『富山家の人々とその他の独白』公演パンフレット

2021年11月に開催された、星の女子さん公演『富山家の人々とその他の独白』にて配布された公演パンフレットの文章を公開いたします。

一幕、二幕、三幕と3週間に渡って3つの演目を上演いたしました。ご来場の叶わなかった方、ご来場いただいた方でも全作品を通してご覧になった方ばかりではないので、全演目の、ちょっとした雰囲気だけでも感じていただければと思い、公演に寄せたご挨拶文とキャスト・スタッフの情報を記します。お読みいただければ幸いです。

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星の女子さん⑱『富山家の人々とその他の独白』

2021 年 11 月 11 日(木)~28 日(日) @円頓寺レピリエ

三週間、三作品連続公演


一幕「1994年の富山家」
2021 年 11 月 11 日(木)~14 日(日) @円頓寺レピリエ

【ご挨拶】

ご来場まことにありがとうございます。懲りずに毎年のように3週連続公演をやっております。今回は渡山の私戯曲として、それなりの事実とそこそこの嘘を交えてお届けいたします。

一週目の演目は「1994年の富山家」渡山が中学3年生の頃のお話です。お話です、と言っておいてなんですが、この作品は「ただ人が話している様を見たい」という動機で書きはじめたので、できるだけ「物語」にならないようにしていたのですが、ついつい物語っぽくなってしまいました。次女の友人ミナちゃんはモデルのいない架空の人物ですし、構成も法則性があるし、ナレーションにはとある仕掛けもあります。プロットも決めずに頭の中からするする出て来たものを書き留めただけなのですが、手癖の書き方が染みついているのか、そもそも物語り、ものを語るという仕組みが強固なのか、「ただ話している」状況を書くのは、なかなか難しいようです。意外と、フツーのホームドラマになっているかもしれません。

しかしながらフツーというのが千差万別、他人のフツーは異世界の出来事のように感じるかもしれず、それが私戯曲のおもしろさかもしれません。まあ私戯曲なんてジャンルはないのですが。

他人の生きざま、楽しんでいただけたら幸いです。

劇作家・演出家・星の女子さん主宰/渡山博崇


【キャスト】

夫・トミヤマヤスオ|二宮信也

妻・トミヤマヨシコ|すぎうらまこ

次女・トミヤマユウ|五紀結女

女|平手さやか(声の出演)

(以上、星の女子さん)

友人・ホリベミナコ|高木彩加(妄烈キネマレコード)


二幕「2002年の富山家」
2021 年 11 月 18 日(木)~21 日(日) @円頓寺レピリエ

【ご挨拶】

来場まことにありがとうございます。懲りずに毎年のように3週連続公演をやっております。今回は渡山の私戯曲として、それなりの事実とそこそこの嘘を交えてお届けいたします。

二週目の演目は「2002年の富山家」渡山が23歳あたりのお話です。演劇をはじめて3年か4年目あたりでしょうか。当時は「月面コレクション」と「劇団イリスパンシブルティ」の2つの団体に所属していました。作中では名前を変えているのですが、どちらも今はもうない劇団です。時の流れはあれですね、星の女子さんもいずれはなくなってしまうでしょう。

今は DVD だとか映像で記録も残りますが、当時はそんなことは滅多にできませんでした。時間をかけて労力を注ぎ込み、100か200のお客様に観ていただき、記録に残らずやがて記憶も薄れ失われていく小さな演劇たち。風のように消えていくその在り方自体を愛していたように思います。さて。今回の作品は「ただ人が話しているのを見たい」という動機で、なるべく物語にならないように気をつけて書きました。ただの会話であるように。一幕はまだうまくいったとは言えず、意外とちゃんとした「お話」になってしまいましたが(まあお客様はその方が見やすいかもしれません)二幕はちゃんと「お話」になっていません。(こういう言いざまは誤解を招くかもしれませんが)しかし肝心の会話がですね、作家が心理的な抵抗で書きたくないところが、もうごにょごにょ書きたくなさそうに書かれています。おもしろいものですね。上演に際しては俳優がきちんとエンターテイメントに仕上げていますので、ご心配なく。書いているうちに、忘れていたことを思い出したのですね。忘れることもあれば思い出すこともある、記憶についてのお話になっているかと思います。あ、結局どうしたってお話にはなっちゃうのかもしれませんね。語ってしまう以上は。

劇作家・演出家・星の女子さん主宰/渡山博崇


【キャスト】

夫・トミヤマヤスオ|二宮信也

妻・トミヤマヨシコ|すぎうらまこ

長男・トミヤマヒロシ|青木謙樹

次女・トミヤマユウ|五紀結女

女|平手さやか(声の出演)

(以上、星の女子さん)

恋人・カワムラマキ|未彩紀

 


三幕「2008年の富山家」
2021 年 11 月 25 日(木)~28 日(日) @円頓寺レピリエ

【ご挨拶】

ご来場まことにありがとうございます。懲りずに毎年のように3週連続公演をやっております。今回は渡山の私戯曲として、それなりの事実とそこそこの嘘を交えてお届けいたします。

三週目の演目は「2008年の富山家」です。1994年、2002年ときて2010年にすれば8年毎の法則性も出来てちょうどよかったのですが、2010年をどうやって過ごしていたのか、さっぱり覚えていなかったんですよね。2008年といえば、星の女子さんを立ち上げた年です。一緒にはじめた人たちはいなくなり、その後に入った人たちもいなくなり、劇団も変わっていっております。同じなようで同じなものはなく、時の移ろいとともに人も移ろうものですね。私だけが劇団で唯一変わらず居続けているように見えますが、まわりの人が変わればその影響を受けて私自身も変容していきます。それが物事を続けているということなんだなと思う昨今です。

それはさておき。2008年はリーマンショックが起こった年で、富山家の面々もその影響を受けて生活が変わっていきます。実際に生活が変わっていくのはもうちょっと後のことなのですが、確実に原因はこの時の出来事にあったわけです生活も演劇も続けていくのは難しいものですが、その先には希望があるものだと思いたいですね。

劇作家・演出家・星の女子さん主宰/渡山博崇


【キャスト】

夫・トミヤマヤスオ|二宮信也

妻・トミヤマヨシコ|すぎうらまこ

長男・トミヤマヒロシ|青木謙樹

次女・トミヤマユウ|五紀結女

女|平手さやか(声の出演)

(以上、星の女子さん)

叔父・カトウヒデキ|くらっしゅのりお

(妄烈キネマレコード)


【スタッフ】

作・演出|渡山博崇

舞台監督|星の女子さん

舞台美術|早馬諒(かすがい創造庫/妄烈キネマレコード)

照明|則武鶴代

音響|鈴木 SUN

衣装、小道具、音照オペレーション|トヤマヒロタカ

演出助手|N 井タロ(劇団バッカスの水族館)

歌|Utoto「ねんねぐわせ」

イラスト|カシワイ

デザイン|柊マフユ

制作|星の女子さん

制作協力|寺島久美子

制作補佐|中島緑

受付|小川舞華、黒崎真実、はやみあんな、梅田優起

舞台写真|佐藤アクロス

映像撮影|いしぐれじゅんこ

企画・製作・主催|星の女子さん

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