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*stand.fmの右下▶️ボタンを押してから記事をタップ!読みながら聞けますー! スタエフのアプリには、タイムスタンプもあるよー! ▽お題企画『時計』・刻むもの/Seiji.Resonance(作者さまプチインタビューありますっ!) ・発明/Danzig(作者さまプチインタビューありますっ!)
この作品は、以下のお題『時計』に合わせて書いた短編小説です。 この作品を配信等で使用される場合は、以下の利用規約を必ずご覧ください。 時計が壊れた。 幾年もの歳月をともにした時計だったから、寿命だったのだろう。 今の時代、体内時計が壊れることなんて電球が切れるくらいにありふれたことだ。人は誰しも体内に時計を内包している。そのような時代では。 とにかく時計屋に行かなければ。すぐに検索をかけて、近所の時計屋を探す。思ったよりも距離がある。どうやら時計屋というのは私
『針が止まるまで』 カッチ、カッチ、カッチ……。 胸の中の時計の音が、徐々に緩やかになっていく。 ご主人様に仕えて早50年、寿命と言うのはこんなにも穏やかに流れるものだと感じられるのは、この50年が私にとって幸せだったからだろう。 「ご主人様、お茶が入りました」 「ああ、ありがとうね、フレッド」 私はご主人様のベッドの横で膝を曲げ、よく温めたカップに、アールグレイを注ぐ。 ご主人様は私の手から、ソーサ―とカップを受け取ると、コクリと一口だけ口をつけ、傍らの机の上に