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一枚の写真も遺されていない 「軍艦島住居側の夜景」


『 不夜城 』
 
 「とうちゃん、あいはなんね!?」「すごかろうが?あいは『ぐんかんじま』っていうとさ。本当は『はしま』っていう島ばってん、こっから見たら、でっかか軍艦のごと見ゆるやろ!?」
「うん。すごかぁ・・・」「やろ?しかも、こっちんがわの夜景は、船でこんば、見られんとばい。よかったろうが、ついて来て」「うん。よかったばい。サカナはいっちょん、釣れんばってんね・・・」

 夜の軍艦島の写真を、東方にあたる野母崎半島や高島から写したものは、何枚か見たことがありますが、残念ながら、この絵のように、西方にあたる東シナ海方面から写したものは、見たことがありません。なぜならそれは、島の西側を航行する船からでしか写すことができなかったからです。
 風や波の穏やかな、島の東側にある鉱業所を高波や強風による被害から守る役目を背負っていた、住人たちのアパート群。そのほぼ全てが西側にかたまって、寄りそうように立っていました。炭鉱は8時間ずつ三交代で24時間操業をしていましたから、どんな夜中でも、仕事から帰った人やこれから仕事に向かう準備をしている人のいる部屋には灯りがありました。昔はまだ裸電球も多かったそうですから、暗い海に浮かぶ淡いオレンジの灯は、見た者にきっと、言いようのないような、やすらぎを与えたことでしょう。
 また、島には夜通し働く鉱員さんの足音や、鉱員さんたちを地底600~1,000m下まで降ろす、竪坑(たてこう)やぐらの車輪のまわる音が絶え間なく響いていました。でも、それらの音や灯は、住人たちにとって、ちっとも迷惑なものではなく、むしろそこにあるべくしてある、安心してほっとできるものだったわけです。






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