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私が対州馬を絶滅から救いたいと思う理由 その100

窮地に立った時にこそ、本当に重要な人と出会うことができる ⑨


踏み板の上を抵抗なく歩くことを何日か繰り返して、おそらく次にいっても大丈夫だろうという決断は、直感に頼るしかありません。
 
次は、いよいよ踏み台をトラックの荷台に渡し、荷台に乗るという練習です。
いくら板の上を歩けても、肝心の荷台に乗らなければ完全にアウトです。

2年半前にあれほど無理やりに乗せられた荷台というものに乗るでしょうか?
まったく楽観はできませんでした。

まずなるべく荷台と踏み板の角度が浅くなるようにトラックを少し低い場所へ停め、踏み板を設置しました。

荷台のもっとも奥に、ひん太の好物である生青草を置き、手にはバナナを持って臨みました。
なるべくそれを「いつものことのように」行う必要がありました。

踏み板の上にはいつものように歩きました。しかし、その先は、さすがに躊躇しました。
内心は焦りましたが、もちろん力づくではどうにもならないことを知っていました。

鼻先にバナナを差し出し、前に出ることを促しました。
すると、歩を進め、荷台の上に乗りました。


誰も見ていないし、はたから見ると大したことには見えないのでしょうが、私にとっては心の中で叫びたいほどのすばらしい達成感に満たされた瞬間でした。

「さぁ行こう! ひん太!」


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