー兼デザイナーとして様々なイベント制作に携わることが多かったのですが、自分のデザイン力には全然満足していませんでした。「ダサいなぁ」と思いながらも、どう修正していいかわからず、悲しみにくれながら世の中に作品を送り出していました。
そんなときに、たまたま「デザインサマースクールのホームページを見つけました。
ホームページがすこくかわいいし、見やすいんです。感動しました。

しかも、あの、電通さんのインターンですよ。そりゃあ大層すばらしいものを教えていただけるのではないかと思いました。

私は、このインターンに参加してデザインがもっとうまくなりたいと思いました。

すごく思いました。
すごくすごくすごく思いました。
すごくすごくすごくすごく思いました。
すごくすごくすごくすごくすごく思いました。

ほんとにすごく参加したいと思ったんです。
2014年度のデザインサマースクールのホームページを見たことがありますか?
超かわいいんですよ。http://www.dentsu.co.jp/recruit/pdf/ds_school_2014.pdf

それをみて超行きたくなりました。

わたしも、こんな可愛いものを作りたい!デザインうまくなりたい!って思ったんです。


加えて、こんなことが書いてありました。

「このサマースクール は、世界を舞台に様々なコミュニケーション課題に向き合っているDENTSU が、次の時代を形 作るであろう「次のデザイナー」たちと出会い、その成長と覚醒のきっかけを作るために開かれる小さな“学校”です。
小さいけれど本気です。手抜きはしませんし、手加減もできません。学生向けの優しいやり方も知りませんし、必要ないと思っています。だって「本物のカリキュラム」じゃなかったら、意 味がない。この学 校に応募する、参加する、すべての若きデザイナーに、われわれも今を生きるデザイナーの一人として持 てる全力をぶつけ、出来うる最高濃度の時間を提供することを約束します。それが、未来に向けた最も意味のある「デザイン」だと信じているから。」
HPより引用

超かっこいいです。
すごくすごく参加したいと思いました。


これが、今年の5月の話です。7ヶ月も前ですね。笑

2014年のホームページには、6月中旬にエントリー課題(家族を紹介する30秒程度の映像)の締め切りだと書いてあったので、エントリー開始は6月初め頃かなと思い、その日からほぼ毎日ホームページを見に行ってました。けなげです。
6月3日くらいに、2015年度のホームページが開かれました。
その瞬間は、もう超ドキドキで、今年の課題が何か、薄目しながら、見たいような見たくないような気持ちで見たのを覚えています。

今年の課題は、「あなたが考える[最高の夏休み]に誘うはがきを送ること」でした。

いやいや。

「誘う」ってなに?????

これが、エントリー課題くんを見たときの第一印象でした。

最高の夏休みを「表現した」はがきなら分かりますよ。
「さそう」ってなんじゃああああああああああああ
え?企業様を、私が考えたさいきょうの夏休みっぽい日に誘う招待状を送ったらいいの???

のちのち、
「誘う(さそう)」ではなく、「誘う(いざなう)」であることに気づき、
「誘うってなんじゃあ」問題は、一件落着しました。

誘うということは、
はがきを見た人に「あぁ、この人が考えた夏休みはいいなぁ」と思わせること、
見た人の気持ちを揺さぶることです。

(これがインターン中に口をすっぱくして言われた人の「ココロを動かす」ということにつながると、今になって思います)


私は、この「あなたが考える[最高の夏休み]に誘うはがき」という課題を超考えました。
電通のインターンなんて絶対行けないと思っていたけれど、課題に取り組むことが自分の成長につながると思っていたからです。
ほぼ毎日、あーでもないこーでもないと考えていました。

Tシャツを着た女の子が書いてあって、濡らすと上の紙が溶けて、下の紙に描いてあった水着の女の子が出てくる、一皮向けるというメッセージをこめたはがき。
短編閉じのはがきで、閉じたとことに小さな芽が、開くと大きくなった花がかいてある、成長を表すというはがき。
謎を解くとメッセージが出てくる、謎解きっぽいはがき
最高の定義、夏休みの定義、はがきの規定を辞書でしらべたりもしました。
最高ってなんだよ。
夏休みについてのマインドマップを作ったり。
などなど、超超超考えました。

今年のデザインサマースクールのテーマが「THINK THINK THINK.」だったので、とにかく考えて考えて考えようと思ったのです。←単純

登校中も授業中も下校中もずっと考えてました。
学校の友達にも相談したり、、、。


結局、コレだ!というベストなアイディアは浮かんできましんでした。
でも、一生懸命ずーーーっと長い間考えて、素直に、今自分が思っていることが伝わるはがきにしようと思いました。

1、デザインサマースクールに本気で参加したいと思ってること。そのすさまじい熱量と意思が伝わるデザインであること。
2、目立つこと。100人以上いるエントリー者の中で圧倒的に目立つこと、そして特異であること。誰かとかぶるようなアイディアじゃダメだと思いました。
3、課題のテーマに対する答えが表されていること。

以上のことから、こんなはがきを提出しました。

1、デザインサマースクールに本気で参加したいと思ってること。そのすさまじい熱量と意思が伝わるデザインであること。
→あえて、制作に超時間がかかる巨大で緻密な作品にすることで、やる気とパッションを伝えました。
2、目立つこと。100人以上いるエントリー者の中で圧倒的に目立つこと、そして特異であること。
→はがき31枚をならべた巨大な作品(1枚1枚が完結された作品であるが、カレンダーの形に31枚並べると文字が現れる)
3、課題のテーマに対する答えが表されていること。
→「私が考えた最高の夏休み」=「1日1日を充実させること。その結果として夏休み全体が素晴らしい経験になること。」、「誘う」=「往復はがきを使うことで、がっつり強引に私側に引き寄せる、往復はがきの強烈な誘うイメージ、私の絵葉書に感化されて誰かを誘うことを期待」

こんな気持ちを込めて、3日くらい学校を休んでほぼ徹夜で作業しました。


完成した後は、印刷会社に持って行って、
超いい紙に印刷してもらいました。暑すぎるので1枚1枚手差しの印刷だったそうです。裏側ははがき独特のマットな感じ、表はツヤのあるキラキラした感じにしたかったのでシール紙に印刷しました。印刷代は7000円くらい?かかりました。

印刷後、1枚づつ切って、シールを貼って、
多分細かいところも見るだろうなぁと思って、紙とシールの端がぴったり合うように、張り合わせた後にカッターで1辺ずつ丁寧に処理しました。

31枚輪ゴムでまとめられた状態で届くのではなく、1枚だと思ってたら、「あれ?いとうさんのはがき2枚なの?」「え?これで10枚目だけど?」「え???一体何枚届くの?」と思わせたかったので、数カ所のポストから分けて投函しました。

超こだわりました。
超超こだわりました。
超超超こだわりました。

「我が課題制作人生において、一片の悔いなし」
って感じです。

唯一、
往復はがきを送る時は、「往復はがきだよ」という印を返事用のはがきの裏面に記載しなければいけないというどこにも書いていないルールが適用されて、手書きでそれを書き加えたことは悔しかったです。

ですが、それ以外、
なんの悔いもなく提出しました。
ああすればよかった、こうすればよかった、とは全く思いませんでした。

思いつく限りの最善を尽くし、一切妥協なく作りました。

思えば、私は妥協妥協の制作人生でした。
人に責任を押しつけて、自分が最大限出来うる限りの努力をすることを怖がっていました。

改善する余地があることを見つけても、
時間がないから、別にそんなに重要じゃないから、わたしの担当範囲外だから、一生懸命関わって失敗したら怖いしとても悔しいだろうから。そんな理由で余力をのこしたまま完成させることが多かったです。

そんな私でしたが、今回は「電通のインターンに参加してデザインを学びたい」という気持ちで全力で、余すところなく、悔いなく課題に打ち込めました。

結果、1次選考を通過し、
その後の「電通アートディレクターフェス」にて最優秀賞を取ることができました。

参加者の多くは多摩美、武蔵美、金美、美大、藝大で、4大は1割もいなかったと思います。そんななかで、4大の学生がグランプリをとりました。
まさか名前を呼ばれるとは思っていなかったので、とても嬉しかったです。

でも、ここにいる全ての人の中で、自分が一番「考えた」し、「努力」したという自信はありました。


長くなりましたが、
今回の記事で伝えたかったことは「全力」出そうよ!
「全力」になれる何かを探そうよ!

「全力」で面白いものを作ってよ!


ということです。

簡単だけど、意識しないとできないことだと思います。




さて、

書き終わって気づきました。



嘘です、
最初から気づいてました。


「電通のインターンに行った話」じゃなくて「電通のインターンのエントリー課題に全力で取り組んだ話」じゃんって。

インターンの内容は口外禁止らしいんです。
誓約書を書かされました。ごめんなさい。



「電通のインターンに行った話」は、リアルで飲みに誘っていただければいくらでも、誰にでもお話しします。(話して良さそうな範囲で)

飲みに行くのやだよ〜って人は、電通報にインターンの内容が載っているのでご覧ください。
(http://dentsu-ho.com/articles/3099)


それでは、
飲みに誘ってくださいね!


※この記事は体験型イベントのアドベントカレンダー(http://www.adventar.org/calendars/1048)の一環として書きました。




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