2022/10/07「グンゼ」は婦人服では成功しない
「グンゼ」っていう会社あるでしょ、
男性用の下着作る会社ね、みんな知ってると思うけど
そのグンゼが、最近では女性用下着も作ってるんです
それ見ながら私、つくづく思うんだよね
商売って難しいなぁって
商売は難しい、そして、
心理学も難しい。
心理学は私は、高校生くらいの時から好きで、
きっかけはやっぱり河合隼雄さんだったかな、
河合隼雄さんが書いてるユング心理学の本が面白くてね、
それからはまった。
たぶんその前からユングには興味あったけど
その本に書かれてた内容で一番思い出深いのは
切手貼ってハガキを出したら、料金不足で戻ってきた
という話
そのとき河合隼雄さんはこう思ったそうなんです、
「これは、このハガキを出す段階になかった、
何かが足りていなかったという隠喩なのだ」。
その話が面白かった。
切手の料金不足なんてさ、
日常的に起こりうる失敗ですよ、
誰だって一度くらいあると思う、
でもその理由を河合隼雄さんは
単なるミスとは考えず、心理学的に考えた。心理学的に分析した。
ユング心理学ってそういうものなんだなって、面白かったですね。
でもそれってけっこうオカルトの世界ではよく言われることでもある。
だからユング心理学は私の中ではかなりオカルトなんだよな、
そう思って大学で心理学とってみたら
アンケートとか、統計とか、なんか数字ばっかりに頼ってて
あー自分が昔「面白い」と思った心理学は、ここにはないんだなって
なんだかとても残念に思った
実験とか数字なんて心理学の世界ではどうでもいい
ひたすら心の不思議さを探求する学問だと思ったら
実験や数字ばかりで、心の不思議さが逆に分からなくなってしまっていた
今の心理学は本当に残念だと思う
今の心理学を学んで、人の心理なんて分かるはずがない
分からないからアンケートしなきゃいけないし
分からないからわけわかんない実験するし
いちいち数字で統計出さなきゃいけない
分かってればアンケートも統計もいらないんです、
人の気持ちなんてね、人を見ないと分からない
今の心理学は数字しか見てない
まあそんな文句は横に置いておいてね
その「人の心理、人の気持ち」というものから
グンゼについて語ってみようと思ったわけです
だいたい今の企業って
人の心理というか人の気持ちがね、分からなくなってる場合が多いです
巨大化すると分からなくなるものなのかもしれないね、ミクロなものは
だから広告に頼ったり、コンサルに頼ったりする
人の気持ちが分からないから外部のものに頼るんですね
さっきも言ったように、人の気持ちなんて
人を見てれば分かる
分からなければ話を聞く
聞いても分からないなら、考えたり悩んだり、
「こうなのかもしれないなぁ」と察したりする
日本人の「察する」という心の動きこそ、心理学のひとつの真髄です
それが外国人にはよく分からないんだよ、「察する」の意味が、
だから察することができないんで、
コンサルに聞くんですね、
コンサルはさも分かったように
「それは顧客アンケートによるとこうです」とか言う
「統計によるとこうです」とか
結局彼らもなんにも分かってないです
コンサルがなんにも分かってないことは
大半の日本人がだんだん気づいてきてるところだとは思うけど
なんも分かってないしなんの役にも立たないのに
金だけ取られて詐欺師に騙されたみたいだなって
思ってる零細企業は多いと思うし
周りでもそんなのよく聞くんだよね
飲食業にコンサル入れて、意見聞いてみたけど
当たり前のことしか言わないとか、
それができるなら苦労しないとか
みんな内心そう思ってて
なんでそんな奴らに金払わなきゃいけないんだろうっていうね
そんなもんに大金払うんなら俺らの給料上げてくれよっていう
みんな思ってるとこだとは思うけど
婦人服売り場行ってインナー買おうと思ったんだけど
手にとってみたら「グンゼ」って書いてある
そんなことがちょいちょいあるわけ
で、それを見たら棚に戻す
だって「グンゼ」は、自分の中では男性用下着の会社なんだもん
それはもう刷り込みだよね
刷り込まれてるんです
生まれたときから
生まれたときからは言いすぎか
物心ついたころからね
たぶん広告とかの影響もある
たくさん広告したはずですよ
男性用のぱんつみたいな広告
だから刷り込まれてるの、「グンゼ=男性用」って。
広告は刷り込みの媒体だから
広告の意図したとおりに刷り込まれてんの
それを変えろって今のグンゼは言ってきてるわけ
自分がさんざん「グンゼ=男性用」って広告してきたのに
今になってみたら女性用も売りたいみたいなことになって
「グンゼは女性用もいけます」とか必死で言ってきてる
いけますじゃないよ
無理だよ
刷り込まれてるんだから、男性用って
その刷り込みを変えるのは大変なことなんだよ
それくらい人の「深層意識」というのはね
「昨日まではこうだったけど、今日からはこうします」とか言われて
「はいそうですか分かりました」ってなるほど簡単なもんじゃない
朝三暮四って言葉があるけど
朝決めたことが、夕方には変わってる
そんな政治が昔あったらしいけど
まあ大混乱をきたしたって話だよ
なんで大混乱をきたしたかっていうと
人の記憶というのは、記憶するためにあるものなのに
その記憶をひっきりなしに書き換えようとしてるわけ
朝三暮四は
そんな政治いやだよね
「昨日までは消費税は10%です~ 今日からは34%だよ!」とか
「店内で食べるときは○%で~」
「持ち帰りのときは○%です~」
いや、覚えられんて(覚えてない)
まさに現代の政治が朝三暮四で、ひっきりなしに法律変えてる
法律っていうのはプログラムなんで
ひっきりなしにプログラムを変えたら現場は大混乱すると
プログラマーは分かってるけど政治家は分かってないです
そんな感じで人間の深層意識もね
「今まであなたは日本人でしたが、今日からはイギリス人になりなさい」
とか言われてもね
無理なんだって
「今日からは地球市民です」とか
「え?」ってなる
車は急には止まれない
人も急には変われない
パリのエッフェル塔が出来たとき
フランス人はみんなブーブー文句言ったらしい
「こんなかっこわるいもん作りやがって!」とか
みんなが腹を立てたらしいよ
こんなもんパリじゃないって
そのエッフェル塔をパリの象徴だと認めるまでに
百年くらいかかったんだとか(もっとだっけ?)
フランスの人がエッセイ書いてたけど
それくらい、人の気持ちというのは
本来は頑ななんです
頑固なんです
でも頑固だからいろんなことがしっかり出来るんだよ
職人はみんな頑固でしょ
寿司握って三十年とか
靴作って三十年とか
もしふらふらふらふら気持ちが変わるような人ばっかりだったら
職人の世界もふらふらふらふらしたような人しかいなくなって
ふらふらふらふらしたような商品しかなくなっちゃうよ
そんなもん買いたくないんだって
「ちょっと気まぐれで折りたたみできるバッグ作ってみました」とか
うちのね、地元にもそんなお店あるけど
誰も折りたたみできるバッグ買ってない
折りたたみできるのは買い物袋だけでいいんだよね・・・
だから「グンゼが男性用」っていう刷り込みは
今の大人の大半は持ってるから
子供はどうか分かりませんけど
これからはどうか分かりませんけども
「あ、グンゼだった」と思って棚に戻すわけです
少なくとも自分の中では女性用下着の会社じゃない
それをいくら、会議でね
「男性用下着の会社だと思われてるイメージを払拭していきたい」
とか誰かが言って
他の人たちも「たしかにそうだ」と思ったとしても
客がそう思うかどうかは別問題なんですよ
それはもっと売りたいという思惑であって
客の気持ちをちゃんと考えてるわけではないんです
最近の会社ってなんかそんなことばっかり言ってるよね
あるコンビニの商品開発部の人が
「カップ麺だけじゃなくおにぎりも一緒に買わせたいから」とか言ってて
買わせたいの気持ちは分かるけどさ
客が両方買いたいかどうかは分からないよね
基本的に値段おさえたいから
本当は一品でちゃんとお腹いっぱいになりたいんだよ
でもお腹いっぱいにならないから仕方なく買うんでしょ
それがいいことかって言ったらね・・・
二品買わせるために
一品の満足度をわざと下げてる
そんな商売がいいのかっていう
ヘタしたら添加物で血糖値まで下げてそう
血糖値下げてるから、弁当ひとつじゃお腹いっぱいにならないから
弁当買ってるのに焼きそばも買うみたいなことにしかねない
ガッツリ食べてるのに昼前に手が震えてくる人は低血糖だからね
血糖値おかしくなってる
誰しも「もっと売りたい」と思ってるとは思うよ
売り上げ=お金 だもんね
でもそのために、無理な商売してもうまくはいかないどころか
二兎追うものは一兎をも得ずで
女性用下着に進出したら
男性の顧客までいなくなった
そんなことになるんじゃない?
だってブランドイメージが中途半端だもん
少なくとも自分は、インナーは女性ブランドのやつ買う
そこが「男性用下着にも進出します」とか言い出したら
なんかやだなってなって買うのやめますね
と思うんですけど、どうなんでしょうね
実際には売れてるんだろうか?
よく分からないけど私は無理だと思った。
それが自分の、買い物のときの心理です。
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