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旧 小濱鉄道

あえて愛野村(あいのむら)-千々石(ちぢわ)間の旧 温泉軽便鉄道とは分けてみました。
小濱(おばま)鉄道は愛野村~千々石間に開通させた温泉軽便鉄道の延長線・建設の為、地元の有志が大正10年に設立した会社です。
後に合併する両社ですが、その工事区間の難易度はまったく異なっていました。


小濱鉄道の区間の地形は、山が海に落ち込んでいる上に、地質は硬質である安山岩と、トンネルや切り通しの掘削には非常に悪い条件が揃っていました。その為、大変な難工事を強いられ、ようやく小浜まで開通したのは、昭和2年のことでした。


↓民家の前にひっそりと残る、「肥前小浜駅」のホーム跡です。しかしながら、この場所は、温泉の中心街より2kmも手前に位置します。なぜならば、当時資金難の為に、これ以上敷設することが出来なかった為です。結局、このことが後に大きな(悪い)ターニングポイントとなったようです・・・

小浜温泉は、幼い頃から何度か、連れて行ってもらったことのある場所ですが、確かに着くまでには急峻な峠を何回も越えるので、まさかここまで鉄道をひいた人達がいたことなど、夢にも思いませんでした・・・・


小濱鉄道は、昭和10年に温泉軽便鉄道と合併し、「雲仙鉄道」となりました。しかしその後開通した県営バスとの競合に敗れ、当初から赤字経営を強いられています。一時は、島原鉄道に買収されたりし、経営の立て直しを図りましたが改善することなく、開通から15年目の昭和13年にあえなく廃止となっています・・・
今から73年も前に廃止となった廃線跡ですが、意外や、その跡はしかっりと?残っています。
車で通ると、まるで鉄道で旅しているかのような景観が、延々と続きます。画像のトンネルは、鉄道トンネル時代のものです。岩盤が硬かったせいか、現在でもしっかりした造りです。


線路跡に沿って切り通しなども見られます。新緑の頃は、まさに「緑のトンネル」を通る列車の旅気分が味わえます。


木津ノ浜(きつのはま)駅のホーム跡は、ほぼそのまま残っています。


同ホームを反対アングルで見ています。このホームは、沿線中、もっとも標高の高い駅で、眺望もよい場所です。
それにしても、まだ軌道さえあれば、向こうから蒸気機関車がやってきそうな感じですね。

ホーム上から見た、木津ノ浜の町並みです。この町にとっては、鉄道の開通はさぞかし有り難いものだったことでしょう・・・


温泉軽便鉄道と連絡していた「千々石駅」のプラットフォーム跡です。ここも割りとしっかりと残っています。


わずか15年間という短命でしたが、多くの外国人観光客を乗せて走ったという、この小濱鉄道。もうその姿を見ることは出来ませんが、地元の発展を願った先人たちの苦労を想像しながら、新緑の時季にでも、この鉄道跡を走ってみるというのは、いかがでしょうか・・・


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令和4年現在。
小浜温泉は、105mにも及ぶ足湯などを設け、振興を計っているが、決定的な打開策とはなっておらず、寂れた感をぬぐえていない。

過日、息子と温泉の貸し切り湯につかりにきたが、入浴を楽しんだ後は、これと言って興味を引くようなものもなく、足早に同地を後にした。

途中、峠道が渋滞しているので何事か?と思ったのだが、はたしてひとりのサイクリニストが苦労しながら狭い峠道を登っていたこtろが原因だった。

海沿いを走る「旧 小濱鉄道」跡を通れば、ほぼ平坦であるし、新緑も楽しめるのに、まったくのPR不足であって、このようなことになってしまっている。

長崎には、このようにポテンシャルは高いのだが、まったく生かし切れていないケースが多いように思う。


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