寝台特急あかつき
昭和世代にとって、街のシンボルとも言える建物などが消滅していくことは、まるで自分のアイデンティティーの基が揺らいでいくような思いがします。
そのようなもののひとつに寝台特急「あかつき」があります。
あかつきは、2008年3月に廃止されました。
丁度、この頃、毎週長崎駅近くに用事があり、確か19:20頃出発するあかつきを見送りに行ってましたが、引退間際こそ注目されたあかつきも、まだその頃は、ガランとしたホームに見送る人もなく・・・乗客もほとんどいない。という感じでした。運転士さんに手を振ると、ちゃんと応えて手を振り返してくれていました。
それからラスト・ランの3/14が近づくに連れて、あかつきを一目見ておこう・・・という市民や鉄道ファンの方が増えていきました。
朝方、長崎に帰ってきて、夕刻までこうして長崎駅で待機をする・・・・駅から見える、この青い車体は、いつもの見慣れた風景だったのですが。
稲佐山とあかつき、この組み合わせは、当たり前のものとして、ずっとそこにあるという感覚でした。
そして、ついにラスト・ランの日。さよならセレモニーが行われ、約1,000人の人があかつきを見送りにかけつけました。
あかつきは、最後、独特の汽笛を鳴らしながら、静かに出ていきました。
ふと、線路脇の暗がりを見ると、整備員さん達が、整列してあかつきに敬礼をおくっていました。
機械にヒトが敬礼をおくる・・・・これが、大事なことなんですね。自分たちの生活や文化を支えてくれた機械や施設に対し、敬意をはらう。だからこそ産業遺構や建物、乗り物を保存しておくという、大きな意味があると思うのです・・・・
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