判定について

2023プレナスなでしこリーグ1部 第7節 日体大SMG横浜戦

前半28分のS日体大のシュートが、ゴールと判定されました。
判定自体は、受け入れます。
私は、常々審判団をリスペクトしており、これまでいかなる判定に対しても異議を述べたことはありません。
審判も人間ですから、間違うこともありますし、すべてが見えることなどあるはずもありません。
私自身、3級審判インストラクターの資格を有し、普段から公式戦の審判を務めていますので、その難しさをわずかながらですが知っています。
ボールがゴールラインを超えたのに、審判団からはそれが見えなかった。確認できなかった。
だからノーゴール。
それで良いです。
見えなかったことを、なぜ見えなかったのだと言っても始まりません。
見えなかったのですから。
誤審が起こるのがサッカー。
想定しないことが起こるのがサッカー。

選手に対しても、審判団、関係者に対するリスペクトの気持ちを忘れないで欲しいと思っています。

試合後、選手に対し、判定に異議を述べて再開を遅らせたこと、前半終了後に選手が副審に意見をしに行ったことに対しては、今後そのようなことはせず、すぐに気持ちを切り替えて、勝ちに行くんだという話をしました。
もちろん、私自身も未だにサッカーを続けており、その難しさはよく分かっているつもりです。
それでもなお、選手達には、判定に納得できない気持ちを即座にリセットし、次の1点を取ることに集中して欲しかったと思っています。
判定に対して、リーグに意見等するのは我々スタッフの仕事。
選手達には、ピッチ上で、プレーで表して欲しい。
そう思っています。

今回、初めて、試合後にマッチコミッショナーと審判アセッサーに直接意見を述べに行きました。
私が考える問題点は、大きく分けて2つあります。
1つは、副審A1が、何を根拠にボール全体がゴールラインを完全に超えたと判定したのか。
2つ目は、主審が、副審A1のゴールの合図を受けて即座にゴールと判定したが、なぜ副審A1とコミュニケーションを取らなかったのか。

S日体大11番の選手は、背後からパスを受けて振り向いて、ミドルシュートを放ちました。
そのとき、名古屋のDFラインは全員ペナルティエリアの外にいます。
副審A1は、ペナルティエリアより中央に近い位置にいるはずです(画面では見えません)。

S日体大の選手がシュートを放ち、GKが弾くまでは1秒程度です。

名古屋のDFとS日体大のFWは数歩しか動いていません。
副審A1も、ほぼ同じラインにいるはずです。


名古屋GKが弾いて落としたボールを拾うまでも1秒程度です。
名古屋DFとS日体大FWも数歩ゴールに近づいた程度です。
副審A1の位置が画像では分かりませんが、名古屋DFと同じか、少しゴールに近い位置と考えるのが、副審のポジショニング、経過時間からして相当でしょう。
少なくとも、GKがボールを弾いてキャッチするまでの間に、副審A1がゴールライン上に移動し、ボール全体がゴールラインを超えたかどうかを確実に認識できるポジションにいたとは考えられません。

ボール全体がゴールラインを完全に超えたと言えるためには、ゴールライン上(真横)から見て、ボールがゴールポストに重ならず、完全にボールの全体を確認できたことが必要なはずです。

もしくは、ボールが地面で弾んだ際、ボール全体がゴールラインのゴール側に落ちたことを確認できることですが、YouTubeで見ると少なくともボール全体がゴールラインよりゴール側に落ちたとはいえません。

GKがキャッチする場面が少々見づらいですが、YouTubeで見ると、どの辺りでキャッチしたかが分かります(27分)。

GKがキャッチした位置からすると、何を根拠にボール全体がゴールラインを超えたと判断したのかが、分かりません。
ボール全体が、斜めから見てもゴールポストと重ならずにゴールラインを超えたことを確認できた、ということでしょうか。
映像を見れば、それがあり得ないことはお分かりいただけると思います。
特に、GKがキャッチした後、すぐに副審A1に「違う違う」というシグナルを送っていますが、その視線の先はゴールライン方向ではなく、わずかですがGKよりセンターラインに近い方です(副審A1の位置が確認できないのと、ゴールの合図をしてセンターサークルに戻ろうとしているかもしれないので、正確なことは分かりません)。

繰り返しになりますが、ボールがゴールラインを超えてゴールに入ったが、それを確認できなかったからノーゴール、というなら仕方ありません。
ペナルティエリア内でハンドをしたが、審判から見えなかったからノーペナルティ、も仕方ありません。

でも、見えるはずがないものを「見えた」として得点を与えるのは、どうにも納得することができません。

そして、2つ目です。
主審は、副審A1が得点の合図をした後、即座にゴールの笛を吹きました。
YouTubeを見れば、GKの反応で副審がゴールの合図をしたことが分かります。
主審は、ボールの軌道、GKのセーブからキャッチまでの一連の動き、副審A1の位置が分かっているわけですから、副審A1のところに行き、副審A1の立ち位置を特定し、その位置から、いかなる根拠でボール全体がゴールラインを超えたと判断したのかを確認すべきではないでしょうか。
その結果、主審が副審A1の判断がもっともだと思えばゴールの判断をすれば良いし、副審A1の判断に合理性がないと判断すれば、ノーゴールでプレーを再開すれば良い。
主審が副審A1と一切コミュニケーションを取らずにゴールと認めるというのは、理解しがたいです。

繰り返しになりますが、見えなかったものは仕方ないです。
でも、見えるはずがないものが見えたとしてゴールを認めるのは、どうしても納得ができません。

その意味で、この判定は、単なる「誤審」を超えた問題があると考えています。

「三笘の1ミリ」で、真横や真上から見ないとボール全体がラインを割ったかどうかは分からない、ということをサッカー好きなら学んだはずです。
審判団なら、当然「三笘の1ミリ」くらい知っているでしょう。
にもかかわらず、なぜこの場面で副審A1、主審、第4の審判員がそのまま得点を認めてしまったのでしょうか。

リーグ、JFAには、今回の判定についてしっかりと調査していただきたいと思っています。

私たちは、なでしこリーグ、女子サッカーを魅力あるものにしたいと思っています。
審判団を責めたいわけではありません。
私たちは、審判団、観客、関係者とともに、素晴らしいゲームを創り上げたいのです。
認めるべきところは認めて、同じことが起こらないようにしてほしい。
当事者も、観客も、納得感を得られるゲームを創り上げたい。
選手たちがピッチで躍動する姿を見て、観客に感動してほしい。
それだけです。

そのために、私たちも日々成長していかなければなりません。
結局、この試合に勝てなかったのは、私たちの力不足に他なりません。
2点取れば勝てたのですから。

まだ序盤戦。
これからも、思わぬことが起こるでしょう。
それがサッカー。
選手達には、この試合があったから強くなれた、成長できたといえるよう、今後の糧にしてほしいと願っています。



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