見出し画像

ゲームマーケット2023秋に向けてゲームを作ってみた話

すでに発表があった通り、2023年秋ゲームマーケットで「Taple Games」というブースでボードゲームを出すことになりました。きっかけは、瀬田のボードゲームカフェ『hello COFFEE STAND(ハローコーヒースタンド)』の店長橋口さんとのやり取り。

橋「テープケースに入るゲームを作って秋ゲムマ出ませんか?」
自「いいですよ。オザケンの次はヤマタツが来ると思ってましたし。」
橋「いや、来ないと思う。」

基本的に「YES」と言う体質なので了承しましたが、カセットテープというモチーフは面白いですよね。ドイツのアドルング社(Adlung Spiele)の小箱のカードや、スペインのネスターゲームズの土囊バッグのように、制限のかかった形に、アイデアを詰め込む形に浪漫を感じます。元々は「映画を連想させるようなボードゲーム」という小冊子ZINEを作って参加しようと思っていたので、良いタイミングでした。ヤマタツも来たら良いのにと思いながら「良い音のするゲーム」を合言葉に、カセットテープに詰め込むゲーム制作が開始しました。

当初から一貫して考慮していたのが「賭けをするゲーム」ということ。これを実現するために、まず賭けについて学ぶため図書館で伊藤拓馬さんの「賭けずに楽しむ 日本の賭博ゲーム」や、人が白熱する仕組みを知るためにリチャード・レスタックさんの「遊ぶ脳みそ」を借りたりしながら構想を固めました。

結果として完成したのが、晴れか雨か天気を当てるゲーム「SUNNY OR RAINY」。とりわけシンプルに収めたく、テストプレイを重ねて多くの貴重な意見を頂きながらまとめることができました。「マダハイール」の作者ドラさんや、一緒にゲームを楽しむ仲であるシュンさんの意見に助けられ、骨組みの基盤ができたような気がします。

ゲーム内容としては、手番プレイヤーがチャレンジを選択した場合、宣言タイルをめくる→タイルに記された数だけ天気を当てなければならない→それが全て当てられるか当てられないかを周りのプレイヤーが手持ちのチップを最低1枚は使って賭けをするという流れになります。成功に賭ける場合は手の上に、失敗に賭ける人はテーブル上の自分の前に出します。そして手番プレイヤーが山札から1枚ずつ「晴れ」または「雨」を宣言しながら公開していく……といった具合です。
全て成功した場合、公開されているカード条件だけチップをもらうことができ、1枚でも失敗した場合は逆にチップを支払います。周りのプレイヤーは、手番プレイヤーがこの宣言を失敗する、または成功するかに賭け、その分チップを払ったり、獲得したりします。

チップの精算が終わると時計回りに手番が移りますが、1つ工夫があります。
場に公開されたカードは一定数以上になるまでその場にたまります。これにより、次の手番プレイヤーは公開されているカードによって成功の利益と失敗のリスクが高まることになります。手番プレイヤーは公開する前に、宣言タイル6枚から1枚を捲って公開する枚数を確定させますが、この宣言タイルは[1、2、2、2、3、4]といったバランスで、一旦リセットすることも可能です。つまり、場に●が溜まっている場合、1枚だけの成功を狙うプレイヤーや、さらに立て続けに2枚、3枚と成功を狙うプレイヤーもいるでしょう。現在の宣言タイルの状況とこれから公開されるカードの確立性、手番プレイヤーは「賭け」という軸を基準に状況を判断し、さらに言えばそれを煽る周りのプレイヤー……という構図です。

アートワークやテーマは、分かる方には分かると思いますが、尊敬の念を抱く往年のボードゲームによくある「賭け×紳士」の名盤、ライナー・クニツィア氏の「メンバーズオンリー」やシュテファン・ドラ氏の「モンテカルロの夜」などからヒントを頂き、賭けの中に漂う[優雅、余裕、美意識]といったキーワードを意識しています。つまり沢田研二です。


行ったこともない赤い屋根のある郊外を下描き
色を調節しながら「晴れ」カード用のイラストを描く
傘を忘れるお茶目な紳士

結局は自分の絵になってしまうため、上記で取り上げた巨匠たちの作品のような上品さを出すには程遠いものとなってしまいましたが、こんな工程を繰り返しながら、「雨」、「曇り」側も仕上げ、パッケージデザインへ。

可愛すぎてしまった初稿
目指したライン

パッケージではタイトルを手描きしてみたものの、かわいい形に仕上がってしまい、友達のシュンさんに見せたところ「線だけだと手抜きに見える」とのご意見が。また、密かに目標としていた沢田研二のイナタサからは大分離れてしまったので、硬いフォントに変更し今の最終的に落ち着きました。タイトルは写字にすることで動きが出るとは思いましたが、あえてしないことで色気を隠す方向で調節をしています。

完成形
実物のカードたち
出来上がった感じその1
出来上がった感じその2

正式なルールは以下になります。
ルール

あ、注意点が2つほどあります。チップが奇跡なバランスで入れております…。Isensee社の「株の恍惚(Aktienrausch)」のように、一度出したら再び入れるの厳しいかもしれません…。この場合、モビロンバンドで外側に結びつけてください。また、宣言タイル(めくる数字が書かれているタイル)がやや透けてまして、下に濃いめのダイストレイや布を敷いていただければ大丈夫だと思います。以上2点申し訳ございません…。

今年の2月?か3月くらいからコツコツ構想を練っていた「テープルゲームズ」企画ではありますが、それもついに明後日開催です。共同で頒布する超イケメン「オインクゲームズ」の佐々木さん、海外パブリッシャーも一目置く存在「Saashi & Saashi」のサーシさん、敏腕凄腕デザイナー別府さいさん、超天才「サグイネル」の椎名さんと中森さん、ボドゲの魔術師「タンサンファブリーク」の朝戸さん、ニムト世界一「アソビ舎」のドラさん、そして我らが「un&co.」の橋口さん、期日が近くなると全員のLineが開口され、それぞれのデザインやテーマ等を語りあう楽しい時間が始まりました。みんな違ってみんなスゴい。こんな夢のような場に混ぜてもらえることを噛み締めないとですね。

最後に、コロナ禍が過ぎ、再び賑わいのあるゲームマーケットになりそうで心から安心しました。AWで言えば、「マダハイール」を手掛けたドラさんの新作「マダツメール」のAWも担当していますが、このゲームの土産をカバンに詰め込むというテーマに加えて、本来僕たちがコロナ禍で我慢をしてきた欲を解き放て、という想いも込めています。ここまで本当に辛抱に辛抱を重ねてきた僕たち私たち。本当に偉いし、あとは楽しんで優勝です。

ぜひ、ゲムマで会いましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?