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対州馬の飼養と調教 7「 対州馬を調教する上で参考となる資料等はあるか 」 

ありません。そんなものはありません。

対州馬に限らず、馬の調教についての資料がありません。
と言うか、あったとしてもそれは極々一部にしかあてはまらない事しか書いてありません。
そして、そのようなものに頼ろうとしない方が結局はいいと思います。

しかし、対州馬が小~中型の馬と言っても体重は300kg前後あり、本気を出せば大人の男3~4人は簡単に引きずりまわす力を持っています。
なんの理論もイメージも持たずに調教に挑むことは、無謀以外のなにものでもないでしょう。

まずどんな馬にも当てはまることぐらいは、理解していないと、馬を「修復不可能な」状態にしてしまいかねません。

まず「基本、リスペクトを持ってあたる」ということをベースにして、自分なりの「調教の仮設」を持って行うことが大切かと思います。

そして「楽しみながら挑戦し、失敗しても、すぐ検証後に別のやり方を試すフレキシブルでタフな心」を持ち続けることです。馬との日々を楽しむという心構えがまず重要かと思います。

細かく言いますと、「調教者の体の向きと馬との距離」そして「馬にかける声のトーンと強弱・タイミング」と「圧力とご褒美の与え方」は非常に大事で、それを抜きにしては調教はまず成り立たないと思います。
その辺りのことをうまく説明しているものとして私が一読を薦めるのはドイツ人クラウス・フェルディナンド・ヘンプフリンクの「 Dancing with Horses (邦題:馬と踊ろう)」です。

この書は馬の調教の書というよりも美しい文学としてそのまま読めます。「よし、馬と向き合おう。馬を飼おう」という勇気を起こさせてくれる名著です。
しかし残念ながらこの書は販売されていません。
JRAが翻訳本を作ったのですが、販売せずに各都道府県の図書館にのみ配布されています。
したがって、県立図書館に行けば借りることができると思いますが、どうしても読んでみたいと思う人は私が持っているファイルを分けることは可能です。(決して販売ではありません)

話は最初に戻ってしまいますが、そもそも「対州馬に調教は必要ない」という人もいます。まぁそういう人は、その馬が生まれて半年ぐらいから人に慣らされてきた上で、馬の学習能力に助けられているのだということを恐らく知らないだけなのかと思います。

また、「調教」とは、特別な資格や技能を持った者が、対価を得て、馬に備え付けるようなものではなく、飼養者が毎日、毎朝夕に馬の世話をする中で接する態度こそが「調教」の原点なのだということを強調しておきたいと思います。

すなわち真冬の暗い厳寒の朝、灼熱の夏、他人が宴に酔いしれている時などにも、まず馬の身を案じ、寄り添うとする気持ちこそが「調教者」に必要とされる資質なのだと、私は思います。




中1の娘はなかなか苦労していますが、この時からわずか3か月前には曳かれるどころか、人が触れることすらできませんでした。


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