美輪明宏さんの好きな佐古小周辺は、幕末の風情が残る場所・・・
「ここにある小学校が、廃校となれば、さぞ地域は寂れるだろうなぁ・・」と思うような場所で、次々と学校が消えていっている中・・・・
長崎市もドーナツ化で、中心部の人口が急減しているのですが、「仁田(にた)小学校」と「佐古(さこ)小学校は、至近距離にありながらも、統廃合の波に呑まれていません。
こちらは明治35年開設の長崎市立仁田小学校です。(西小島2-6-15)
そしてこちらが、明治39年開設の長崎市立佐古小学校です。(西小島1-7-1)
両校がどれぐらい近いか、と言うと、下のように1つのフレームの中に簡単に収まってしまいます。
地図上で見ても、これだけ接近しています。敷地の最短距離を測ってみると、わずか100mぐらいしか離れていないことがわかります。それぞれの授業の声が聞こえそうな距離ですね・・・
そして、この2校、上図でもわかるように、オランダ坂や唐人町であった館内町、遊郭街であった丸山など、長崎の古い歴史のある地区の真ん真ん中に建っているのです。
さて、その内の佐古小学校は、美輪明宏さんの母校なのですが、建っている場所の近辺というのは、「明治の雰囲気を残す場所・・・或いは幕末の頃の雰囲気を残す場所」でもあります。
下は、大徳寺の大楠と明治元年創業の茶屋「菊水」さんです。
「きく水」さんは、現在も営業中です。佐古小出身の美輪さんは、長崎で仕事などがあると、必ずここ「菊水」さんに梅が枝餅(正式には大徳寺焼き餅)」を買いに来られるそうです。ご自身が来れない時にも、必ずマネージャーさんが買いに来られるそうです。
店の向いにある釜炊き場です。もちろんこちらも現役です。
2枚上の写真に「長崎の七不思議」という張り紙が見え、その①は、「寺もないのに、大徳寺」とあります。その大徳寺こそが、この場所です。昔は、長崎でも5本の指に入るような大きなお寺、大徳寺がこの地に約150年ほどあったのですが、廃寺となり、今は「大徳寺」の名前のみが残っているというわけです。
そしてこの地は、幕末から明治にかけて「長崎でもっとも港風景・夜景のよく見える、オツな場所」でした。下はこの頃の古写真です。藤棚の下には、髷を結った女性たちが見えますね。画面手前が、現在の「菊水」さんです。
現在の同地です。3件あった焼き餅屋さんは、「菊水」さん1件だけになってしまいました。藤棚もかろうじて残っていますが、この眼前には高いビルが建ってしまい、港の景色などはまったく見ることができなくなってしまっています。
この場所、遊郭・丸山からも近いということもあり、昼も夜も多くの人で賑わったそうです。古写真には、幼子を抱いた女性の姿が見えますね。
現在の同地です。昔は、港の夜景を見る一等地であった藤棚にも、今はほとんど座る人がなく、寂しげに見えます。
大徳寺・廃寺の後、移ってきた梅香崎(うめがさき)神社前で遊んでいる子どもの姿です。
今では、たまに佐古小学校の子どもが登下校する姿が見られるだけとなってしまいました・・。
もし、手前のビルが無くなった・・としても、もうこの場所から海を見ることすら困難になってしまっています。昔はここから、中華街新地や稲佐山などもよく見えたそうですが・・・
またこの場所、大隈重信や副島種臣らに英語を指南したオランダ系アメリカ人フルベッキの塾があった場所でもありました。
またこの地には、「梅香崎病院」と呼ばれた「長崎病院」が移ってきました。佐古小学校は、その病院跡にあたります。神社の測道の奥に見えているのが、佐古小学校です。
子どもの数は少なく見えました。運動会前なのか、紅白に別れて競技の練習を行っているようでした。
またこの「きく水」さんは、銃撃されて亡くなった故・伊藤一長、元長崎市長もお気に入りの場所であり、何度もこの地に足を運んだそうです。店のご主人が「もう後継ぎもいないから・・・」といった話を伊藤さんにすると、伊藤氏は「市役所の人間ば、交代でやるけん、この店ば、残さんば!」といつも言っていたそうです。
こう言ってはなんですが、故・伊藤市長は本当に足で歩いて地元を見ていた市長だったんですね・・・。
また、大楠は樹齢1000年を越しているそうです。
仁田小も、佐古小も、そして「きく水」さんも、これからもずっと残っていって欲しいです。ここは、「もっとも長崎らしさの残っている数少ない場所」のひとつですから・・・・
卒業生の方から、コメントを頂きましたので、勝手ながら記事に付け加えさせていただきます。当時の様子を知る手がかりになると思いましたので・・・・。ありがとうございました。
(元記事投稿:2011年05月28日)
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あれから早13年もの年月が流れた。
佐古小学校は事実上、廃校となった。
きく水さんも、もうやってはいないだろう。
気にはなっているものの、変わってしまった現実を見るのが怖くて、まだ行けていない。
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