24年5月14日現在の歌劇団の取組について

 2024年5月14日、「宝塚歌劇における改革の取組について」と題して組織改革の現状報告が公式HP上にて行われました。
 組織の変容に対して、一観客として「本当に変革を進められているのか注視していますよ」と示すこと、また自分の好きな人が属する組織に対して自分の考えたことを残しておきたいという2点から、下記にざっくり内容のまとめと現時点での個人の感想を残しておきます。

 まずはこの報告が出されたこと、今後も随時情報を更新するとのこと、本当に良かったです。

 組織に何らかの問題が生じた時、幹部がすべき対応は基本的にどのような問題でも変わらず「①謝罪 ②原因の調査 ③再発防止策の検討・実施 ④およびその経過報告」の4点です。(他にも沢山すべき事はありますが大項目としては大体この4点です)

 一見必須では無さそうに見える④がどんな不祥事対策本にも必ず書かれているのは、③の実施状況は報告が無い限り外部からは有無が判断出来ず、ステークホルダー(客とか株保有者とか)が不安になり、チケットや書籍やグッズの購入を控えたり株を買い控えることに繋がるからです。

 ①および②について、3月までの劇団の対応が適切だったとは逆立ちしても言えません。言えませんが、3月28日の合意締結報告時に提示された③、そしてそこから約1ヶ月半で④の為のページを作成し今後も継続する姿勢を見せているのは、組織として現状すべきことは一定程度為されているのではないかと考えます。期待しているので、裏切らないで欲しいと心底願っています。


 次に内容について。

❶3月28日に出された再発防止取組策とほぼ同じ内容で、項目の振り分け方が少し変わりました。

❷4月以降新たに始動したのは、「2.-③活動時間管理の強化」と「2.-⑥内部監査体制の強化」の2点のようです。具体的内容はあまり変わりありません。

❸今回、「3.-④人材育成の強化(23年12月から順次)」の項目が新たに増えました。ハラスメント研修、リスペクト研修、コーチング研修などの各種研修が23年12月より順次拡充中とのことです。演者やスタッフの皆さまが様々な対人コミュニケーションの知識を得る機会を持てることは、本当に良いことだと思います。
 今後も定期的に、またロールプレイ型、グループ討論型など座学のみではなく実践的な形で研修が行われること、
 また可能であれば稽古場等にハラスメント防止対策担当者を常に配し、例え悪気が無かったり伝統に基づくものであっても、外的目線で問題があると判断され得る行動や行為には即時に指摘と学習の機会が提供されることを望みます。「組織における常識」の変革には、特にその初期においては、(組織内のあらゆる序列に関係の無い)外部の専門担当者から指摘されることが非常に効果的な為です。

 110期ロケットの舞台稽古の映像を見て、指導の空気感が随分変わり柔らかくなったと感じました。なので上記のような指導現場への外的目線の介入は既に行われているかもしれません。そうだと良いと思います。
 そして、先日大劇場で拝見したロケットは本当に素晴らしい出来映えでした。指導のスタイルが変わっても芸の到達点は決して下がらないということを110期生が見事に体現していました。その責任は軽いものでは無いと思われます。そこに記録されない時間外労働が無いことも切に願いつつ、引き続き、不適切な程に厳格な指導は回避され、より前向きに芸事に向き合える指導体制が続くことを望みます。

❹3月28日に出された再発防止取組策に記載のあった社長直轄の新設組織「リスクマネジメント推進室(24年4月1日〜)」についての言及は、今回はありませんでした。(次回以降になるのか、この報告自体が同組織によるもののため言及されないのか等は文書からは判断できませんでした)
 アドバイザリーボードと相互に連携しながら、組織改革が遅滞なく行われていくことを望みます。

 あとは個人的には、「3.-③出演者・スタッフの役割分担の見直し」の具体的内容が気になっています。この部分に「出演者やスタッフの負担を軽減します」と書いてあるからです。出演者個人に業務が偏り過ぎた、そしてそれを感知し修正を図るシステムや組織体制が無かったことは明白で、それが最悪の事態を引き起こした原因の一つになったことも否定出来ません。二度と同じことが起こらないように、導入にあたって多少の損失や上手くいかないITツール運用も出てくると思われますが、それらにめげず継続的に職場環境の改善にコストを惜しまないで欲しいです。

 これからも劇団の労働環境改善の姿勢を注視し続けます。より適切な労働環境で、あの素晴らしい舞台が作り上げられていきますように。その陰に、本来あるべきではない理不尽な苦しみを被る人がいないと、歌劇に関わる誰もが心から信じられる組織になりますように。そんな「綺麗事」がいつか当たり前になるように、心から願っていますし、出来ると信じています。

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