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10/20 人が死ぬと、どうして空を見上げるんだろう

9:08
暖かく晴れていて、僕はそれを悲しげに見る。
元気すぎるのだ、晴れは。
光を少し曇らせて、僕を隠してほしい。
低いところに腰掛けて、光を屋根に遮らせて
落ち着いた目で、風の方向を眺める。
土は冷たくて、熱を引き取って穏やかにする。
いつも少し曇りでいい。

openします。
僕の店は、熱をおさめる小箱なのだ。
熱のまだ行き渡らない朝が好きだ。
鏡がまだ照らさない暗がりが好きだ。
小さくて控えめな言葉の交換が好きだ。

11:01
支払いの計算をした。計算好きだなーと思った。
もちろん、無職なので(架空では店主です)、やべえなぁと思いながらだが。

親に誘われたので、少し遠い蕎麦屋へついていく。
車で40分。親と行動するのは苦じゃない。自然。
こうして、親と行動しながらも、ネットという別世界がそばにある、と思い込んでるからだろうか。

11:27

ずっと、川沿いを行く。
阿賀野川。
川の表面がきらきら光ってる。
川の光は嫌いじゃない、とても好きだ。
水が光を中和している。
表面だけでいいから、きらきらしていたいと思う。
川がきらきらしているのと、人が好きな服を着ているのは、似ているような気がする。光りかたが。

11:36
車のテレビに、トランプ大統領の選挙演説が映っている。
心底どうでもいいと思う。

13:33
帰り道。ここのセレモニーホルの前を通る時、祖母の葬式で妹が泣いていた姿を思い出す。初めて骨箱を持った温かさを、僕の体が思い出す。

鴨汁そばがおいしかった。

14:13
菓子パンのホットケーキが大好きだ。
気がつくとあいみょんの歌を口ずさんでいる。
好きなのか?

15:22

今晩はシチュー。
土鍋で仕込んでみる。

16:39

写真より5億倍おいしいシチューができた。
写真を信じるな。

18:50
閉店するのを忘れちゃうな、架空の店の営業は。
シチューも食べ、かぶの漬物も作り、次女のお風呂も終わり。長女の宿題も終わり。早い。
閉店ですわ、こりゃ。
閉店後の時間もだいじ。

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