ゆる馬学徒
2022年
ゆる学徒ハウスという企画が、YouTubeチャンネルゆる言語学ラジオで発表された。
ゆる言語学ラジオはその当時お気に入りで、欠かさず見ているチャンネルだった。
まだ登録者が数百人だった頃から見ていて、第1回目の動画で「中国語には馬編の漢字がめちゃくちゃたくさんある」と紹介されていて、馬ネタを絡めるとはセンスが良いな。と思っていた。
・・・冗談である。
馬ネタは抜きにして毎回切り口がとても興味深く、頭は決して良くない僕でも興味を持てる最高のコンテンツだった。
そんなチャンネルが、新たなゆる○○学徒ラジオを発掘する企画を行うのだ。
やるしかない。
学は無い僕だが、馬だけは誰にも負けない自信があった。
もちろん馬の専門家に馬学知識は敵わないし、馬の育成、調教技術は本職の方々にまるで敵わない、馬術はしょうもないライセンスしか持っていない。
そんな僕が誇れるのは馬の雑学や、馬学を広く捉える視野や視点だ。
馬学も、競馬も、乗馬も、ホースセラピーも、馬の雑学も、馬肉も、そのほか全て馬に関わる物事が好きでずっと幼少期から過ごしてきた。
正直、誰にもこの知識は真似されない自信がある。
だが、「馬」自体がそんなに魅力あるコンテンツとなるのかに疑問があった。
馬好き歴20年以上
世間はそんなに馬に興味はない。
そんな事当の昔に気付いている。
そんな事を思っていた中、とあるゆる学徒ハウスの一次選考通過動画が上がって思いは変わる。
「ゆる霊長類学ラジオ」
ちょっと猿っぽい(失礼なのか褒め言葉なのか怪しい)人が面白おかしく、それでいて霊長類に興味を持てる話をしていた。
羨ましい
この人みたいになりたい。
僕の憧れはさかなクンさんだ。
魚への愛溢れる語り口と、あのキャラクターはクセになる。
pangorillaさんからも、霊長類への愛とキャラクター性を感じたのだ。
だが僕には圧倒的にテンションが足りない。
基本的にローテンションである僕にはさかなクンさんの真似は出来ない。
目指すべきはさかなクンさんをただ模倣するのではなく、僕に出来る馬知識の語り方だ。
「ゆる馬学」ならアルフだろう。
そう思ってもらえる様な人になりたい。
そして、あの霊長類学徒のpangorillaさんのようにあの舞台に立ちたい。
そう思って、「ゆる学徒ハウス」への応募を決意した。
僕が応募する後押しをしてくれたpangorillaさんには、本当に感謝している。
一次選考のテーマは決まっていた。
「言語学と馬の繋がり」
馬が由来の言葉を紹介すれば、ゆる言語学ラジオの視聴者(通称用例)に刺さるはず。
そう思って撮影し、応募はすぐに完了した。
当時すでにゆる言語学ラジオは大きなチャンネルとなっていた。
頭の良い、ノリの良い人達がたくさん応募する事だろう。
僕は頭が良くないし、人とノリを合わせるのも決して得意ではない。
もしかしたら、半分記念のつもりでの応募だったのかもしれない。
そうして、あまり期待はせずに待っていたところに、一次選考通過の連絡が来た。
久しぶりに心躍る瞬間だった。
僕の話が、評価された?
素直に嬉しかった。
それも束の間、一次選考を通過した動画が次々公開されていく中で感じた事は
「みんな、メッチャ面白い」
僕の動画は、このクオリティに達しているのだろうか。
段々と不安になってきていた。
でも、選んでいただけたのだから大丈夫だろうと、自分を納得させていた。
そして、ゆる馬学徒ラジオの公開
「音質がクソ」
「つまらん。勉強して出直せ」
圧倒的挫折
まるでイギリスのダービーに重賞未勝利で血統も良くない馬が出走してきたかの様に、ゆる馬学ラジオのコメント欄は賑わう事もなく、あまり評価されていなかった。
おそらくこの時点でゆる馬学ラジオは最低人気だったのではないだろうか。
馬はつまんねぇと思われたくない。
アルフの事は嫌いになっても、馬の事は嫌いにならないでください。
ここからは馬好きとしての意地だった。
二次選考で動画撮影している時間そのものを馬に関連させて話す台本
「映像技術は馬から始まった」
そして、後半はほぼノー台本だ。
堀元さんは相方に合わせて色んな話を展開して下さるはずなので、僕はそれを拾って馬に繋げていく。
話したかった事は、ちゃんと話せたと思う。
途中言い間違えてしまったところはいくつかあるが、悔いは残していない。
(言い間違えたところは
初めて写真に撮られたのが馬→原盤が残っている最古の写真には馬が写っている。
パラケラテリウムという生物は、歴史上最大の陸上哺乳類であり、ウマ科の動物→奇蹄目ではあるがウマ科ではないし、現代では大きさの推定に疑問が提唱されていて、最大級と言った方が良い)
満足のいく喋りは出来たと思う。
しかし、またもや二次選考の動画が公開されていく中、僕はまた打ちのめされた。
どの参加者も驚く程面白いのだった。
途中から、僕は二次選考の動画の視聴を止めた。
こんな思いをするなら、もうゆる学徒ハウスなんて、見たくないのよね・・・
そして、二次選考結果の通知が来た。
落選
諦めていたつもりだったのに、悔しい。
悔しい。
悔しい!
そしてすぐに、学生時代から仲良くしている友人に連絡した。
「馬の話をするYouTubeチャンネル作るから、聞き手になってくれ」
話し足りない。
俺はこんなもんじゃない!
時間の縛りのない、自由な形式で、馬素人の友人に馬の魅力を伝えるラジオを撮影。
友人はコーヒーの研究をしていて、近々自分のカフェを開こうとしている珈琲学徒だから、雑談会でコーヒーの話もしてみようかな。
などと、ゆる言語学ラジオの丸パクリチャンネルを開設しようとしていた。
今思うと実に愚かだ。
こうして、世に生まれるはずだった(馬だけに!ヒヒーン!)チャンネルの撮影は終わった。
さーて編集でもしますか。
そう思っていたところに、ゆる言語学ラジオのサポーターコミュニティで、「あの」pangorillaさんからDMが届いた。
「落選者が集まってオフ会を開くから参加しませんか?」
これは夢か?
落選した人達も、9月の鴨川合宿に参加できるように日程を空けていたから、せっかくならその日に集まろうという試みを、現ゆる学徒ハウス別館の館長であるLE0さんが企画してくださっていたようだ。
行くしかねぇだろ。
そして僕は、鴨川合宿の裏で素敵過ぎる方々とオフ会に参加した。
最高の時間だった。
みんな面白い話ばかりするし、僕の話も注目して聞いて下さる。
日常生活では馬の話などする機会はほとんどなく、たまに話してもみんな興味なさげな顔をする。
それなのに、ゆる学徒ハウスオーディションで落選した通称落徒の方々は、皆それぞれの話を聞きながら目を輝かせていた。
これが、僕の追い求めていた場ではないか。
僕は、こんなにも魅力的な人達が集まるきっかけを作ってくださったゆる言語学ラジオと、こんな場を用意してくださったLE0さん、そして実際に集まってくださった学徒達に、この上なく感謝している。
僕はまだまだ、堀元さんや水野さんはおろか、ゆる学徒ハウス参加者達に並べていると思っていない。
この素晴らしい人達に泥を塗らぬよう、僕も面白い話を提供できるよう、僕が感じた馬の魅力の1%でも皆さんに届けられるよう
今後も研鑽を続けていく。
そう思えることが、とても嬉しい。
ゆる学徒ハウス別館誕生へ続く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?