SNSを用いた服薬指導システムによる 使用感や利益率

著:志村駿介
監修:堀山正雄
https://hpc-horiyama.com/hpc-consulting/


イントロダクション

コロナ禍、そして緊急事態宣言中に行われた東京オリンピックが終わりを告げましたが、デルタ株やその他のウイルス株の勢いは止まりません。
新型コロナウイルスが流行し始めてから外出しにくい世の中になってしまいましたが、そんな中でインターネットを介したサービスが非常に普及しています。

総務省の調査によると、インターネットの利用時間は2012年から継続的に伸びています。さらに、新型コロナウイルスが流行した影響もあり、2020年にはインターネットショッピングを利用している世帯が初めて50%を超えました (図1)。このように、非対面で物を購入するということは私たちの生活で当たり前になってきています。

図1 ネットショッピング利用世帯の割合の推移(二人以上の世帯、2017年1月~2020年6月)

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https://www.stat.go.jp/info/today/162.htmlより抜粋


デジタル化による医療への影響は、2013年に成立した「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律」と2018年、2020年の診療報酬改定が大きかったと考えられます。2013年には要指導医薬品以外の一般用医薬品はインターネット販売が可能になり、様々なオンラインショッピングサイトが医薬品の販売を始めました。2018年にはオンライン診療が、2020年にはオンライン服薬指導が報酬として加算されるようになり、医療のデジタル化がより推進されたと感じられます。
また、近年は全年代におけるソーシャルメディアの利用時間が伸びてきたこともあり、今後はソーシャルメディアを使った薬の相談・購入・服薬指導も今後需要が伸びていくことが予想できます。
今回はオンライン服薬指導の規制と戦略を確認した上で、SNS(LINE)の服薬指導システムを紹介しその利益率を考えていきます。


オンライン服薬指導

上記でもお話したように、2020年に診療報酬改定によってオンライン服薬指導に関する加算項目が新設されました。ここで確認すべきなのは、オンライン服薬指導による加算(42点)は、オンライン診療によって発行された処方箋に対してオンライン服薬指導を行った場合に月1回のみ得られるということです(現在は410対応により規制はフレキシブルです)。オンライン診療は、医師が非対面的に診察を行ったとしても十分な情報が得られ、医学的判断ができると考えた場合に、医師の責任で行われます。また、オンライン診療を行ったとしても医師の判断で処方箋を発行しない場合もあるとされています。つまり、オンライン服薬指導はオンライン診察が行われ、かつ処方箋が発行されなければ始まりません。
2020年に板橋区医師会が行った「電話診療・オンライン診療 に関するアンケート結果」を参照すると、71.2%の医師は「すでに通院中の慢性疾患患者の再診時」にオンライン診療を行い、処方箋を発行すると回答しています。その為、現在は慢性疾患を患っている患者がオンライン服薬指導の対象となる可能性が高いでしょう。


LINEによる服薬指導・医薬品販売システム

今回紹介するシステムは通常の服薬指導や医薬品を販売するシステムとは異なり、ソーシャルメディアでも全年代で特に利用率が高い(86.9%)LINEを利用したシステムとなっています(図2 QRコード参照)。

図2 HPC Online System

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このシステムでは、服薬指導だけでなく、同システム内で医薬品の相談から購入、処方箋の送信や服薬指導までが可能となっており、薬局業務のオンライン化を網羅的に行うことができます。では一体LINEによるシステムの導入は、どんな薬局に向いているでしょうか。
開局したばかり、かつコロナ禍で来局患者数の予想が難しい状況
オンラインで集客を行いたいが、そのノウハウがない
従来の服薬指導システムの導入には手間や大金がかかると思っている
医薬品販売からも利益を得たい
この4点のいずれかに当てはまる場合にはLINEによる服薬指導・医薬品販売システムを導入を考慮しても良いと思います。

使用感

使用感に関しては、30 ~60代の男女13 名(30代男性3人/30代女性6人/40代男性1人/50代女性1人/60代女性2人)に調査を行い、以下のような結果になりましたので参考にしてください。

アンケート内容について
①オンラインで診察や服薬指導の存在を知っていたか?
②オンラインで診察や服薬指導を使ったことがあるか?
③LINEやメールなどで健康相談ができることを知っていたか?
④LINEやメールなどで健康相談を使ったことがあるか?
⑤LINE服薬指導・医薬品販売システムを使った感想は?
⑥システムの改善して欲しいところは?
⑦LINEによる健康相談を使った感想は?
⑧LINEによる健康相談の改善して欲しいところは?

調査結果I オンラインでの診察、服薬指導について

①オンラインで診察や服薬指導の存在を知っていたか?

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「知っていた」53.8%
「知らなかった」46.2%

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