H27年度 都立小石川 適性Ⅲ 解答

【適性検査皿】(45分) 〈満点:100点〉

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 すすむさんは,バスケットボールのゴールまで5mくらいのところからシュートの練習をしています。それを,よしえさんが見ています。
よしえ:最高で何回くらい続けてシュートを成功させたことがあるの。
 すすむ:今までの最高は21回なんだ。あまりはずまないボールの方が続けて成功するんだ。
 よしえ:試合で使うボールはどれくらいはずむのかしら。
 すすむ:公式試合で使うボールは,180.0cm の高さから静かに床に落としたとき,決められた高さの範囲まではずむように空気を入れることになっているんだ。

【問題1】
 実際に,180.0cm の高さからバスケットボールを静かに落 として測定したところ,何回かはずんでやがて止まりました。 そのときのはずんだ高さは,図 1のようになりました。4回目は何cm はずんだと考えられま すか。そのように考えた理由も説明しなさい。ただし,はずん だ高さはボールの一番下を測っています。

〈解答例〉
24.4cm/理由
...1回目は,106.9-180.0=0.59, 2回目は,65.7106.9% 0.61..., 3回目は,40.7-65.7%D0.61...となる。小数第二位を四捨五入すると,0.6のわり合では ずんでいるので, 4回目は, 40.7×0.6=24.42となり,24.4cmはずんだと考えられる。


 【問題2】
 バスケットボールだけでなく, ボールはいろいろな要素によってはずむ高さが変わります。今,図1のバスケットボールよりも高くはずむボールを作ろうと思います。どのようなボールを作ればよいと思いますか。できるだけ多くの要素について、なぜそう考えるかもふくめて,説明しなさい。

〈解答例〉
ゴムボールよりピンポン球の方がはずむように,かたい材料の方がよくはずむの で,かたい材料を使う。よくはねかえる野球やゴルフのボールには,何かがつまっているので,
中身をつめる。大きいと空気のていこうを受けやすくなり,スピードがおそくなるので,ある 程度小さくする。

 
よしえさんは、すすむさんがシュートしたボールが, バックボードに当たる様子を見ていました。そこで, ボールを床に落としたとき ではなく,バックボードに 当てたときに,どれくらいはね返るかについても知りたくなりました。バックボ ードは高いところにあって 実際に調べるのはむずかしいので,実験に適した壁を探し,壁の決まったところに当たったボ ールがどれくらいはね返るかについて調べることにしました。

 

【問題3 】
(1)  同じボールでも,壁への当たり方によって,はね返る大きさが変わります。どのような要素で変わると思いますか。できるだけ多く答えなさい。
 (2) (1)で挙げた要素のうち一つを選び,他の要素はできるだけ変化させず,選んだ要素だけを変化させることができるような装置を考え,その仕組みをくわしく説明しなさい。
なお, 言葉だけで説明しにくい場合は,図を用いてもかまいません。

〈解答例〉
(1) かべに当てるときの速さ,かべに当てる角度,ボー ルの回転
(2)かべにカッターを固定し、ボールがかべに当たる直前に糸が切れるよ うにしておく。たこ糸をガムテープでボールに接着し,他方を上の板に固定して,ボールを持 ち上げて、静かにボールをはなす。かべからボールが落ちた場所までのきょりをはかる。こう すれば,かべに当てる角度は変わらず,ボールも回転しない。かべに当てるときの速さだけを 変えることができる。


よしえさんは,以前テレビで見たロボット コンテストを思い出し ました。はなれたとこ ろにある的にバスケッ トボールを直接当てる ロボットを考えて作るロボットコンテストでした。

【 問題4 】
ボールをうまく的に当てるためには,どのような要素を調整できるロボットを作ればよいと思いますか。また,なぜその調整が必要なのかも説明しなさい。ただし,的は複数あり, 1回ごとに異なる的をねらってボールを投げるものとします。

〈解答例〉
左右の角度とボールを投げ出す速さを調整できるロ ボットを作る。
ねらった的の方向を向いて、ちょうど的にとどくくらいの速さで投げ出す必要 があるから。


ボールに限らず、ものを高いところから落とすと,ある程度はずみます。しかし、はずまな い方がよいこともあります。
例えば,次の資料のように宇宙船が着陸するときは、はずんでしまうとうまく着陸できません。



【問題5】
あなたの身近で,はずまない方がよい場面を,例を挙げて説明しなさい。また,どのようにすると,はずまなく(はずみにくく)することができるかについても,具体的に説明しな さい。

〈解答例〉
 消しゴムをつくえから落とすと,はずんでどこへ行ったかわ からなくなることがある。消しゴムに厚い布のカバーをつけておけば,あまりはずまないので、 遠くへ行かない。


ようこさんは,図1のカレンダーを見て、にこにこしています。
お父さん:もうすぐ誕生日だね。
ようこ:今年はカレンダーの真ん中にあるの。
お父さん:3月18日だね。
ようこ:そうそう。
 お父さん:カレンダーの数に関する性質を探してみよう。
ようこ:どんな性質があるのかしら。

お父さん
:誕生日の18とその上の11と下の25の三つの日にちの数の和は54になるね。54と18はどんな関係があるかな。
 ようこ:54は18の3倍になっているわ。
お父さん:縦に三つの数が並んでいる場合は,その三つの数の和が,どこでも真ん中の日にちの数の3倍になっているよ。
ようこ:横に三つの数が並んでいる場合も,ななめに三つの数が並んでいる場合も成り立つわ。どうしてかな。
お父さん:このカレンダーには横に数が七つ並んでいるよね。
 ようこ:そうか,11は18ひく7で,25は18たす7だね。だから,それら三つの数の和を表す式を書くと, (18-7) + 18 + (18+7) となるから, 18 + 18 + 18 = 18×3になるのね。
お父さん:カレンダーはおもしろいね。
ようこ:別の性質はないかな。
 お父さん:そうだね。7でわってみて,余りに注目するとどうだろう。

 
【問題1】
 図1の第1週から第4週のように,週の全ての曜日に日にちが入っている場合,その七つの数の和を7でわったときの余りを考えます。どんな年のどんな月の週を選んでも,余りは同じになりますか。それとも,選んだ週によって異なりますか。また,その理由について 説明しなさい。ただし,カレンダーには前の月や次の月の日にちは書かれていないものとします。

〈解答例〉
余りが同じか異なるか...同じ
理由...(例) 水曜日の数 をもとに考える。日曜日の数は水曜日の数から3をひいた数,月曜日の数は2をひいた数,火 曜日の数は1をひいた数,木曜日の数は1をたした数,金曜日の数は2をたした数,土曜日の 数は3をたした数である。これらの数をすべてたすと水曜日の数を7回たした数になるので, 7でわり切れる。つまり,7でわった余りが0となる。このことは,どの週でも言えるので、余りはどんな年のどんな月の週でも同じである。

お父さん:今度は,同じ週の曜日の異なる二つの数の和を,7でわると余りはどうなるかな。
ようこ:それぞれの曜日の数を7でわったときの余りに注目すると,何か分かるのかしら。
お父さん:二つの曜日の組み合わせが同じならば,同じ週から選んでも,ちがう週から選んでも,その和を7でわると,余りは同じだね。
ようこ:本当だ。不思議ね。

 
【問題2】
 (1) 図1のカレンダーから異なる二つの曜日を選び,ちがう週からそれぞれ一つずつ日にちを選びなさい。その選んだ日にちの数の和を,7でわると余りはいくつになるか答え なさい。
 (2) 二つの曜日の組み合わせが同じならば,図1のカレンダーのどの週から選んでも,日にちの数の和を7でわると,余りが同じになる理由を説明しなさい。

〈解答例〉
(1) 選んだ曜日... 月曜日水曜日
選んだ日にち...9日,25日/余り...6
 (2) 理由...(例) 火曜日の数はどの週から 選んでも3または,7の倍数に3をたした数,木曜日の数はどの週から選んでも5または,7 の倍数に5をたした数である。その二つの数をたすと,8になるか,一つまたは二つの7の倍 数と8の和となる。この数を7でわると,余りは1となる。このように,どの週から選んでも, 余りは同じになる。


お父さん:次は同じ曜日の数をたしてみよう。
ようこ:土曜日の数の和は7でわり切れる数になるね。
お父さん:土曜日の数は全て7の倍数だから,全てたしても7の倍数になるね。
ようこ:他の曜日だとどうなるかしら。
お父さん:それでは実際にやってみよう。そしてもっと数の性質を考えてみるとおもしろいよ。このカレンダーだと数が31までしかないから,ちょっと書き加えてみるよ。

お父さんは,カレンダーの31日の後に,図2のように32,33, 34, ...と49までの数と週を書き加えました。 


【問題3】
 (1) 土曜日以外の曜日を一つ選び,第1週の日にちの数と第2週の日にちの数の和を7でわったときの余り,第1週から第3週までの日にちの数の和を7でわったときの余り, 第1週から第4週までの日にちの数の和を7でわったときの余りを,それぞれ求めなさい。
(2) (1)で選んだ曜日の第1週から第70週までの70個の数の和を7でわると余りはいくつになりますか。(1)の結果を参考にし,あなたの予想した余りを答え,その理由も説明しなさい。 ただし,第8週以降も50, 51, ...と数字が入っているものとして考えなさい。

〈解答例〉
 (1) 選んだ曜日...木曜日,第1週と第2週...3,第1 週から第3週... 1, 第1週から第4週... 6
(2) 予想した余り... 0
理由...第 1週と第2週の数の和は,7+5×2,第1週から第3週までの数の和は, 21+5×3,第1 週から第4週までの数の和は,42+ 5×4である。このように,第1週からある週までの数の 和は,(7の倍数)+5×(週数)と表すことができる。だから,第1週から第70週までの数の和 は,(7の倍数) +5×70となる。7の倍数も, 5×70も7でわり切れるので,余りは0となる。

お父さんは別のカレンダーに,○,×,▲, 口,O,☆の記号を順番に付けました(図3)。

 
お父さん:今度は別のカレンダーの3月のそれぞれの日にちに6種類の記号を順番に付けたよ。
ようこ:6個おきに同じ記号になるのね。そう言えば、2年前の私の誕生日はお兄さんの卒業式だったわ。
 お父さん:2013年3月18日の記号はどうなるかな。

 
【問題4】
 お父さんが「2013年3月18日の記号はどうなるかな。」と言っています。2013年3月18日はどの記号になるか答え,その理由も説明しなさい。

〈解答例〉
 記号...×
理由...記号は6種類なので,3月18日から6日ごとに記号 が☆になる。1年は365日なので6でわると余りが5となる。したがって,2015年3月18日か ら366日前の2014年3月17日の記号が☆になる。つまり2014年3月18日の記号は一つずれて○ となる。同じように,365日ごとに一つずれるから,2013年の3月18日は×となる

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