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馬生の最後をみとること ③


~パンナコッタの馬生③
ぱんちゃんと人との絆~

12日にボランティアに来てくれていた菜の風ファームのひろみさんからぱんちゃんが倒れていると伝えられ、佐藤さん、和巳さん親子、光明さん親子、めぐさん、たばちゃん、いわさかハウスのみんなが集まってくれました。

動力を使って立たせようとしたけど、ぱんちゃんの足に力が入らず立つことができなかった。
夜から雨予報だったため、急いでぱんちゃんを小屋の前に移動させて簡易のひさしを作り、床擦れを防ぐため布団を重ねてベッドにして、ぱんちゃんの介護が始まりました。
時々頭を持ち上げ、回りをキョロキョロ見渡して、誰かがいると安心して頭を下ろしてうとうと眠る。眠ってるときは足をバタバタ動かしたりしていましたが、「ぱんちゃん」と呼び掛けると目を開けてゆっくりまばたきしていました。

倒れてから3日目。
毎朝仕事に行く前と終わった後、ぱんちゃんの体位変換するため集まってくださった佐藤さん、いわさかはうすのみんな。和巳さん、たばちゃんは毎日通って看病してくれました。

ぱんちゃんは和巳さんが自分の畑から飼料袋いっぱいに刈り取ってきた新鮮なイタリアン生牧草を朝から美味しそうにモグモグ食べていました。
なんとかチャンスがあれば、ぱんちゃんに起きる気持ちがあればみんなで全力で起こそう。
その日の夕方、最期の挑戦になることも覚悟してユンボを使って起こそうとしましたが、ぱんちゃんは起きようとしませんでした。

お別れの時が近づいているのを感じながら、ぱんちゃんを本気で可愛がった人たちが会いに来て看病してくれて、ぱんちゃんはとても嬉しそうでした。
セサミスタッフOBの齊藤さんは大阪から駆けつけて、私たちが寝泊まりしていたぱんちゃんのそばの小屋に一緒に泊まり、一晩中看病してくれました。
明け方-6度まで冷え込み、手足が凍りそうに感じていたとき、霙混じりの吹雪の中でぱんちゃんの背中に抱きつき、添い寝してくれていた。
突風でぱんちゃんの回りを囲っていたブルーシートが風に煽られて、霙に打たれながらもぱんちゃんの側を離れなかった齊藤さん。
急にぱんちゃんがバタバタ動いても、「大丈夫だよ」と身体を擦ると、ぱんちゃんは安心してまた眠りについていました。

ぱんちゃんが約13年前セサミに来た当日から、ぱんちゃんを大事に可愛がってくれためぐさんも、毎日通ってくれて、旅立つ前夜はやはり極寒のなか、朝までぱんちゃんの側に寄り添い看病してくれました。
ももさんと齊藤がうとうと仮眠していたときも、めぐさんが、ぱんちゃんの呼吸の変化に気付いて、一時はどうなるかと思いましたが、なんとか朝を迎えました。

セサミスタッフOBの はまさんも、何度もぱんちゃんに会いに来てくれました。
帰ろうとする はまさんに「ブルルッ」と呼び掛けてもう一度はまさんを振り向かせて引き留めたぱんちゃん。
これが今生最後になることを分かっていたのだと思います。

いつもは離れた場所にいても、現場で共に動物たちを守ってきた歴代メンバーとぱんちゃんの絆の強さと、メンバーのぱんちゃんへの深い愛を感じました。

南阿蘇のファームサンクチュアリ オープンセサミ(命紡・復活プロジェクト)

私の馬が元気な頃でも、馬場へ行く時は「原器だろうか?」と不安にかられます。
馬が座っているだけでも、心臓が止まりそうになるくらい早くなります。

このように起き上がれないまま、何日も経過することが、周りの人たちにとって、どれほど辛いことか、想像にかたくありません。


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