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脇本平也『宗教学入門』を読む 第15回

第四章「宗教の諸類型」

7「宗教進化の五類型」
アメリカの宗教社会学者ベラーが新しい角度から宗教進化について論じた。
進化=分化、複雑化。進歩とは区別される(いいように進んだか悪いように進んだかは判断されない)

進化の5段階
①原始宗教
②古代宗教
③有史宗教(現世拒否のキリスト教、仏教など)
④近代宗教(西洋のプロテスタントがモデル)
⑤現代宗教

これらを4つの局面で分析。
A. 思想的な局面
B. 宗教的行動(信徒が行う生活実践や宗教儀礼など)
C. 宗教的組織
D. 社会的意味合い(それぞれの宗教が社会に対してどのような意味・機能を持っているか)

①原始宗教
神話を通して、死や苦しみの意味を説明。民族の連帯を維持・強化。

②古代宗教
神話は人格をもった神々の物語になり、神々の間にヒエラルキーが形成される。犠牲や礼拝などの儀礼が展開される(神々との交信のため)。権力闘争も神々の争いとして合理化される。

③有史宗教
現世の否定。求めるべきは神の国や浄土などの超越的な世界。求むべき理想と否定すべき現実。苦悩や迷妄からの救済や解脱という宗教目標。この目標に基づいて、さまざまな修行・儀礼・実践などの規律が定められる。自己の概念が明確化されていく。思想・信仰を中核として教団が形成・整備される。政治や軍事からは分離。

④近代宗教
西欧近代のプロテスタントがモデル。現世での救済を肯定。形骸化した儀礼を否定。この世の職業を天職として与えられたと考え、それに献身的に禁欲的に向き合うことによって救済される。

⑤現代宗教
二元論の崩壊、神の死。宗教の意味合いは、個人にゆだねられている。イメージは未定。未決定というのが特徴。

これらの類型に分類するのが目的ではなく、これらの概念を通して、それぞれの宗教・信仰を見直すことができる。自分を深く知るためにも、他者を理解することが大切。

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