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職人の小道具 | 初夏の制作部員日誌 -後半-


(初夏の制作部員日誌 -前半- からの続き)

職人仕事


今回の撮影で、2組のカメラさんのうち1組は初見でした。聞けなかったけど、多分、業界で活躍してる人たちなんじゃないのかなと思われます。とにかく作業が早くて、的確で、機動的。
何となく入れない空気感がありました。カメラマンさん同士で「進めて。細かいことわからないでしょ」なんて会話がありながらテキパキ整えていました。


多分、よくある話で、
美術分野はわからないからお任せ、介入しない、という企業担当者もたくさん見ているんだと思います。


でもうちの場合、
先輩は管理栄養士さんで食に愛情があってチェックが厳しいし、私は食の撮影に関心がありすぎるので、介入ナシで終わることがありませんでした。私は、塩な雰囲気を超えて、この初めて来てくれたカメラマンさん達に興味深々でした。

使いこなしの美学


画像チェックで、モニターやカメラマンさん達に近づくと小道具が眼に映るのですが、それらが知恵を絞ったものばかりなんです。
じっと見て、時々勇気を出して、コレ何に使うんですかー?と質問していました。

例えば、盛り箸。
食品が画になって美しくあるために、盛り方を整えます。私がちょっと整えたいところがあって箸を取りに行こうとすると、カメラマンさんが「これ使っていいですよー」と、愛用されている盛り箸をかしてくれました。

先がながーくて、細い、美しい様相の木製の盛り箸。使わせてもらったら、思うように箸先を動かせて感動!もう、感動しかない。
あまりに良いものに感じて「いいお箸ですね…!」と恐縮してお箸を返すと、「自分で探してきて使ってるんですよー」と返してくれて、ちょっと嬉しそうでした。私も嬉しくなりました。

単純にお皿に商品を盛るためなら、私は金属製の盛り箸をよく使っていました。
たとえ素人であろうとも、盛り箸はとても使いやすいのです。盛りながら、心踊る気持ちです。
でも画を作るための器具かというと、金属製のものは、練り物などの繊細な食品には傷が付くと懸念され、準備はしないでいたのです。でも木製の盛り箸なら傷が付きにくいんですね。扱いやすい長さがあり、負担のない軽量感。選ばれ抜いて使われているのだと思います。

経験の中でより良い道具を揃えられていて、早く美しく撮っていく作業。洗練されていました。撮影の職人さんです。はじめは近づきにくかったのに、途中からはこのカメラマンさん達と撮るの楽しいなと思っていました。

服を着こなすように小道具を使いこなして手先のよう。そんな仕事が、かっこ良かったなー。
また撮りに来てほしいなぁ。。


パンフレットの写真一枚一枚、丁寧に作り込まれているものなんですね。手掛けてみて初めてわかりました。世の中にある製作物の見え方が、一段変わりそうです 。

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