「悪魔の所業」として、関東軍防疫給水部(731部隊)を広く周知させた「悪魔の飽食」。
その内容は、どう控えめにも考えても、ひどい吐き気を起こさせるような残虐行為の数々、中国人などの敵国人に対する、言わば「面白半分の」人体実験を行ったおぞましい記録です。
その真実がどうであったのかを、ここで吟味しようという考えはまったくありません。
青少年に読ませるには、あまりにも残虐すぎて、薦める気にもなりませんが、加害者側も被害者側も、同じ人間であり、その間には怨念や憎しみ、無慈悲しか無かったと考えると、どうにもやりきれないので、同書の中で、あえて「人と人との人間的なもの」が垣間見えた部分だけを抜粋してみました。
しかし、内容が内容であるだけに、興味がある人だけ、読んでもらえればいいと思います。
「909号」という囚人番号で呼ばれ、2年以上を極限の「地獄」で生きた、中国人のひとりの警察官。
最後、顔見知りの日本兵に託した女物の靴をつくる時、間違いなく奥さんや当時10歳であった娘のことを思ってつくったのでしょう。
この部分を読むと、こんな極限の狂気の中においても、ひとしずくの「人としての関り」があったことが、せめてもの救いです。
尚、文中にも出てきますが、私と同じ姓である「江島」という医師の男の名前がでてきます。
同部隊には九州大学からも教授ら数人が招集されているので、おそらく九大出身車でしょう。
「江島」は福岡県久留米の発祥の名字だからです。
もちろん私とは、何の関係もない人物なのですが、比較的近い系列の中に、この名があると知った時は、やはりショックでした。