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2023年の覇権ジャンル、Krush Club(HexD),Sigilkoreについて

こんにちはホットミルクが甘い理由と申します。普段はTwitter(X)↓にて主に音楽について呟いています。

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早速ですが2023年、インターネットの奥底から覇権ジャンルまで急成長、拡大したHexD、sigilkoreについて振り返っていきたいと思います。
 これから話す内容は1リスナーとして1年間聴いてきた中での体感的な動きであり、詳細なデータ、内容の正確性に欠けるところがありますのでそーなんだー程度で受け入れていただけるとありがたいです。
 詳しく知っている方は是非どんな形でもいいので教えていただけると非常に助かります。
※長くて見づらいとは思いますが最後まで読んでいただけるとかなり嬉しいです。



1.HexD,Sigilkoreとは?(超ざっくり)

HexD→nightcore,vaporwave…といったインターネットミュージックとされるジャンルからの影響を受けたラップミュージック、ブレークビーツ。これといった定義はおそらく今も存在しないが楽曲全体に過剰なビットクラッシュ、ヴォーカルには過度なピッチアップが施されていることが共通項といえる。


Sigilkore→underground rap~cloud rap,hyperpop等から影響を受けたhip hopのサブジャンル。slow+reverb,sped upパートが各所に挿入されることが主な特徴。HexDとは親戚くらいの距離感(だった)。

2.2022年まで

まず、2022年の後半時点での状況について。
(※私がHexD,Sigilkoreを聴き始めたのは2022年11月頃で、そのあたりの話をしますがここは一番正確性に欠けるところですので詳しく知っている方は教えてください)

ジャンルの普及具合は"インターネット音楽を好んで聴く人なら少しは知ってる"くらいだったと思われる。
ただ、人気があったアーティストは既にtiktokでバズを起こしていた。

ジャンル内勢力はHexDはラップ系(*67,hi-cなど)もしくはsextrance周り(Anthony1,purity filterなど)、Sigilkoreは新参者よりも早くからこのジャンルを始めていたアーティスト(luci4,majinblxxdyなど)の勢いが強かった、人気があった記憶。

3.Krush Clubの台頭

まずkrush clubとは
HexD派生ジャンルの一つ。ハイパーポップからの影響を強く感じるダンスミュージック。ビットクラッシュが施されている(過剰とは言えない程度のものが多く、何ならかかっていないものも)。
どうやら、商業的な側面がかなり強いみたいで、かなり悪意のある言い方になってしまうが、"PhonkでいうところのDrift Phonk"みたいな立ち位置(笑)
気になる方は↓こちらをチェックしてみてください。

主要アーティストの多くは年齢層が低く、Tiktokネイティブの強みであるバズについての理解が深い(多分Tiktokerからアーティストみたいな流れ)。

一曲一曲に別バージョンが存在するためにリリーススパンは短め。
※slow+reverbed,sped upバージョンを自らアップロードしないとバイラルヒットを起こした際、赤の他人に無許可でアップロードされ、収益を奪われる可能性がある。

2022年の終わり頃、Lumi Athena,jnhygs-Smoke It Off!がTiktok上でバズを起こす(リアルタイムで観測できておらず正確なタイミングは不明)。
その後、彼のフォロワーが多数現れ楽曲が量産されることになる。
結果、2023年のHexD,Sigilkoreのシーンに絶大な影響を及ぼす。

初期主要アーティスト
Lumi Athena
jhnygs
kyszenn
odetari
Cade Claireなど

4.Krush Club普及によるHexD,Sigilkoreバズ第一波(2022末~2023序盤)

kyszenn-onyx palaceがHexDラッパーの間で流行る。このビートが使用(おそらく無断)された多くの楽曲がsoundcloudや各ストリーミングサービスでリリースされる。

また、現在krush clubで最も成功を収めたといえるodetariもシーンへ参入。

私の記憶だと(かなり曖昧)このあたりの時期のspotifyの月間リスナー数はLumi Athena10~20万、kyszenn3~5万、odetari10万前後だったような。
なにはともあれこのバイラルヒットを機に一部のHexD,Sigilkoreならびにその周辺のアーティストの知名度が少し上がる。

5.deyluvkirbyのバイラルヒットによるHexD,Sigilkoreバズ第二波(2023年中盤)

5月中旬から6月上旬あたりでいつもチェックしていたアーティスト達のリスナー数の桁が軒並み2,3桁ほど増えていることに気づく。明らかに波が来たと思いつつkrush clubの普及によるものだと無視していた。
が、あるアーティストのリスナー数がバグとも思えるレベルで増えていた。それがdeyluvkirbyである。
私が彼の楽曲を初めてチェックしたのが4月の終わり頃、"letter2myvixen"がリリースされてすぐくらい。その時のリスナー数は100にも満たなかったはず。しかし、6月頃には70万弱まで増えていた。
"dance!(sped up ver)"がTiktok上でバイラルヒットを起こし彼と共作経験のあるアーティスト、またそれらのおすすめ欄に表示されたアーティスト…と連鎖を起こして多くのHexD,Sigilkoreアーティストのリスナー数が増加。昨今の”ジャンルとして”のブームはこのヒットが引き起こしたといっても過言ではないだろう。


6.ラップミュージックとしてのHexDの衰退

しかし、HexDはジャンルとして流行ったと思いきや徐々に衰退が始まる。
ここで衰退したのはHexDといってもラップ系のことを指す。原因を自分なりに考察したので以下に記す。
・ビート不足
アンダーグラウンドな音楽故にセルフプロデュースが必須だったわけだが意外と他人のビートを使いまわすやり方が蔓延していた。シーンの過熱とは裏腹にタイプビートを作る人も少なかったように感じる。新参者は特にこれが原因でリリース頻度が落ち、出現も減る。

・ブレークビーツ、トランスばかりが流行る
サブジャンルであるsextranceやbreakcore等が勢いを強め、新参アーティストも安定してリスナーが獲得できる土壌ができていた。だが、ラップ系はそうはいかなかった。

他にも、"バイラルヒットによる恩恵を受けたアーティスト、受けられなかったアーティストの格差があまりにも大きかったこと"や"マンブルの最上級ともいえるくらいに歌詞が聞き取れず、展開もワンパターンになりがちで個性を出しづらい"、などが考えられる。
SigilkoreがHexDを取り入れながらブーム作っていく中HexDアーティストはcloud rap,pluggへと方向転換していった。

7.現在のSigilkore

現在Sigilkoreには三種類の派閥?がある。まずはそれらについてざっくりと

1.初期Sigilkore派
元来Sigilkoreと呼ばれていたもの。luci4等がシーンを牽引しておりhorrorcore,phonkなどのunderground rapからの影響が強くHexDからも影響を受けている。krush club成立以降も勢いは変わらずだがジャンル名を奪われる形に、、、
主要アーティスト
luci4
majinblxxdy
sepheなど

2.krush club,scenecore派
現在のブームを作り出したもの。2023年ベストといってもいいくらいバイラルヒットを記録しており、ダンスビートが主流。Tiktokで流行った、流行らせたためY2Kカルチャーからの影響も感じる。scenecoreと呼ばれる別ジャンルとのコラボ作も含まれる。spotifyの公式プレイリストによりSigilkoreということになっている(本当にテキトーすぎて嫌になる)。
主要アーティスト
krush clubで上げたアーティストとほぼ同じ

3.digicore,cloudrap派
元祖Sigilkoreをdigicoreやkrush club,hexd等を取り入れながら正統進化させたもの。メロディックでキャッチー、ナード臭いサンプリングやハイスキルなラップ。曲づくりがうまいアーティストがちゃんと評価されている気がする。1の時代に下火だったアーティストが多い(初期からdigicoreインスパイアなアーティストはいたがアングララップ要素が強いアーティストたちの陰に隠れていた印象)。
2のアーティスト群からの影響が強く、彼らがプロデュースを手掛けたりもしている。
主要アーティスト
removeface
lostrushi
universe

ラップミュージックとしては衰退を始めたHexDとは逆にSigilkoreは2023の覇権ジャンルまで上り詰めることとなる。


8.Sigilkoreの隆盛

9月後半驚くべき告知が、、、
先ほど書いた(2,3)のラッパー9livesがあのTrippie Reddとスタジオ入りしたことをInstagramに投稿。その後10/5にodetariプロデュースで"I Love You Hoe"がリリース。
更に11/8、playboi carti主宰opium所属のHomixide Gangを客演に迎えた"DXE DXE DXE"をリリース。
12/6、勢いのある(2,3)のSigilkoreアーティストやDon Toliver(!!!)などを客演に迎えたフルアルバム”Door To Dusk”をリリース。
odetariのリスナー数は1000万人を突破しSigilkore最強格へ。そしてSigilkoreはHip Hopリスナーが2023年を語るうえで避けては通れない一大ジャンルとなった。

9.おわりに

まずはここまでお付き合いいただきありがとうございます。
spotifyの公式プレイリスト"hexxed(前はSigilkoreという名前だったものと同一プレイリストだと思われる)"による雑でふざけた拡散、拡大によるジャンルの浸食等複雑な気持ちになることもありました。が、好きで聴いているジャンルが多くの人に興味を持ってもらえて嬉しいと純粋に思っています。
今年よかったアルバム、楽曲や今回触れきれなかったHexDのサブジャンルについても後々記事を書く予定ですのでよろしくお願いします。プレイリストも作って共有するつもりです。
sextranceのプレイリストは公開しているので良ければのぞいてみてください。


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