「高校教師」3つ

今期のドラマが始まらず、ティーバーには昔のドラマが上がっている状況が続き、ふと2003年版の「高校教師」ってちゃんと見てなかったなと思い、見始めてしまう。ほとんど記憶になかったけれど、野島ワールド全開で、意外に面白かった。93年版は、森田童子さんの死去のニュースの頃に見直したから、2年前くらいだったか。これはもう定番というか、古典化していると言っていいと思うけれど、当時からしっかり見ていただけに、そんなものだったかな、という感じ。そして、あんなことがあったのに、京本政樹演じる藤村は10年後も同じ学校に勤務していて、しかも学年主任。なんであんなことに至ったのかという背景は03年版の方で語られるわけだけれど、そこが一応続いているというところが良かったりもする。
 メインは、進行性の脳腫瘍で余命いくばくもないという診断を受け、それまでの仕事を辞め、最後の希望を求めつつ女子高の教師になるという藤木直人演じる湖賀で、両親の離婚で傷付いているという普通の女子高生雛と恋に落ちてしまう、というパターン。これが上戸彩さんなのだけれど、全2作の桜井幸子、遠山景織子の路線とは全く違い、背景を一切感じさせない、普通の女の子というキャラだし、キャスティングも良かったのだと思う。
ところが、ひなは自分が病気なのだと誤解して話がややこしくなる。湖賀は、死に向き合う雛の姿は自分の鏡だと依存しつつも、最終的にはこれがばれて、ということなのだけれど。
 僕個人が、このドラマ放映時と感覚が大きく変わっている。死ぬことって、別に怖いものでもなんでもなくて、自分自身は安らぎでしかないと思っているので、自分が死ぬのではなく、湖賀が死ぬのだと分かった時の雛の「怖かった」というセリフに込められた気持ちが妙に分かってしまった。伝わりにくいかもしれないけれど、あれは上戸彩さんの名演技だった。でも、この二人だったら、普通に(?)教師と生徒でいけない恋愛して、何とか幸せな結末になったんじゃないかなとも思う。
 結末と言えば、ドクターヘリ以降のシーンは要らないのではないかと。土管のシーンで終わるのが93年版へのオマージュにもなるし、キレイだったと思うのだ。
 あとは、蒼井優さんのセーラー服(出身校の者と似てる)姿に小悪魔っぷり。成宮寛貴君がホスト役で出ていて、京本さんに「ゲイなの?」ときつい一言浴びせるシーンもツボ。
引き続き、映画版見る。教師役は唐沢寿明さんで、元ラグビー選手の体育教師という設定。試合中の悪質タックル(確かに首に入ってる)で、相手(親友でもあった)植物状態に陥れ、シンビンどころかラグビー界を追放になって、仕方なく女子高の体育教師の道へという主人公。遠山景織子のまゆは、父親に暴力を振るわれて、片耳が聞こえない。妙な万引き癖がある。クレプトマニアなのか。これもたぶん共依存の関係に陥るわけだが、植物状態の選手の妹が鈴木杏樹(あすなろ白書の頃かな)で、邪魔をする。結局、死という野島ドラマのキーワードは避けられないことになるけれど、ドラマとは違う破滅的なラスト、割と好き。
それに主題歌の「たとえばぼくが死んだら」というフレーズがマッチしている。

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