補助金申請を自社でやるメリットとデメリット
今は空前の補助金ブームですね。
「持続化補助金」や「事業再構築補助金」をはじめ、地方自治体の補助金も含めると数千種類の補助金があると言われていて、数十万円のものから億単位の補助金が出るものもあります。
これだけ種類があるので、自社が使える補助金が何かしら見つかるのが今の状況ですでに自分たちで申請をしたという方も多くいるのではないでしょうか?
今回は【補助金申請を自社でやるメリット・デメリット】について書いてみます。
<メリット>
①専門家への報酬がかからない
②従業員の成長につながる
★①について★
一番のメリットは「専門家への報酬がかからない」ことです。
一般的に補助金申請を専門家に依頼すると補助金額の20-30%が成功報酬としてかかります。
例えば200万円の補助金だと40~60万円、1,000万円のものだと200万円~300万円です。
この費用を設備投資や運転資金に回せることが一番のメリットです。
★②について★
これは従業員がいて補助金申請を従業員に任せるケースに限りますが、補助金申請を従業員に任せている社長の多くが「補助金申請を通じて社員が成長した気がする」と言っています。
補助金にもよりますが、ほとんどの補助金は「事業計画書」を作成する必要があります。
自社がどんな事業をしていて、これからどのような取り組みをするのか、それによってどのように売上・利益が上がっていくのかを論理立てて書いていく必要があるんです。
この作業をすることで、会社の今の状況やこれからやるべきことが明確になるので、自分たちがやるべきこともわかります。
また、自社を知らない人に自社のことを知ってもらうための文章力も必要なので、事業計画書を作成すると『伝え方』のスキルが上がります。これは営業にも活かせるし、社内コミュニケーションにも活かすことができますよね。
結果、従業員の成長につながるという訳です。
ただ、一方でデメリットもあります。
<デメリット>
①通常業務以外の時間と労力がかかる
②採択率が上がる方法や書き方を知ることができない
③何度も差し戻しされるとストレスがかかる
★①について★
実際に補助金申請をやってみるとわかりますが、書類の作成だけで膨大な時間と労力がかかります。
例えば、事業再構築補助金の申請で考えてみます。
自社で事業計画書を作った社長数名に話を聞くと、事業計画書の作成だけで数週間~1ヶ月ほどかかっていました。
また、申請には事業計画書だけでなくミラサポというサイトで財務分析レポートを作らなくてはいけないし、労働者名簿、賃金台帳など様々な書類を揃えなくてはいけないし、補助金額が3,000万円を超える場合は銀行の確認書も必要になるのでその依頼もしなくてはいけません。
更に、補助対象経費の設備投資を融資で賄う場合には申請前に銀行に融資の依頼もしなくてはいけません。
申請だけでこれだけの労力と時間がかかりますが、実は一番大変なのはここからなんです。
採択されたあとに「交付申請」というのがあり、実際にかかる経費について確定見積書や相見積書をすべて揃えて交付される補助金額を決める手続きをするのですが、これが非常に大変。
一般的な見積書の書き方だとほとんどが差し戻されるんです。
「いやいや、うちの業界だとこの書き方が普通だよ」は通じないんですね(汗)
また、申請時の見積金額と確定見積金額が違ったらその理由を事細かく説明しなければいけないし、本見積書と相見積書の項目を統一しないといけないなどとにかく役所のルールに則った書き方でないとすべて差し戻されてしまいます。
このやり方を知らないと一度ここで心が折れてしまいます。
さらにさらに、
無事交付申請が終わって、事業が完了したあとは『実績報告』というものを作成する必要があります。
実際に何にいくら使って、導入したものはどういうものなのかというのを1つ1つ書類として提出するのですが、これもまあ大変。
実際に私達がサポートしていて一番驚いたことがあります。
実績報告時には導入したものすべてにシールを貼って写真を撮る必要があります。
ある会社が店舗を新しく建ててその内装工事費を補助対象経費にしていたのですが、その内装工事費一式もシールを貼って写真を撮る必要があると言われました。
「いやいや建物のどこにシールを貼ればいいの?全体が写っている写真なんてどうやって撮影すればいいの???」
当然ながら現場は混乱しました。
結局、何度も補助金事務局とやり取りをしてなんとか実績報告に至ったのですが、現場の実態と役所の考えがあまりにも違っていることに驚きました。
それ以外にも普段なら絶対に作成しないような書類作成が求められたり、本当に苦労しました。
私達は今でこそ何件もサポートしているのでそのあたりの流れを理解していますが、初めての補助金申請でこういうことが起こると間違いなく混乱しますし、膨大な時間と労力がかかって苦労する可能性が非常に高いです。
★②について★
どの補助金も『採択されやすい事業計画書の書き方』があります。
その書き方を知っているのと知らないのでは採択率に大きく影響してきます。
私達も補助金申請サポートのサービスを始めた当初はこの書き方のノウハウがなく、せっかくご依頼いただいたお客様が不採択になってしまったことが何度もありました。
補助金は原則その不採択理由を教えてもらえません。
つまり、不採択となったらどこがダメだったのかを根拠のない想像で判断するしかないため結局再チャレンジを諦める方も多いと聞きます。
ただ、私達はこれまで150件以上の申請サポートを行うことで採択されやすい書き方のノウハウが蓄積して、直近ではほぼ100%の採択率で推移するようになりました。
不採択となっても何度も自社で再チャレンジするのもいいですが、できる限り採択率を上げるために専門家に相談するのも選択肢の1つだと考えます。
★③について★
①でお伝えしたように、
【補助金申請は採択されるまでよりも採択されてからが大変】
です。
少なくとも一度自分たちで補助金申請をしたあとに、別の補助金申請をしたいと私達に相談に来る方は全員同じ感想でした。。。
『想像以上に大変だった・・・』
①でお伝えした「交付申請」や「実績報告」では書類の作り方が少しでも違うと補助金事務局から【差し戻し】されてやり直せと指示されます。
しかも、その差し戻しの指示がすぐに来るならまだいいですが、申請して差し戻しが来るまでは早くても1週間くらいかかります。
それが何度も繰り返されるとしたら、差し戻し⇒再申請の度に1週間以上時間がかかって、いつまで経っても補助金受給に至らないというケースが多々あるようです。
実際、自社で申請した社長たちは全員「クレームを言いたくなるようなレベルの差し戻し」と口を揃えて言っていました。
私達の経験上で言うと、少なくともこの交付申請と実績報告の書類をチェックしている方々は『とにかく国から指定された書式通りで、一字一句正確じゃないとすべて差し戻す』というスタンスを取っているようです。
補助金申請が初めての方はこれら採択後の取り組みで非常に苦労しています。
特に最近は不正受給防止の観点から実績報告のチェックが厳しくなっていて、非常に細かい理由での差し戻しが多発しています。
自社で申請をするとここに多大な時間と労力を取られることは必須で、ストレスも大きくなります。
それも勉強のうちと割り切れる方は問題ないでしょうが、面倒なことはやりたくないという方は専門家に丸投げすることをオススメします。
以上、【補助金申請を自社でやるメリット・デメリット】をまとめてみました。
自社の状況とメリット・デメリットを照らし合わせてどちらが自社にとっていいのかを決める参考にしてもらえればと思います。