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インドシナ便り 最終回 新たな挑戦へ

友人知人の皆様

今回のタイトルを見て、あーいよいよか、と思われた方もいらっしゃると思いますが、足掛け7年近くなるタイ生活に終わりが訪れました。次なる挑戦については、改めてお伝えする機会をいただきますが、今回はインドシナ編の最終回として、少しこれまでの7年を振り返ります。

<コロナで文字通り蒸発した需要とその後>

コロナ禍は多くの人に様々な影響を及ぼしましたが、ホテル業は、レストランや娯楽などのサービス業の中でも最も被害の著しかった産業の一つでした。文字通り、宿泊、レストラン、宴会全ての需要が一瞬で「蒸発」し、身動きの出来ない生活を余儀無くされたあの悪夢の期間は未だに深く脳裏に残っています。2020年から始まったこの襲撃により、業界は一緒に働く多くの仲間を失い、そしてそれは人手不足というしっぺ返しの形で未だに尾を引いています。一方、ことバンコクについて言えば既に当時の惨劇はどこへやら、再びホテル投資熱が過熱し、来年には超高級ホテルラッシュが控えています。確固とした実需に基づく供給であることを祈るばかりです。

<アジアを巡る旅の数々>

 若い頃に訪ねたアセアンの国々を再訪しつつ、7年で訪れた国の数は通算で20を超えたでしょう。アセアン諸国では結局ブルネイのみ未踏で終了。コロナに翻弄された数年でもありましたが、それでも、インドへのバックパッカー、東南アジア最高峰への登頂、山岳地帯の少数民族やエレファントキャンプを訪ねる旅など、忘れられない思い出に残る冒険旅行もいくつか。改めて自由に世界を巡ることができるようになった世の中に感謝ですね。

<日系ホテルの立ち上げという仕事>

 タイで3ホテルの開業に携わりました。海外の同一エリアでこれだけの経験ができたのは貴重な経験でした。海外での日系ホテルの立ち上げを通じ、「日本のお客様には日本と同じような安心感を、現地のお客様には日本の素晴らしさを体験してもらう」をモットーにかれこれ十年近くこの業務に熱意を注いできましたが、一旦、Mission Completeとし、また新たな挑戦を開始します。

<ヨーロッパ遠征という愉しみ>

 年中温暖(というか灼熱)な気候のなか、日本人の集い、そしてローカルの大会にと、タイにおいてもテニスがプライベートの時間の中心でした。長年悩まされていた左膝の手術に踏み切ったのもタイの医療への安心感からでしたが、これで痛みのないプレーが戻ってくるかと思いきや、術後も痛みは残っていて中々すっきりいきません。そんな状態ながらも、昨年のスペイン(バルセロナ)、そして今年のフランス(マントン)とヨーロッパでのシニアツアーに参戦、思うような結果にはなりませんでしたが、敗戦後の街巡りも含め「欧州を暮らすように旅をする」が自然に実現できたのはやはりテニスという真剣に取り組んでいる趣味があってのことでした。今後も挑戦は続けていきます。

<アマタスプリングという贅沢空間>

今勤めているホテルに隣接する「アマタスプリング」という会員制の高級ゴルフ倶楽部があります。ゴルフ好きの方なら一度くらい聞いたことがあるかもしれません。幸運にもこのクラブで頻繁にプレイする機会を得ることができ、それまでお世辞にも上手いとは言えなかったゴルフが、最近はようやく趣味の一つ、と言えるくらいスコアもマシになってきました、笑。こんな至れり尽くせりの環境でゴルフできる機会は、一生もう無いかもな、と最後の余韻を楽しんでいます。

<改めてタイの魅力を振り返り>

さて、あれこれ思いつくがままに綴ってきましたが、年中温暖な気候、優しいタイ人気質、数々の刺激的なローカル食、日本人が住みやすい生活環境などなど、間違えなく日本人の海外移住候補先としてトップクラスの国であることは疑いの余地がありません。一方、あまりに便利すぎ、かつ日本人コミュニティーが充実しており、ともすると海外で暮らしているという高揚感やスリル感などを全く感じない(感じなくなってしまっている)自分を意識し始めました。快適ではあるのですが、何か違うように感じる、そんな贅沢な状況でした。

<メジャーでの新たな挑戦へ>

 改めて、自分自身のキーワードみたいなものを拾ってみると、やはり上位にあがるキーワードは決して「贅沢」とか「安定」とかではなく、「挑戦」とか「冒険」なのだなと再認識をしています。で、やはりこのぬるい環境をそろそろ抜け出し、何か新しい「挑戦」しようと決めました。結果、これまで30年世話になったホテルチェーンを後にし、新たに外資系での第二章の始まりです。さながら、日本で成績を一定程度残せた中堅プレーヤーが、野球あればメジャーリーグへ、サッカーであれば欧州リーグへ遅まきながら挑戦する、といった感覚でしょうか(分かりにくい?笑)。もう、決して若いとはいえない年齢ですが、まだこれから10年近く残っている仕事人生の中で、もう一度新たな何かを生み出せたら、と思っています。

<インドシナ編の終わりと、新たな便りに向けて>

タイを離れるにあたり、改めましてタイでの生活を支えていただいた多くの皆様に感謝するとともに、引き続きこのお便りを含め末永いお付き合いをお願いいたします。今から約15年ほど前、久々の海外駐在を再開するにあたり、転勤などで兎角疎遠になりがちな友人関係を何らかの形で維持したいとの想いから始めたお便りですが、「上海」、「大阪」、「江南」、そして今回の「インドシナ(タイ)」と、時折時事ネタなどをお送りさせていただいておりました。日頃のたわいもない話題ばかりではありましたが、それらの便りを通じ場所は違えど交流が継続している友人も多いので、新天地においても続けたいと思っております。引き続きお付き合いください。タイ編、これにて完結です。

(この投稿は友人知人の方へメールベースお送りしたものを、一般投稿用に一部編集してお送りしているものです)

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