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句作と世界

句を作るには、自然のひろがりに目を向けるのはもちろんですが、同時に、自然を前にして詠まれた数々の言葉の世界へも目を向けるとよいのでは、と思います。
すなわち、自分にとって佳き句を、また辛き句を探すこと、まずは何より味わうことが肝要ではないかと。

例えば、誓子の

・海に出て木枯らし帰るところなし

は、胸に響きませんか。また、

・はまなすや今も沖には未来あり 草田男

もいいですね。

・空よそらさればぞ風のただ寒み  広瀬惟然

も、何ともいい。
しかしまた、沖の未来や空の彼方だけではなく、

・雁(かりがね)や残るものみな美しき  波郷

もよく分かり、

・冬の鷺あな羽搏たんとしてやみぬ  楸邨

には、はっとします。そして、

・思ひ出て庭掃く春の夕べかな   大魯

や、

・いざ障子あけたら蝶も入らうか  広瀬惟然

へと落ち着き、あげくは、

・桃源の路次の細さよ冬ごもり   蕪村

などへと戻っていくかのごとくです。

如何ですか。

言葉こそが、われわれに世界を見せているのだ、と思えてきませんか。

ーーある方の問いに答えて

茶半

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