お年寄りの髪を切る

屋久島にいたときに兄貴の様な友人に出会い居候させてもらっていた

その友人のおとんが家に探し物をしにきた

一緒に探し物をして珈琲を入れて世間話をしていた
73歳になるおとんは屋久島の歴史や生い立ちを4時間ほど話してくれた

そして髪を切らせて貰う事になった
僕はおじいちゃんおばあちゃんの髪の毛を切るのが好きだ

そこで聞く話は僕がまだ生きてない時代の話
昔話に浪漫を感じる
今の時代に生きている僕には考えられない生活のスタイルが目の前にいるおじいちゃんの根っこにあるのを強く感じる

楽しく暮らせているのは先人達の積み重ねのおかげだと思う

話しているとおじいちゃんの瞳が曇ることがある
きっとなにかあったのだろう
悲しみや困難を噛み締めながら話す姿に人生の深みを見る事もある

かと思えば屈託のない笑顔で一緒に笑っている
このおじいちゃんとは下ネタでケタケタ笑っていた
楽しかったなー

そして髪の毛を切らせてもらうことになり

その場に合う音楽をチョイスして

会話を楽しみながら

空と海を見ながら

ゆっくりのんびり髪の毛を切っていく


言葉では現せない気持ちを沢山貰っているこの時間がとても好きな時間だ

作品を作る事やサロンワークも好きだがそれだけが美容師の仕事では無いということに気づかせてくれる

ボランティアで福祉美容をしていた美容師見習いの時代を思い出した
人の髪を切るという喜びをはじめて知ったのはあのおじいちゃんおばあちゃん達からだった

どうやって仕事するかふざけたことから真面目なことまで沢山アイデアが降りてくる

これからどうやってこのアイデア達を昇華させていこうかな

自分の仕事のスタイルを作り上げていきたい

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