突出した人を見つけて育てる最強指導者の戦略

■著書
SUPER BOSS(スーパーボス)
著者:シドニー・フィンケルシュタイン/門脇 弘典

■スーパーボスとは

たった1人の優秀な指導者が、何人もの有能な才能を育てることを、本書では「才能の系図」と呼んでいます。

例えば、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のサンフランシスコ・フォーティナイナーズを指揮した名コーチのビル・ウォルシュさん。

1979年から2015年の37年間に行われた優勝決定戦のスーパーボウルに、
ウォルシュさん本人か、その教えを受けたコーチの所属チームは32回出場し、うち17回優勝しています。

それぞれの業界で一流と呼ばれる50人のうち15~20人ほどは、ひとりかせいぜい2、3人の。また、人材だけでなく各業界のイノベーションにも、スーパーボスが関わっているのです。ことがあるそうです。こうした才能養成者を、本書では “スーパーボス(SUPER BOSS)” と呼びます。また、人材だけでなく各業界のイノベーションにも、スーパーボスが関わってるのです。

■スーパーボスの3つのタイプ

スーパーボスはあらゆる業界に存在し、多種多様ですが、部下を一流に育てながらイノベーションを起こす並外れた能力を持っている、スーパーボスには3つのタイプ(パターンの特徴)があります。

才能を開花させる力は3つのタイプのどれもが人並み外れていなければいけません。、本書で紹介されている多くは「養育者」タイプでした。

1.因習打破主義者

・ひたすら情熱を追求する中で、上司としての成功につながっている。
・手取り足取り教えなくても、関わっているうちに情熱が伝わって、直感的に教育でき、それが自分の成功に寄与すると信じて疑わない。
・芸術家肌のスーパーボスで、創造的天才と見なされやすい。
・生涯の使命とするのは、内にあるものを表現し、自分が目や耳や心で感じるものを他者にも伝えることである。
2.栄誉あるろくでなし

・人を育てることよりも、勝つことを目指す。
・勝利こそが至上命題であり、部下を連日深夜まで働かせたり、失敗を容赦なくとがめたりすることもある。
・勝利のためには最高の人材とチームが必要であると理解しており、部下には勝つためにはどうすればいいかを教え、勝利の味を覚えさせ、これまで以上の能力を発揮するよう叱咤する。
3.養育者

・部下の成功を心の底から気にかけ、自分の育成能力を誇りに思っている。
・いつでも部下を指導・教育できるところにいて、高いレベルを達成させるために積極的に関わろうとする。

■スーパーボスが持っている要素

特定したスーパーボスには、共通する性格の基本的な要素があります。その要素が色濃く表れるかはひとり一人異なります。

1.恐れ知らずなほどの自信
・計画やアイデアを実行に移すときに見せる。
・「問題などありはしない。あるのは解決策だけだ」を、あらゆる状況に当てはめている。

2.旺盛な競争心
・闘争本能がDNAに刻み込まれているかのように、競争を生きがいにしている。
・競争する機会を見逃さず、自分からつくり出すことさえある。

3.たくましい想像力
・イノベーションの源泉となる。
・空想家であり、夢を実現するためにはどうすればいいかを真剣に考える。

4.軸がぶれない
・価値観や自意識など、一部のリーダーがするようなごまかしはしない。
・ボス然としたボスと違って、自分のエゴを満たすことに気を取られることもない。
・いつでも自分自身や信条や価値感に対して誠実である。

5.裏表のなさ
・ぶれない軸から自然と生まれる。
・他人と接するときは、日頃から素の自分をさらけ出す。評判をよくすために、イメージをつくろうとしない。
・自分を全く偽らないので、刺激的で面白くて生き生きとしていて、近づいた人はエネルギーを注入される。

例外なく自分のビジネスに完全にコミットし、成功の助けになる人材と真剣に向かい合い、その言動は部下の心に深く刻まれます。

他人を成功に近づけるだけでなく、才能を育てるずば抜けた能力のおかげで、個人としても大きく成長するとともに事業でも目覚ましい成功を収められるのです。

スーパーボスの真の共通項は、その行動であり、「どんな人間か」ではなく「どのような行動をとるか」であるということです。

■スーパーボス指数を測る質問

スーパーボスになる方法として、スーパーボス指数を測る質問があります。

・自分のやる気がかきたてられるとともに、チームのやる気を引き出すために使っている明確なビジョンがあるか?

・よそで大きな仕事をするために、チームを辞める部下がどれくらいいるか?辞めるときは、どのような感じか?

・目標を達成するよう部下を鼓舞するのは、チームに課せられた正式な目標についてだけか?部下が達成しようと努力する他の目標もあるか?

・ビジネスに関する思い込みに疑問を投げかけるには、どうすればいいのか?チームメンバーにも同じようにさせるには、どうすればいいのか?

・権限の委譲と細かい指導のバランスをとるには、どうすればいいのか?
部下の指導に、普段はどのくらいの時間を費やしているか?

・部下を昇進させるとき、失敗するかもしれない難しい仕事を任せることはあるか?その際、失敗するリスクをどう管理するか?実際に失敗したら、どうなるのか?

・チームメンバーは、お互いにどれほどの絆やつながりを持っているか?職場以外でも、交流の場を持っているのか?チーム内の競争と協力のバランスは、どうなっているのか?

・よそで働くために辞めた部下と、連絡を取り続けているか?

・すばらしいキャリアを、社内か他社で実現した元部下はいるだろうか?
いる場合は、何人だろうか?

・チーム内の傾向として、個人の能力開発にかけるエネルギーと仕事をこなすためのエネルギーの割合は、どうなっているか?

・チームに向けて「会社がなぜ存在するのか」という問いの答えを発信したことはあるか?

・珍しい経歴を持った部下が、チームにいるか?型にはまった経歴の部下の方が好きか?

・部下は張り切って出社してくるか?どうして、そうだとわかるのか?

・部下が今月取り組んでいるプロジェクトを、詳しく把握しているか?
積極的に指導しつつ、効果的に仕事を任せる方法を考えているか?

・正式なミーティングに参加したり、オフィスでひとりで働いたりするのに、業務時間の何パーセントを使っているか?それと比較して、チームのメンバーと形式ばらずに働いている時間は、何パーセントか?

・別の部署や会社で仕事をするために、チームを辞める部下はどれくらいいるか?辞めるのは、責任の大きな仕事に就くなどの「よい」理由か、それとも能力不足とか上司から不当な扱いを受けているなどの「悪い」理由か?

・部下が辞めたら、怒ったり傷ついたりするか?

・人員の募集をしているか、直接問い合わせが来ることはあるか?

・偉大なことを成し遂げる自信を持つよう、部下を鼓舞しているか?

・有意義なコミュニケーションや業務遂行の障害になる形式主義や、ヒエラルキーをなくしているか?

・何をするかではなく、どうすればよいかを部下に積極的に教えることは、どれくらいあるか?

・元部下がキャリアを積む手助けを、できるだけ続けているか?自分のネットワークの力を利用しているか、それともネットワークを自然消滅させてしまったか?

自分の部下や人事として社内の人で考えたとき、スーパーボスには程遠い結果でした。

■まとめ

先日おすすめされた漫画「アオアシ」を読んでも、第一巻のユースセレクションの話のとき、福田監督が「次世代を育てられないチームに未来はない。」と言っており、教育・育成の重要性が書かれていました。

サッカーの世界では、手薄なポジションがあったら、外国人を獲ったり、他チームから引き抜いたり、レンタルしたり、いろいろとやりくりするそうです。これはビジネスもで同様のことがいえます。

特に近年の多様は働き方で、スポットでスキルを持った人を派遣や業務委託を獲ったり、業務提携等で足りないところを補ったりすることできます。

しかし、チームや環境になじめなかったら?見込んだスキルを満たしていなかったら?戦術にフィットしなかったら?

「獲る」というのは、しょせんミズモノともありますが、様々なリスクがあります。

採用面接や、面談時、それ以外のコミュニケーションの場でも、どれだけスーパーボスのように、その人の才能を開花させられるような関わりができるかが今後できるようにならないといけないと思っています。

そのためにもまずは自分の基準を上げ続け、人材と真剣に向き合うことから逃げないようにしていきます。