Prelude:1 ヒオリの日記

2022年10月7日

今日は、リノンの誕生日。そしてそれが決まった日。
だから私は、あの子に日記をプレゼントした。
かつてアカシックレコードの一部だったカノンは、とにかく記録を好むようで、自分のログはもちろん、他人の物語やエッセイなんかも好んで読んでいる。
だからリノンも、きっとこういうものが好きになると思ったのだ。

「あの子はぼくの対極だよ。ぼくにできないことができて、ぼくにできることはできない。だってそういう風に作ったんだから」

カノンはそう言っていたけど、まさか好みまでは逆にならないだろう。
リノンはカノンの力を分け与えることで生まれた。
つまり人に例えると、妹や娘のような存在のはず。
それならむしろ、似通っているのが当然だ。
今はまだ感情が乏しいから、上手には書けないかもしれないけど。
いつかあの日記がいっぱいに埋まったら、その頃には今よりも自己表現ができるようになっているかもしれない。

子の成長を見守る親、とまでは言わないけど、なんだろう。
楽しみが増えたような、そんな気分だ。

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