透竜 橙雫れき

透竜だと示されたそれを見て、不死竜の少年は怪訝に首を傾げました。
透竜は、透明ではないの? 素朴な疑問に、鉱石竜はおだやかに微笑みます。
いいえ、透竜はその一生をかけて色を飲み、その身を色付け、自らを失くして逝くのです。だから最期に、ああして鮮やかな色を出す。

鉱石竜の言葉に、光の帯を見つめていた不死竜の少年は目を輝かせました。
納得したように、そうか、だから虹は消えるんだ。
飲んだ色を吐き出して、生まれ変わるんでしょう。

目を丸くして自分を見つめる鉱石竜に、不死竜の少年は屈託なく笑います。
また会えるね。
寂しい希望に、鉱石竜は少しだけ息を吐いて、優しく少年に頬を摺り寄せました。
ええ、あなたなら、きっと。

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