【ほとけぶ便りvol.1】五重塔ってなにもの?

こんにちは、ほとけぶです。
知るともっと仏教を好きになる情報をお届する「ほとけぶ便り」。
第1回目のテーマはお寺といえばコレでしょとも言える…

「五重塔」についてです!

【目次】
①五重塔って何のためにあるの?
②起源とは?
③内装はどうなってるの?
④中に何があるの?

早速ですがみなさん、五重塔に対してどんなイメージありますか?

お寺に来たー!っていちばん体感できる建物だと思います。
写真映えもバッチリで、外国の方にもとっても人気ですよね!

では、皆さん、五重塔って何のために作られたのか、ご存知でしょうか??

①五重塔って何のためにあるの?**

「五重塔に入れますか?」
「五重塔の上まで行けますか?」
お寺におりますと、よくこういったことを聞かれる方が多いです。
結構多いです。海外の方は特に。

いやー中入ってみたいですよねー
上まで行って景色みたいですよねー
わかります。わかりますよ。

しかしですね、

結論からお伝えしてしまうと、五重塔とはお釈迦様のお墓なのです。
そう…お釈迦様のお墓なのです!(重要なことなので2回)

なので、入ったり・上に行ったりは基本できないのです…残念ですが…。
お墓詣りに行って、ご先祖様のお墓の中に入ってみたり、上に乗ってみたりとか…できないですよね。
ましてやお釈迦様のお墓なのでなおさらです。

その一方で!
五重塔は、冒頭で述べたように「お寺にきた!」ということを、明確に示すシンボルとしても認知度が高い建造物という一面もあります。
だからこそ、五重塔の役割についてもっと知ってもらうべきなのではないかという想いから、記念すべき第1回目のほとけぶ便りは「五重塔」をテーマにお届けすることにしました!

②起源とは?

五重塔は、インドの言葉でストゥーパ(stupa)と言います。
ストゥーパ(stupa)というお釈迦様のお墓として作られたものを起源としています。

↑こちらはインドのサーンチーのストゥーパ。
  アショーカ王が建てたインド最古の仏教遺跡です。

お釈迦様がお亡くなりになったとき、
その当時は珍しかった「火葬」にて弔われました。

遺体を火葬して弔うことを「荼毘(だび)にふす」と表現する仏教用語があります。

当時、高貴な人は火葬と決まっていたようで、これは王族出身であったお釈迦様本人がそう望んだと伝えられています。

火葬の後、お釈迦様の遺骨の上に土を盛り、傘を立てるという方法でお釈迦様のお墓が建てられました。

この土の上の傘が、中国に渡った時にちゃんと解釈されず…ひとまず重ねるか〜と沢山重ねた先にできあがったものが、いわゆる九つの輪(九輪"くりん")です。

中国の古い壁画なんかには、おそらくわからなかったんだろうなあという傘とも輪とも言い難い絵が残されていたりします。

日本で一般的な五重塔は、この九輪(くりん)をてっぺんに乗せ、三重・五重と階層を重ねて作られる構造が主流です。

ちなみに、奈良県桜井市の談山神社には十三重の塔が存在します。
昔はもっと重ねられてた、とか東大寺にも昔は大きな塔があって、とか。
散乱や火災で燃えることがなければ見ることができた塔がいっぱいあったんだと思います…。見てみたかったなぁ。

この重ねて作る、というのも実は中国起源のもので、中国で道教の建物を作るときに使用していた楼閣建築(建物を何層にも重ねる方法)が由来となっています。

③内装はどうなってるの?

あれだけ何フロアもあるのですから、さぞすべての階に仏様がいらっしゃって荘厳されてるんだろう、と想像される方も多いと思います。

日本の五重塔の場合、ほとんどは一階だけに仏様が祀られたり、壁画が施されており、二階以降には何もないパターンが多いです。
(ちゃんと確認できていませんが、中国の場合はすべての階に装飾があるそうです。)

これを聞くと、上がれないのも無理ないと思っていただけるかと思います。

もちろん高い建物からの景色も魅力的ですが、寺院内で同じような役割を持つのはどちらかというと山門で、門の上に上がって景色を見渡したりお参りできる場所が作られている事例も多く存在します。
いずれ山門についてもご紹介します!

五重塔が高く作られるのは、お釈迦様のシンボルを誰がどこにいても見つけられるように、拝めるようにとの説もあります。
(道教の楼閣建築にこの理由が当てはまるのかは定かではありません…)

五重塔があることで「お寺に来たー!」と、広範囲で感じられるというのも魅力の一つだと思います。

日本ではかつて、寺院は基本的には修行の場として現世から遠い山の上に作られました。(その名残で各寺院には、○○山という山号がつくのですが、話すと長くなるのでまた!)
その寺院が山の上ではなく身近な場所に作られるようになりました。
こういった背景からも寺院に五重塔があることは、お寺のシンボルというだけでなく、そのお寺を取り囲む地域のシンボルとしても五重塔が愛されていくところにつながっていくと思います。

京都の清水寺から八坂神社にくだる坂を歩いていくと、街に溶け込んだ五重塔・その周りに沢山のお店が並ぶ姿が広がりますよね。
京都に来たんだな~って感じる景色だと思います!

日本において、
貴族のための宗教であった仏教は、だんだんと民衆にも信仰されるようになりました。
お釈迦様のお墓である五重塔が街を彩る景色の一つとして溶け込んでいることは、日本での仏教信仰を考える上で非常に重要なことだと思います。

④中に何があるの?

では、五重塔の中には、何が納められるのでしょう?五重塔はお釈迦様のお墓…ということは、

五重塔の中にはお釈迦様の骨が治められています。

インドで荼毘(だび)にふしたお釈迦様ですが、
彼の存在は死後も注目され続け、亡くなった後は近隣諸国で遺骨が取り合いとなりました。
そして平等に7つの国に分骨され、それぞれに塔が建てられています。

お釈迦様の遺骨は、別名仏舎利といいます。

その後、アショーカ王というインドの王様が、
国の統治に仏教の教えを使用し、その教えを広めるためにかつて分けられた仏舎利をさらに八万四千に分け塔を建てた、と伝えられています。

1人の人間の骨がですよ、八万四千です。もう粉々です。
八万四千に分けられた仏舎利は、米粒くらいに小さくなりました。
このことが由来で、お米のことを銀舎利というそうです。
ご飯は残しちゃダメですね。

仏舎利は、持っていたら願いが叶うとか、国を治められるとかいろいろ言われていて、例えばイエスキリストの十字架とかとならんで、聖遺物と呼ばれていました。昔の武将もこぞって仏舎利を欲しがったとも言われています。

そんな仏舎利が中にあるのが五重塔です。

お釈迦様をいつでも感じられるスーパーパワーシンボルが五重塔なのです。


どうでしょう…五重塔がいかにすごい建物か…伝わっていると嬉しいです。

次にどこかで五重塔を見かけたら、
ぜひ手を合わせて、そのご利益を受けてきてくださいね!!