はるむらさき

「ぽっぽ」と「どーる」による共同創作垢です。 台本使用時のクレジットは任意ですが、ある…

はるむらさき

「ぽっぽ」と「どーる」による共同創作垢です。 台本使用時のクレジットは任意ですが、あると見に行き、喜びます。書かれる場合はTwitterIDを載せてください。

記事一覧

春極まり、夏が来る

「暑い」  暦的には夏が始まったばかりで、数日前までは桜が咲いていた筈なのだが、もう夕方に近いというのに刺すような日差しがもう春はもういないんだぞと警告していた…

はるむらさき
1か月前
2

夏は嫌いだ。

 今はまだ穏やかな暖かさ。年々の猛暑に比べれば日差しもそこまで強くはない。言わば立夏。そろそろ夏にかけて暖まっていくような、なんてことない5月のこの時期は、俺に…

はるむらさき
1か月前
8

頑張ってて偉い

やあ、生きてるかい?  今日も頑張ってて偉いね、だけど疲れてる顔してるよ?こっちに来て休まない?  まだ頑張るの?偉いねぇ、頑張れてえらい!  頑張ってる君はすご…

はるむらさき
1か月前
2

いずれ日常になる非日常

「なんでこんなことに!」  すっかりと日が落ちて、丸い月が浮かんでいる時間、私は黒いなにかに追いかけられていた。 「ちょっと近道するだけだったのに!」  学生の一…

はるむらさき
3か月前
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地獄の沙汰も君次第

おや?目が覚めたみたいだね ここはどこかって?ここは地獄と煉獄の狭間だよ お前は誰かって?質問がおおいねぇ、私は案内人みたいなものだよ、名前は知らなくていいよ 君…

はるむらさき
7か月前

他人事

『私はいま、事件の現場に来ています』  テレビの中でアナウンサーがそんなことを言っていた。  とある日、都心のど真ん中に大きな大きな木が突然生えてきた、なんの前触…

はるむらさき
7か月前
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しゅうまつまた会いましょう

今日世界が終わるらしい、らしいと言うのは目に見える程に迫った隕石を見たくない現実逃避の様なもので、終わるのは確定事項である 「結局、ずっと一緒だったね」 隣にいる…

はるむらさき
8か月前
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【セリフ】カラクリ

「ヒトとは醜く生き縋る。どれだけ口から呪詛を零そうと、社会の歯車の一輪に嵌る愚か者。そうは言えど私もヒトの形。傍観者を突き通すことは出来ない。そんなヒトの心に恋…

はるむらさき
10か月前

死体を捨てに行くボイス(共犯者は君だ)

こんな時間にごめんね 抱えてるのは誰かって?これね、友達だったもの やっちゃった、頼れる友達は君しかいなくてさ、急いで来てもらったってわけ ところでさ、君運転出…

はるむらさき
10か月前

女の子は猟奇的

「あはは。痛そう~!……あぁ、帰ってきてたの。おかえり。料理作ってあるよ。食べる?お風呂でもいいよー。疲れたもんね。」 「そうそう、あの芸人さん面白いよね~。い…

はるむらさき
10か月前

努力

努力とはなんだろう 努力は人を裏切らない 成功した人間は皆努力している 努力が実を結んだ 努力、努力、努力 努力した方が強い、じゃあ負けた方は努力していないのか? …

煙草

煙草一本もらってもいいですか?その言葉が最初の出会いだった 私は好きでも無い煙草を友人のすすめで吸っていた、一箱だけだと付き合いで吸っていた 煙草は嫌いだ、煙が目…

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【声劇台本】優しい紅茶と苦いカフェラテ

配役:女性2 【羽兎(うと)】Mの場合:モノローグ 【寧々子(ねねこ)】 本文――――――― 羽兎M「今日はこの放課後の時間から私と遊ぶはずなんだけど……。」 寧…

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前奏の前

 村の子供たちの元気な声がする。あまりの子供たちの勢揃いで、何事かと私も外を出る。 「先生~!こんにちは~!」 「皆、走って危ないよ。怪我でもしたらどうするんだ?…

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春極まり、夏が来る

「暑い」
 暦的には夏が始まったばかりで、数日前までは桜が咲いていた筈なのだが、もう夕方に近いというのに刺すような日差しがもう春はもういないんだぞと警告していた。
「この国は四季の国じゃなかったんですかぁ!?」
 泣き言は空気を揺らすだけで誰も何も返してくれなかった。
「はぁ……」
 溜息、温度と不運は誰にも八つ当たりができない問題なのでタチが悪い。
「神様はいないって言うのは本当の話なんだぁ、ふ

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夏は嫌いだ。

 今はまだ穏やかな暖かさ。年々の猛暑に比べれば日差しもそこまで強くはない。言わば立夏。そろそろ夏にかけて暖まっていくような、なんてことない5月のこの時期は、俺にとって大事な季節。
 おかげでわざわざ調べることも知ることなかったこの言葉を強く心に染み込ませたのは、積み上げられた石の前、額縁の中の紙切れで笑っている彼女の誕生日だからか。
 貴方は、俺が買った明るい黄色のワンピースを受け取ると、嫌そうに

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頑張ってて偉い

やあ、生きてるかい?
 今日も頑張ってて偉いね、だけど疲れてる顔してるよ?こっちに来て休まない?
 まだ頑張るの?偉いねぇ、頑張れてえらい!
 頑張ってる君はすごくかっこいいよ、だけどね、頑張ってない君も私は好きだよ、だからゆっくり休んじゃおうよ
 まだ仕事があるから無理?大丈夫だよ、明日の自分がなんとかしてくれるからさ
 まだやるの〜?頑固だねぇ、そういうところも大好きだよ、頑張る君にご褒美をあ

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いずれ日常になる非日常

「なんでこんなことに!」
 すっかりと日が落ちて、丸い月が浮かんでいる時間、私は黒いなにかに追いかけられていた。
「ちょっと近道するだけだったのに!」
 学生の一大イベントである定期テストを終え、帰宅していただけなのだ、少し前回より出来がよく、自己採点ではそこそこの点数を出していたので機嫌良く帰っていた筈だった。こんなことになるなんて、生涯私はこの日を呪うだろう、もう生涯も終えそうだけどね!
「あ

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地獄の沙汰も君次第

おや?目が覚めたみたいだね
ここはどこかって?ここは地獄と煉獄の狭間だよ
お前は誰かって?質問がおおいねぇ、私は案内人みたいなものだよ、名前は知らなくていいよ
君は死んだ時のことを覚えていないみたいだね、たまにいるんだよね、死んだ時のショックでこんな中途半端なところに来ちゃう子
悲観的にならなくていいよ、君は幸せな部類だ、なんせこの私に見つけてもらったんだから
この道をあっちに行くと地獄、そっちに

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他人事

『私はいま、事件の現場に来ています』
 テレビの中でアナウンサーがそんなことを言っていた。
 とある日、都心のど真ん中に大きな大きな木が突然生えてきた、なんの前触れも予告もなくいきなりだ。
 高さは日本一のタワーより高いそんな大木が、一夜にしてそびえ立っていたのだから驚きだ。
 しかし、ド田舎在住の僕には他人事でしかなかった、テレビの中の学者達は、日照権がどうだの、気温がどうだの、僕にはよく分から

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しゅうまつまた会いましょう

今日世界が終わるらしい、らしいと言うのは目に見える程に迫った隕石を見たくない現実逃避の様なもので、終わるのは確定事項である
「結局、ずっと一緒だったね」
隣にいるのは、幼い頃からの付き合いでずっと一緒にいる女の子だ
「俺みたいな面倒くさい奴のことなんて置いておいて家族と過ごせばよかったのに」
「あんた、私が居ないと1人じゃん
「別にそれでもよかったんだがね」
なんてことのない世間話は楽しかった、一

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【セリフ】カラクリ

「ヒトとは醜く生き縋る。どれだけ口から呪詛を零そうと、社会の歯車の一輪に嵌る愚か者。そうは言えど私もヒトの形。傍観者を突き通すことは出来ない。そんなヒトの心に恋焦がれる私は、未だに起きても冷めぬ夢を見ているのだろう。いつかは私も歯車の中に寄り添う為に生まれたのだから。それがヒトのカラクリ」

死体を捨てに行くボイス(共犯者は君だ)

こんな時間にごめんね

抱えてるのは誰かって?これね、友達だったもの

やっちゃった、頼れる友達は君しかいなくてさ、急いで来てもらったってわけ

ところでさ、君運転出来る?俺は酒を飲んでしまって運転出来なくてさ、ナビ通りでいいから連れて行ってくれない?

どこにって、警察署、自首しようと思ってさ

いいの?ありがとう!この恩は忘れないよ

……君ってさ、運転初心者?なるほど最近免許とったばかりか、

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女の子は猟奇的

「あはは。痛そう~!……あぁ、帰ってきてたの。おかえり。料理作ってあるよ。食べる?お風呂でもいいよー。疲れたもんね。」
「そうそう、あの芸人さん面白いよね~。いっつも、痛そうなビンタをくらってるの!可哀想だよね~。」
「なぁに?立ち止まってないで、入っておいでよー。ここ、君の家でしょ?」
「うんうん。わかってんじゃん。私はこの家の人間じゃなくて、勝手に入った不法侵入の女の子ってことくらい。」
「警

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努力

努力とはなんだろう
努力は人を裏切らない
成功した人間は皆努力している
努力が実を結んだ

努力、努力、努力

努力した方が強い、じゃあ負けた方は努力していないのか?
確かに努力は裏切らない、裏切るのは常に人だ
失敗した人間だって努力している
努力は決して実を結ばない

知っている、こういう事を考えている時点で、前には進めていないのだ
痛みを伴わない教訓に意義は無い、これまでの言葉は皆、私の言葉で

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煙草

煙草一本もらってもいいですか?その言葉が最初の出会いだった
私は好きでも無い煙草を友人のすすめで吸っていた、一箱だけだと付き合いで吸っていた
煙草は嫌いだ、煙が目にしみるから
けれどそんな物を美味しそうに吸う君にひかれていたんだと今は思う
墓前に煙草を供える、私達の出会いと同じ煙草を
思えばナンパだったのだろうか?もう答えの帰ってこない質問をしてみる
ねえ、一本もらってもいいかな?
そう言って封の

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【声劇台本】優しい紅茶と苦いカフェラテ

配役:女性2
【羽兎(うと)】Mの場合:モノローグ
【寧々子(ねねこ)】

本文―――――――

羽兎M「今日はこの放課後の時間から私と遊ぶはずなんだけど……。」
寧々子「あ!犬飼くんもそこのカフェ好きなの?私は紅茶ラテ好きなんだよね。えー!そうなの!?じゃあ、次それ飲もうかなあ?教えてくれてありがとう!」
羽兎M「寧々子はこの通り、学校の人たちに会ってからというもの私そっちのけなわけだが。」

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前奏の前

前奏の前

 村の子供たちの元気な声がする。あまりの子供たちの勢揃いで、何事かと私も外を出る。
「先生~!こんにちは~!」
「皆、走って危ないよ。怪我でもしたらどうするんだ?」
「急いでるんだもん!」
 遠くには、親御さんたちがゆっくり我が子らを追いかける姿が確認できた。
「はやく行こうよ~。間に合うかわからないよ~?」
「何かあったのかい?」
「先生も行こうよ!今日、旅の音楽隊が来ているんだよ!」
 ――旅

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