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私が対州馬を絶滅から救いたいと思う理由 その107
新しい放牧地に着き、中で綱を放すと、前の時もそうであったように、ひん太はその場に生えている草を食べ始めました。
この場所がひん太にとって、どのような場所なのかは未知数でしたが、少しでも快適な場所になるよう試行錯誤してゆくしかありません。
そして、すぐにやらなければならないことは、足場で組んだ「仮の柵」の外側に、本当の柵を造ることでした。
しかも、この材料は新しく購入する資金は無かったので、今までいた山中の放牧地の柵をすべて解体して、移動させたのち、新しい放牧地に新たに組むという計画でした。
移動のプランを練っていた頃、山中にある放牧地の柵を、隣接する施設に売ろうかと思っていたこともありました。
その場合、こちらから持ちかけても、おそらく、かなり買いたたいてこようとすることは必至でしたので、150万という価格を設定して、それ以下を言ってきたら、売らずにすべて撤去して運ぼうと決めていました。
結局、その話はせず、すべて撤去して新しい放牧地に移設する計画を進めていたのですが、ある時、山中の放牧地の地主がふらりとやってきて、柵の一部を残していけと言いだしました。
相手の言い分は、「馬が上り下りしたために、崖が削られて危なくなったので、その崖っぷちに接する部分の柵は置いていけ」というものでした。
確かに上り下りで多少土砂が落ちたことはありましたが、それは地形が代わるようなものではなく、むしろ「産廃の不法投棄場」となっていた、数えきれないほどのガラス片や金属片を撤去してやったことを考えると、「とんでもない言いがかり」だと思いましたが、「今後一切関わりたくない相手」であったので、最低限の部分だけは、残していくことにしました。
それからは、柵の解体と移送という怒涛の日々が続きました。
足場の柵は「何日間でいくら」という契約でかりている為、その日数内にその作業を完了させなければなりませんでした。
幸い、ビケの足場やさんは、その点が実に大らかで、「今、そんなに急がなくて大丈夫!」と言ってくださり、契約期間よりもだいぶ余裕を持たせてくれました。
ひとつは、「在来馬を保護しようとする目的」に賛同して協力してくれたのかもしれません。
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