映画「あん」

2015年の作品というから、オレの病気した年。
樹木希林さん晩年の作品、亡き市原悦子さんも共演しているというのが味わい深い。
孤独などら焼き店の店長の前に、「時給200円でいいから働きたい」と現れた、謎の餡作りの名人徳江さんには、実は悲しいエピソードが、という話なのだけれど、これ、どこまでがネタバレして良いことなのか、よく分からない。別に謎を追うストーリーでもないし、衝撃の告白でもないし、指が不自由と言っていた原因が実は、ハンセン病で、隔離施設に閉じ込められた何十年もの間に餡を作ることを覚え、日の当たるところで仕事をしたいという切なる思いを抱いていたという徳江さんの思いなのだったということは、ネタバレにも当たらないかな。
らい予防法廃止から20年を経ても、差別意識は簡単に無くならないというのが真実なのか。
らい予防法は、僕が受験時代に廃止され、それはそれで画期的だった記憶なのだけれど、いわゆるハンセン病訴訟には、関わる余裕がなくて、実態を知る経験ができなかったのは、今にして残念だった。図書館らしき場所で、ジュリストの棚が映るシーンもあったけれど、妙に親近感が湧いた。
これも日本映画らしいというか、淡々と進行するわけで、ラストは予想できつつも、少し盛り上がる。ただ、店長の孤独の原因と、徳江さんへの思いは、うまく設定されていたと思う。
この何年かで二大女優を失ってしまったんだなと思うのだった。とはいえ、ヒロインの中学生は、樹木希林さんのお孫さん、元木さんの娘さんというのも面白い。

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