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脇本平也『宗教学入門』を読む 第10回

第三章「科学・呪術・宗教」

5「呪術と宗教」(フレイザー批判、マレットの展開を経て、マリノフスキー、その後・・・)
前項(第9回)の①と②に続いて、マリノフスキーの学説の3つ目のポイント。
③呪術:現世利益的、事前に行われる(豊漁、安全を願って行われる儀礼)。他に目的がある。
宗教:儀礼自体が目的。事後に行われることが多い(例えば、豊漁に対する感謝など)

マリノフスキー以降。
主流として、呪術と宗教は聖なる領域に属するもので、経験的・合理的な立場に立つ科学とは明確に区別される。非経験的、非合理的、超自然的な性格を共有する(呪術と宗教)。事実を対象とするのではなく、意味を対象とする。How と Whyの違い。

呪術と宗教の違い。はっきりと区別することは困難。

理論的道具として、マックス・ウェーバーの理念型(左の極に純粋な呪術、右の極に純粋な宗教)。現実的には、この二極のスペクトルの間のどこかに位置する。

例:
雨を降らせるとか病気を治すとかのように実際的・特殊的な目的にかかわるものはより呪術的
世界平和や人類愛など一般的な目的にかかわるものはより宗教的
利己的・反社会的な目的はより呪術的
公共的・社会的な目的はより宗教的
強制的な態度はより呪術的
謙遜や祈願の態度はより宗教的
儀礼をどのように行うのか、いつ行うのかが任意に決められているのはより呪術的
一定の時に儀礼を行わなければならないと決まっているのはより宗教的

以上のような物差しが考えられる。これは、迷信とよばれるものの性格を考えるときにも有効。

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