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脇本平也『宗教学入門』を読む 第13回

第四章「宗教の諸類型」

3「神秘主義的宗教と預言者的宗教」
神秘主義:神との合一、宇宙の究極的な理法を悟る、など個人の体験を重視
預言者的:神からの預言を受け、それを人に広める

①現世とのかかわり方
神秘主義:現世を厭離(今の世の中はダメだ)、この世を超越する超倫理的な色合いが濃い。
預言者的:この世を、神の意志に従って、変革し、現世における宗教倫理を確立しようとする

②個人主義vs社会主義
神秘主義:個人の体験を重視するので、個人主義的な色合いが強い。歴史(時間的な流れ)などは軽視。
預言者的:神の言葉を受けて、この世を変革する方向に働く。共同体形成を志向する。歴史的な流れも重視。

③他宗教に対する態度
神秘主義:個人の体験が最も大切なので、他宗教に対しては寛容的であることが多い。
預言者的:預言が絶対的な意味を持つので、他宗教に対しては非寛容的になることが多い。

預言者的宗教を二つの種類に区別することも可能。①模範預言、②使命預言。

①模範預言:ブッダが模範を示したことで、その模範に従うだけで解脱の境地に至る。どちらかといえば、神秘主義的。
②使命預言:神から使命を授けられ、​預言者とともにその使命を果たす(例:神の国の実現、それにふさわしい倫理など)どちらかといえば、預言的性格が強い。(預言者的宗教のなかでも、特に預言的な要素が強い。逆に、仏教などは、ブッダを預言者的としてとらえることも可能であるが、ただし、個人の内面的な部分から悟り、解脱を目指すという点において、神秘主義的な要素が濃くなる)

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